猫がガン見してくるのはどんなとき?
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猫が飼い主をじっと見つめてくることにはどんな意味があるのでしょうか?
猫の視線にはいろんな理由が隠されているようです。あくまでその他のしぐさから読み取れる理由や憶測でしかありませんが、ガン見する猫の視線に隠された心理や気持ちを幾つか考察してみましょう。
何かと謎に包まれている猫の行動を、ほんの少しでも解明できるかもしれません。
猫の視線①:要求
何かをして欲しい時に猫は飼い主を見つめるようです。
最もわかりやすいのは食べ物でしょう。猫はお腹が空いている時に、飼い主だけが何かを食べ始めると、まるで何かをねだるようにこちらをじーっと見つめてくるかもしれません。まさにその通りで、視線で食べ物が欲しいと要求しているようです。
目線によってコミュニケーションを取ろうとすることがまるで人間のようで滑稽ですが、後述するように猫にも目線を観察する能力が備わっています。こちらが何かを食べていないとしても、じーっと見つめてきて訴えるような視線を向けてくる場合は、もしかするとお腹が減ったり喉が渇いたりしているのかもしれません。
あるいは食欲以外にも、何かを要求している時に視線を向けてくることがあります。ベットに横になっている時に、ふと気がつくと猫がずっとこちらを見ているとか、机に座って何か用事をしている時に窓際やドアの近くからこちらを見つめている場合などです。
横になって休んでいる時に猫がこちらを見つめるのは「早く起きて一緒に遊んで欲しい」と思っている可能性があり、窓やドアの近くからじっとこちらを見つめている際は「外に出してほしい」と思っているのかもしれません。
そのような直感は意外と当たるもので、“ドアの近くで開けて欲しそうにこちらをじーっと見つめていたのでドアを開けてあげると、その予想通りドアからゆっくりと出て行った”など、目線だけでコミュニケーションが取れたように感じることは、猫を飼っていれば日常茶飯時です。
思わず自分が飼っている猫の天才ぶりやコミュニケーション能力が誇らしくなってしまいますが、猫はかなりの程度目によって何かを伝えようとし、逆にこちらの目線を追ってその意図を理解しようともしているようです。
「目線だけで要求するとは、猫は何様のつもりなんだ…」と思う方がいても無理はありませんが、大きく丸い瞳でちょこんと座った可愛らしい佇まいからその目線を向けられてしまうと、自分でも不思議なほどその要求に従ってしまうことがあります。
もっともその目線を向ける前に何らかのアクションを起こすことがほとんどです。こちらが何かの作業に集中しているとき、あるいは寝ていて気付かないときに、鳴いたり体をすり寄せたりして何かしらの要求を伝えようとしてきます。
それでもそのアクションを無視していると、少し距離をとった場所に座り込んでこちらをずっと見つめているということになるのでしょう。あまりにも無視していると恨みを込めたような目線を向けてくることがありますが、いずれにしても目だけで何かを訴えてくるのはとても可愛らしい仕草です。
猫の視線②:不満
不満や物足りなさを感じている時にも、こちらに視線を向けることがあります。
エサをあげたものの今一つ量が少なかったり味が好みでなかったり、かまってあげたつもりなのに遊びの内容が気に入らなかったり思っていたほど遊んでもらえなかったり、おやつをもらえると思っていたタイミングで何ももらえなかったり等、何かしらの不満を感じている時にこちらをじーっと見つめてくるのです。
エサを入れたトレイを前にしてあまり食いつかないまま食べるのをやめて、こちらをずっと見つめているようであれば非常に分かりやすいです。
このような視線を感じた際には、もう少しだけスキンシップをとったり声をかけてあげたりして、何かしらの愛情表現や刺激を与えてみるといいかもしれません。
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猫の視線③:関心
飼い主の一挙一動に関心がある時もこちらを見つめてくるようです。「何をしているのかな」と考えているのかもしれません。
飼い主の持っているものや目線の先にあるものに興味が湧いていることもあります。大きな瞳で見つめられてしまうと思わずこちらもじーっと見つめ返してしまいそうになりますが、猫を緊張させないためにもこちらの様子を好きなだけ観察させてあげましょう。
読んでいる本や広げている新聞紙をじーっと見つめていて、何かのタイミングで飛んでくることもあります。
猫の視線④:嫉妬
他の猫を可愛がっている時に猫に見つめられていた、という経験はないでしょうか?猫は犬のように主従関係や飼い主との関係にこだわるわけではありませんが、他の猫やペットが可愛がられている時に嫉妬しているかのような様子を見せることがあります。
普段はそれほどスキンシップを好まないくせに、他の猫を抱いている時に限ってこちらにすり寄ってくるとか、目線をずっと向けているということもよくあります。
猫は自由気ままに振る舞っているようで独占欲の強い生き物であり、自分が所有していると思ったものが奪われることを許さない気質の生き物です。特に、既に猫を飼っていて、後から迎え入れた猫の方を可愛がっている時によくあることです。
先に住んでいる猫と、新入り猫との関係がうまくいっていない時は特にそうです。嫉妬心から大きなストレスを感じたり問題行動を増やしたりすることもあるため、それぞれの猫に対して平等に接するか、そのような視線を感じた時は特にかまってあげることで、その猫のストレスを緩和してあげることができるでしょう。
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猫の視線⑤:リラックスしている
リラックスしている時も、こちらに視線を向けてくることがあります。
根本にある理由は、かまってほしいという要求などと同じかもしれませんが、気持ちが落ち着いていて飼い主とのスキンシップを求めていたり、ゆっくり体を休めたいと思いながらも少しかまってほしいと思っていたりする時に、寝転がりながらこちらをじーっと見つめていることがあります。
そのような甘えた表情を見るのも、飼い主であることに幸せを感じる瞬間の一つでしょう。そのまま放っておいても問題ありませんが、優しく声をかけながら少しだけスキンシップを取ると良いでしょう。
猫の視線⑥:失敗
何かやらかしてしまったことが見つかった時にも、その後のこちらの行動を観察しようとして見つめていることがあります。その様はまるで罪悪感を感じて申し訳なく感じているかのようですが、実際はそうではないようです。
罪悪感を感じるには非常に複雑な精神構造や自我の感覚が必要であるため、人間以外の動物がそこまで複雑な感情を持つことはないとされています。いずれにしても、割ってしまったグラスや破ってしまった紙を見て、その後の飼い主の様子が変化することは観察しているようです。
それでよく怒ってしまうという飼い主の場合、それが猫にとっては怖い体験として記憶に残っているため、なおさらそうでしょう。
猫も犬もその他のあらゆる動物も、過去の事象と現在の出来事を関連させて理解することはできません。現状を理解する以上の能力がなく、本能に従って生きているからです。
猫が粗相や問題行動を起こしても、それで叱りつけたり折檻したりすることはやめましょう。叱らないとこちらの気が済まないうえに、粗相を片付けている様子を棚の上から見ていることに腹が立つのも仕方がありませんが、猫にはそれを理解する能力がありません。
さっと片づけして、今後同じ粗相や問題行動を繰り返さない対策を施して、引き続き猫が快適に暮らせるようにするしかありません。
猫は見つめ合うことが苦手
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ふとした瞬間に鋭い視線を投げかけてくるそんな猫たちですが、こちらがじーっと見つめ返すとすぐに視線を逸らすことがあります。
猫にとって目線をぶつけてにらみ合うという行為は、本来は敵とやり合う時や獲物を追う際に行う行為です。戦闘中や狩りの最中は相手のほんの少しの挙動さえも見逃すわけにはいかないため、猫に限らずあらゆる動物は目線をぶつけ合い、にらみ合います。
しかし、普段は目線をそこまで合わせることはありません。目を合わせないことでリラックスし、必要以上に相手が自分に影響を与えることを避けるためです。
これは猫同士にも起こることで、猫と猫が出会ったときはまず最初は知らないふりをして顔を背け、通り過ぎることでファーストコンタクトを取ります。相手の臭いをかいで挙動に注意は払っているため、それなりに緊張感のある状態ではありますが、トラブルを避けるために通常にらみ合うことはありません。
これは人間でも同じで、目線をあまりにも合わせているとだんだんと不快になっていきます。これには相手が自分の中に侵入してくるという心理的な要素が関係しており、猫もそれによって自分の平穏が脅かされることを嫌います。
そういった心理から、猫は自分が見つめ始めたときでも、飼い主がじーっと見つめ返してくるようであれば視線を外してこちらの手足を見つめるとか、毛づくろいを始めてにらみ合いを避けます。猫が自分とにらみ合いをしないということは、少なくともこちらを敵とは思っていないことを示しているため、可愛らしいその視線はそのままにしておきましょう。
新しく猫を迎え入れた場合や、よその猫を可愛がろうとする場合も同じことがおきます。まだ信頼関係がなく、こちらを味方と認識していない場合は、向こう側としては警戒態勢に入らざるを得ないからです。
しばらくして猫も慣れてきて、同じ空間にいても緊張しなくなってくると、視線を外すようになります。いつも観察していなくても、こちら側が脅威でないことが分かるようになってくるからです。猫にいつも見つめられていないことは猫の信頼を表していると言えます。
猫の目線は知性の表れかも
2018年にハンガリーで行われた研究では、猫は人の目線を追っており、そこから何かを推察して行動していることがあると結論されています。
それまでは、目線や声の調子だけで何かを伝えようとしたり指し示したりする「直示的行動」は犬でしか認められていなかったようです。しかし現在では、猫も同じように“目線によって行動する”ことが明らかになっています。
その研究では、隠されたエサを猫に探させるために目線だけで伝えられるのかどうかを実験しています。目線を大きく動かす動的な視線と、ちらっと見るだけの瞬間的な視線を組み合わせ、猫に場所を指し示した結果、7割程度の確率でエサを探し出したとのことです。
実験中は、半数以上が言うことを聞かなったり興味を示さなかったりなど、猫らしい性質ゆえのトラブルもあったようですが、最終的には猫も人の視線を追っているとの結論で締めくくられています。
あくまで85匹の猫を対象にした、ハンガリーだけで行われた実験ですが、猫の目線について解き明かす糸口となる興味深い実験結果です。これは、人間とのコミュニケーションという点において優れた能力を証明し得る内容であり、猫の目線にはやはり何らかの意図や意味がある、と結論付けても問題ないでしょう。
私たち飼い主が普段感じている、猫の目線を通したコミュニケーションは、本当に成り立っている可能性があると言えます。