猫に仲間意識はある?
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みなさんは「猫同士」の関係性について考えたことはありますか?猫と飼い主の関係について考えることはあるかもしれませんが、少し考えてみてください。猫同士の関係性ってどんなものなのでしょうか?今回はそんな猫の世界の一面を紹介したいと思います。
猫は孤独を好み、単独行動をする動物です。他の動物のように群れて行動することはほとんどありません。そんな猫に「仲間意識」はあるのでしょうか。
結論から言うと、猫には仲間意識はありません。群れにならず単独行動を好む猫には、やはり仲間意識というものはないようです。
家族であっても忘れる
猫はたとえ家族であっても一度離れてしまえば忘れてしまいます。ということは兄弟猫のことも忘れてしまうということでしょうか?
そうなんです。たとえ兄弟猫でも別々の飼い主さんのところに引き取られてしまえば、その時はさみしいとしても一か月も経つと忘れてしまうようです。そのため1年後に再会したとしても覚えておらず、敵とみなし攻撃して喧嘩が始まることだってあるのです。
孤独を好み単独でいることがさみしくない猫にとって、兄弟猫のことを懐かしく思い出すなんて発想はないのでしょう。兄弟のことを覚えているのは、基本的に群れで生活する動物や知能の高い動物などに限られています。
同じ縄張り内の猫であっても
猫は縄張り意識が強く、自分の縄張りに入ってきた猫に対しては攻撃的になります。しかし中には、自身の縄張り内に他の猫の侵入を許し一緒に暮らしている猫もいます。
そんな様子を見ると、同じ縄張り内にいる猫だったら仲良くしているし、仲間意識があるんじゃないか?と思う方もいることでしょう。しかしこの場合でも、やはり仲間意識というものはないようです。
猫が縄張りを大切にしている一つの理由は、自分の獲物を十分確保するためということも関係しています。猫にとって食料の確保は友情よりも大切なことです。しかし、自分の食べるものが十分にあって相手が攻撃してこなければ、ケンカするのは面倒くさいですし、相手が自分よりも強ければケンカするのも怖いです。
こうした理由から、もしかしたら同じ縄張り内で生活している猫のことは「害がないから放っておいている」程度に考えているのかもしれません。
仲間意識があると思える猫の行動
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ここまで猫には仲間意識はないことを見てきましたが、猫の行動を観察していると仲間意識があるとしか思えない!というような行動を目にすることがあるでしょう。
たとえば、仲間意識があるとしか思えない行動にはどんなものがあるでしょうか?
①猫の集会をしている
夜になると公園や空き地に猫が集まっていることがあります。よく「猫の集会」と呼ばれる光景です。
夜な夜な集まって何をしているのかは分かりませんが、情報交換やお互いに毛づくろいをしたりしています。とても不思議な光景ですね。昼間はケンカしていた猫たちが夜は公園で集まってお互いに毛づくろいするなど、猫の世界が繰り広げられています。
このように集まるのはやはり仲間だからこそ!と思わずにはいられません。
②仲間との別れを悲しんでいる
長い間ともに過ごしていた猫が急に居なくなってしまうと、悲しそうに鳴き続けたり、食欲がなくなったりする猫もいるようです。これはいつも一緒にいた仲間がいなくなって悲しいためといえるのではないでしょうか?仲間との別れを分かっているような気がします。
実際のところはわかりませんが、ゾウやイルカなど自然界の動物の中には、仲間が死ぬとその場を離れずずっとついている動物もいるようです。猫には仲間意識がないといわれていますが、仲間を思って悲しんでいるのではないか?と思ってしまう行動です。
③仲間を心配する
猫同士お互いを心配するという光景がよくあります。怒られて落ち込んでいる猫のところに別の猫が来て、慰めようと寄り添ったり舐めたりするのです。悲しそうにしていると寄り添って一緒に寝ていたり、見ているこちらとしては非常にほほえましい光景の一つでもあります。
このように相手を思いやる光景は、相手を仲間だと思っているからこそではないでしょうか?これは猫同士に限りません。飼い主さんが落ち込んでいたり、何か悲しいことがあったりすると、飼い猫が来てスリスリしてきたり舐めてきたりすることがあります。
④グループ行動をすることがある
基本的に猫は単独行動をする動物ですが、多頭飼いしている場合や縄張り内に複数の猫がいる場合などは、よく観察しているとあることに気づくことがあります。
それは、いつも一緒に行動する猫がいるということです。これを仲間意識と言うのか力関係によるものと考えるかはそれぞれですが、いつも一緒にいる様子を見ると「仲間意識があるのではないか?」と思ってしまいますよね。
⑤ケンカを仲裁する
中には猫同士のケンカの仲裁に入る猫もいます。時には人間のケンカの仲裁に入ることもあります。仲間意識がなければ、わざわざ危険を冒してケンカの仲裁などしないでしょう。
もしかしたらただ単に、ただならぬ空気感を感じて鳴いているのかもしれませんし、何が起きているのか気になっているだけなのかもしれませんが…でも本当に怖かったら逃げるはずです。そう考えるとやはり、仲間意識があるので仲裁に入っていると考えてしまいます。
多頭飼いの猫に見られる仲間意識の行動
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ここまで猫の仲間意識についてみてきました。基本的に猫に仲間意識はないということでしたが、仲間意識があるのではないか?と思わずにはいられない行動もたくさんみられます。
特に多頭飼いしているところでは、猫の仲間意識を感じることが多々あるかもしれません。
①くっついて寝る
写真投稿サイトなどにも良く掲載されているのが、猫がくっついて寝ている「猫団子」写真です。孤独が好きな単独行動の猫なのに、このようにくっついて寝ているのは多頭飼いしているところでよくみられる光景です。
どうして猫はくっついて寝ているのでしょうか?一つの理由は寒さ対策です。猫は暑い国出身の動物なので寒さを非常に苦手としています。そのため寒さ対策として体を密着させるのです。
子猫の場合は、母猫や兄弟猫と体を密着させることで安心感を得ることができるといわれています。まだ自立していない子猫にとって、信頼できる母猫や兄弟猫と一緒にいることは安心できるのでしょう。
②フードを分け合って食べる
猫は単独行動をする動物で、基本的に狩りで得た獲物を他の猫とシェアするということはありません。ですから与えられたフードを仲良く分け合って食べるというのは、多頭飼いしているところならではの光景でしょう。
これは、毎日十分なフードが与えられるので食べ物に対する心配がない、安心感があるためということができるでしょう。
③同じポーズをする
多頭飼いしている猫たちによくみられるのが、シンクロしているように同じポーズをしていることです。こうした同じポーズをするのは「仲間」であるサインといわれています。
仲間意識のない猫とは言われていますが、仲良くやっていきたいというサインを見ると、やはり仲間意識は存在するのではないか?と思ってしまいます。