寝姿から犬の気持ちが分かるってほんとう?
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飼い主さんにとっては、たとえ愛犬が白目で寝ている姿であってもとても愛しらしく感じることでしょう。実際さまざまな姿で寝る愛犬を毎日目にしているのではないでしょうか?
実はこの犬の寝姿にはそれぞれ意味や心理が隠れていることをご存知でしたか?この記事では、犬の寝姿からみる意味や心理について解説していきます。さっそくみていきましょう。
寝姿から愛犬の心理が分かる!
犬は子犬と老犬の場合は18時間以上、成犬の場合は12~15時間程度寝ると言われています。つまり、1日の半分以上は寝て過ごしているというわけです。
しかしそのうちの約8割は「ノンレム睡眠」と呼ばれる、うとうとした状態の浅い睡眠で、完全に眠っているわけではありません。目は閉じて体と頭を休ませている状態です。体を休ませながら、飼い主さんと一緒に行動するための準備をしています。
犬の寝姿によって浅い眠りなのか深い眠りなのか、また心理状態も推測することが可能です。では犬がよく見せる寝姿から、犬がどんな心理状態にあるのか知ることにしましょう。
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うつ伏せ
お腹を床につけて前足を伸ばしているうつ伏せ状態の姿勢は、犬が寝るときに見せる基本の姿勢です。左右の前足を前方に出しその間に顔を置く姿は、犬にとって起き上がりやすい姿勢なので浅い眠りになります。
犬がこの姿勢で寝る理由は、犬の被毛が背中よりもお腹の方が薄いので、身体の体温をできるだけ逃さないためと言われています。また、うとうとした状態の浅い眠りでいながらご主人さんからのコマンドを待っており、すぐに動ける姿勢をとっているとも言われています。
さらに顎を床や地面に着けて寝ているので、敵や獲物の接近を顎の骨と通して感じ、それを脳に伝えているようです。うつ伏せ状態で寝る姿は、野生時代に狩りをしていた際に身に着けたハンターとしての寝姿とも言えるでしょう。
丸まる
頭とお尻を近づけて丸まったように眠るまるでアンモナイトのような姿は、別名”ワンモナイト”と愛犬家たちの間では呼ばれています。この寝姿はうつ伏せ同様、犬の一般的な睡眠姿勢のひとつです。
丸まって眠ることで外気に触れる表面積をなるべく少なくして暖をとり、なおかつ内臓を攻撃から守っている姿勢のため、少し緊張している可能性があります。特に寒くないのに丸まって寝ている場合は、緊張している状態と言えます。
また、犬にとって急所となるお腹や鼻を隠して丸くなっている場合は、周囲を警戒している心理状態です。ただ、犬の先祖は穴を掘り、その中に丸まって寝る習性があるため、その習性が深く残っている可能性もあります。
同じ姿勢でも愛犬が寝ているシチュエーションによって、意味合いが少し変わってくると言えるでしょう。
横向き
横向きとは左右どちらかを下にして、四肢を伸ばした状態で寝ている姿です。この姿勢は起き上がるまでに少し時間がかかるので、リラックスして深い眠りについている時に見せることが多いのが特徴です。
愛犬が過ごしてる環境が居心地よく、安心して深い眠りについている証拠なので、愛犬がこの状態で寝ている時はそっと見守ってあげましょう。
仰向け
おへそがまる見えの仰向け状態で寝ている姿は、おへそが天に向かって見えているため、通称”へそ天”とも呼ばれています。
急所であるお腹を見せて眠っている仰向け状態の寝姿は最も無防備な状態なので、安心しきってリラックスしている証拠です。自分の身の安全に不安を一切感じていないので、深い眠りに入っています。
愛犬が仰向け状態で寝ているなら、起こさないよう静かに見守ってあげましょう。
空を飛んでいるように手足を伸ばしている
仰向け状態で、手も足も真っ直ぐ伸ばして寝ている姿を見たことがありますか?この寝姿は、飼い主さんに呼ばれた時すぐに反応できるよう手足が伸びていると言われています。
お腹を丸出しにしているので、安心した環境でないと見せない姿ですが、元気いっぱいである証拠と言えます。
足がいろいろな方向を向いて寝ている
それぞれの足がさまざまな方向に向かって寝ていることもあります。犬の急所でもあるお腹を見せていますし、どうみても警戒心ゼロの寝姿です。
特に大らかな性格をしている子がよく見せる寝姿のひとつです。
愛犬の睡眠時の行動から分かること
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寝姿だけでなく、愛犬の睡眠時の行動からも気持ちや心理状態を知ることができます。
①飼い主さんやその家族の横で寝る
愛犬が飼い主さんやその家族の体の一部に寄り添って寝ることがあります。きっと多くの飼い主さんが日頃経験していることではないでしょうか?
これは犬の先祖の習性が関係していると言われています。そもそも犬の祖先は集団で生活していました。そのため、仲間同士で寄り添って体温を保って温め合ったり、敵から身を守ったりするためにこうした行動を取っていました。
現在の犬もその習性が残っており、飼い主さんの横で寄り添って寝るのは安心しているからこそ見せる行動で、信頼している証拠です。
②お気に入りのおもちゃと一緒に寝ている
愛犬がお気に入りのおもちゃと一緒に寝るのは、気持ちを落ち着かせるためにみせる行動と言われています。これは人間の赤ちゃんも見せる行動のひとつです。お気に入りのおもちゃを抱いて寝ることで、安心して眠れるのでしょう。
③身体の一部がピクピク動いている
愛犬の寝姿を観察していると、愛犬の身体が急にピクピクと動く瞬間を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
睡眠時のこの動きは、犬も人間のように夢を見ていることで起きるといわれています。愛犬が寝ている最中に急に動きだすとびっくりしますが、おそらく楽しい夢を見ている最中なのでそのままそっと眠らせてあげましょう。
④寝言を言う
犬も人間同様、寝ているときに”クンクン”とか”クーン”など寝言を言うことがあります。
犬の睡眠のサイクルも、人間と同じくレム睡眠とノンレム睡眠があり、レム睡眠中に脳が記憶を整理している最中に寝言を言っていると言われています。どの犬も寝言を言うので、特に心配する必要はありません。
⑤いびきをかく
疲れているときは人間もいびきをかくように、犬もいびきをかきます。一時的ないびきなら特に問題ないので心配する必要はないでしょう。
しかし、注意したいのは慢性的にいびきをかいている場合です。いびきを慢性的にかいていると呼吸の邪魔となり、身体全体に酸素が行き届きにくくなります。
特に、犬にとって呼吸は体内の温度調節の役割もあるので、その機能が低下してしまうと病気を引き起こす危険性があります。
また、病気が原因でいびきをかいているケースもあります。愛犬のいびきがあまりにも激しかったり、苦しそうに感じたりするなら、動物病院を受診した方が良いでしょう。
短頭種は鼻の構造上いびきをかきやすい性質をしていると言われていますが、すべての犬に共通するいびきの原因には、下記のような点が挙げられます。
<いびきをかく原因となるもの>
■肥満
肥満状態の犬は喉の周辺に脂肪がつき、喉が狭くなっているためいびきをかきやすくなります。肥満が原因でいびきをかいていると思われるなら、食事や運動量を見直す、ダイエットをするなどの改善策をとりましょう。
■環境
たばこの煙やハウスダスト、花粉などの空気の汚れが原因で鼻の粘膜が傷つくと、犬の体は鼻水を出して粘膜を守ろうと働きます。そのため、いびきをかきやすくなります。空気清浄機などを使い、環境を見直してみましょう。
■病気
鼻炎など鼻や気管の疾患、腫瘍、心臓病などを患っている場合、いびきをかくことがあります。今までいびきをかいていなかったのに、突然大きないびきをかくようになった場合は病気のサインと思われます。
■犬種
短頭種の場合、特にいびきをかきやすい傾向にあります。それにはパグやブルドッグ、シーズーなどが挙げられます。先天的に”鼻腔狭搾症”という病気を持っている子も多く、大きないびきをかいている場合は鼻腔狭搾症が疑われます。
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⑥狭い場所で寝ている
犬は狭い場所で寝ることが好きな動物です。なぜなら犬の祖先は巣穴で寝るという習性があったため、今でもその習性が残されているからです。そのため明るくて広い場所よりも、巣穴のように暗くて狭い所に安心感を覚えるようです。
家の中でも壁の隅などに身体の一部をくっつけて寝ると、落ち着いて眠れると言われています。
⑦睡眠中に尻尾がパタパタと動く
睡眠中に尻尾だけがパタパタと動く光景もよく目にします。尻尾は犬にとって感情をあらわす重要な役割を果たしていますので、夢を見ていることが考えられます。
尻尾が思いっきり動いているのであれば、夢の中で美味しいごはんを食べていたり、飼い主さんと遊んでいたりなど、嬉しい出来事の夢を見ているのかもしれません。
⑧前後の足を動かし寝ながら走り出す
今まで静かに寝ていたと思ったら、突然横になっている状態のまま凄いスピードで足を動かすことがあります。きっとどこか広い場所で思いっきり走っている夢を見ているのでしょう。
睡眠時の状態から分かる犬の病気とは?
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愛犬が慢性的ないびきをかいていないから安心!とお考えの飼い主さんもいるかもしれませんが、いびき以外にも睡眠時の様子から病気が分かる場合があります。
もし愛犬が、寝ている時に激しい動きをするなら注意が必要です。特にその動きが慢性的なもので、長時間何度も繰り返しているなら、脳の病気が考えられます。
脳の病気かどうかは特別な検査をしないと判断することができませんので、少しでも気になる様子があるならそれを動画などに撮り、かかりつけの獣医師さんに見せてみましょう。
また、老犬でもないのに睡眠時間が必要以上に長い場合も、何かの病気を患っていることが考えられます。すぐに異変に気づくことができるよう日頃から愛犬をよく観察し、スキンシップをはかるようにしましょう。