猫の兄弟関係ってどんな感じなの?
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猫は一度に平均して3~5匹の子猫を出産します。同じ両親を持って生まれ、大切な家族である「兄弟」がいるわけですが、猫の兄弟も仲良しだったりケンカをしたりすることがあるのでしょうか?
同じ両親を持ち大切な家族でもある「兄弟」。血のつながっている猫の兄弟はいつも一緒でとても仲良しなイメージを持っている方もおられるでしょう。
人間であるならば兄弟は兄弟喧嘩をしても、また仲直りして切っても切れない大切な家族です。では、猫の兄弟は人間と同じように仲良しなのでしょうか。
生まれたときから一緒で血もつながっていると「仲良し」と思いがちですが、実はそうとも限らないようです。そこで今回は猫の兄弟仲についてご紹介していきたいと思います。人間から見ると不思議な関係性と感じることもあるかもしれませんよ。
猫の兄弟は仲良しとは限らない
結論として猫の兄弟は「仲良し」とは限らないということです。これを聞くと「血がつながっているのにどうしてだろう…」と思ってしまいますよね。
血がつながっていても兄弟が仲良しとは限らない理由としては、同じ母猫から生まれた兄弟の猫たちも「性格や相性はそれぞれだから」です。お互い似た者同士で性格が合えば、もちろん兄弟仲良しになるのですが、合わなければケンカをしてしまうこともあります。
猫の兄弟が仲良くないとどうなる?
仲良くないもの同士がお互いに同じ場所に居合わせると縄張り争いをするようになり、威嚇やケンカをするようになってしまうでしょう。日なたぼっこの場所を取り合ったり、おやつを与えるとやはり取り合いになってしまうことも生じる可能性があります。
エサも別にしてあげるようにしても、距離を離して置いても取り合いのようになることも考えられます。相性が悪いというのは比較的オス同士に見られることのようですが、とくに去勢していないと闘争心が強いため、ケンカになりやすいでしょう。
神経質で気性が荒い兄と穏やかでおっとりした性格の弟を一緒に飼っていた飼い主さんは、2匹は生まれたときからずっと一緒に暮らしてきたけれど、あまりうまくいっていないことが見ていて分かったそうです。普段から兄弟猫で仲良くじゃれたり一緒に遊んだりすることもなかったそうです。
お互いが同じ部屋にいても一定の距離を保ちながら過ごしているように見受けられたそうです。このように、同じ猫の兄弟でも性格や相性によっては必ずしも仲良しに暮らしているとは限らないということが分かりますね。
猫の兄弟のお互いが穏やかな性格・優しい性格を持っていれば仲良くできますし、多頭飼いにも向いているような優しくて元気な性格の猫種であればよりうまくいくことでしょう。しかし、気性の荒い性格を持つ猫や縄張り意識が強い猫はなかなか兄弟であっても仲良くとはいかないようです。
猫の兄弟の関係性と認識
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猫の兄弟が仲良くできるかどうかは性格によると考えると、猫はどのように自分の兄弟のことを認識しているのでしょうか。片方が病気で亡くなってしまったら飼い主さんは悲しみますが、一緒に暮らしてきた猫は、自分の兄弟がいなくってしまったとか、「寂しい」と感じるている様子はないように見えます。
探すような素振りもまったくしないので、猫は「兄弟がいなくなったという認識がないのではないか?」と思う人もいるでしょう。猫の兄弟の関係性と認識は人間の家族や兄弟とは少し考え方が異なるようです。そこでここからは、猫の兄弟の関係性と認識について見ていくことにしましょう。
実は驚くことに猫の兄弟は「お互いに兄弟」という認識がありません。同じ母親から生まれて、同じように育っていても「兄弟」というよりも「いつも一緒にいる相手」や「同じ仲間」という認識があるようです。このように同じ母猫から生まれ一緒に暮らしていても猫の兄弟という認識がないようです。
ちなみに生みの親である母猫にも同じように「お母さん」という認識はなく、「仲間」だと思っています。一緒に暮らさずに猫の兄弟が別々の家庭に引き取られ、バラバラに引き離されても特に悲しいという感情はないようです。
その後にたとえ再会したとしても猫には「兄弟に巡り会えた」「再会できた」というような感情は全くなく、お互いが初対面になってしまうという関係性です。猫は瞬間的な恐怖などはきちんと記憶していますが、一番大切な家族には意外にもこのような関係性や認識があります。
兄弟猫同士がケンカを始めたら
猫は子猫のときから兄弟同士で遊びながら「狩り」の仕方を覚えますので、じゃれ合いはよく見られる行動と言えるでしょう。じゃれあいは「遊び」のうちですから、決して人間が手を出さないようにしましょう。下手に止めようとするととばっちりでケガをすることもあるようです。
仮にどちらかが強く噛まれたりして痛そうな鳴き声を上げても、相手の猫は「これ以上強く噛んではいけない」ということを学習するそうです。じゃれあいが始まったらしばらくは見ているだけで手を出さないようにしましょう。
しかし本気のケンカになっている場合には仲裁が必要になるかもしれません。猫は鋭い爪と牙を持っているので、エスカレートすると流血騒ぎに発展します。そんなときにはさすがに止めに入ったほうが良いそうですが、飼い主さんが手を出すのは厳禁です。大けがにつながることもあるので注意が必要です。
ケンカを止める方法としては、水鉄砲をかける、大きな音を出す、タオルをかけるなど、飼い主さんがどちらかをひいきしない形でケンカを止めることが重要です。猫の注意を他の物に逸らす仕方でケンカの仲裁に入るようにしましょう。
多頭飼いする上で気をつけること
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兄弟や家族として認識がない猫はもともと単独行動を好みます。そのことを考えて、多頭飼いにありがちなストレス要因となるものを取り除いてあげることが大事です。多頭飼いをする際に注意すべことをいくつか見ておきましょう。
1.猫を多頭飼いする余力があるか考える
多頭飼いするためには、複数の猫を飼育するだけの環境づくりが大切です。飼育費用などの経済的負担はもちろんのこと、お世話を擦する時間と体力があるかなど、猫が増えることで大きくなる負担と責任についてしっかりと考えてみましょう。
賃貸のアパートなどは、飼育頭数を制限しているところもあります。先住猫がいるのであれば、縄張りを侵すことがないように十分な居住スペースを確保できるかどうかについても考える必要があるでしょう。部屋の広さや数を十分に確保できないと猫同士のトラブルが発生しやすくなるでしょう。
トイレ以外で排泄したりするなどの問題行動が増える場合もあるので注意が必要です。また、居住スペースだけでなくトイレや食器もすべて個別に用意してあげることが必要です。それぞれが独立した存在であることを意識して飼うようにしましょう。
2.猫同士の相性を考える
猫同士の相性を考える時には、年齢差・性別・性格・猫種に注意して考慮できるでしょう。若齢の猫ほど、新しい猫と良い関係を築きやすいと言われています。生後半年以下の子猫は周りの環境にも順応しやすく、他の猫にもスムーズに受け入れられることが多いようです。しかし、年齢差が広がり過ぎると上手くいかないケースもあるようで、年齢差は4~5歳の差にとどめておくとよいとされています。
また避妊や去勢手術を済ませたオスとメスや、メス同士は比較的問題を起こさないで生活できると言われているそうです。その一方で、成猫のオス同士は縄張り意識が強く、ケンカをしやすくなるので多頭飼いにはあまり向いていないでしょう。親子や兄弟猫は比較的仲良くなりやすいと言われているので、オス同士を飼う場合は血縁関係のある猫を選ぶと良いかもしれませんね。
甘えん坊や寂しがり屋な性格の猫は多頭飼いに向いていますが、逆に自立心旺盛な猫はストレスを溜めてしまうことがあります。多頭飼いする場合は、猫の性格を見極めることも大切なポイントです。その他にも個人差はありますが、マンチカンやアビシニアン、シャム猫などの猫種によっては多頭飼いに向いているものもいます。