猫にとって”ひげ”は体の大切な一部で、さまざまな役割があります。そんな大切なひげが折れたり切れたりしてしまう原因とは何でしょうか?
この記事では猫のひげについて詳しく解説していきます。さっそくみていきましょう。
知っておきたい猫のひげの名前
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猫には口元だけでなく、全部で5種類のひげが顔に生えていることをご存知でしたか?
それは「上毛」「口角毛」「上唇毛」「頬骨毛」「頭下毛」の5種類です。
上毛
上毛とは目の上に生えているひげです。片方に約6本ずつ生えています。
口角毛
口角毛は猫の口角の直線状に生えている頬のひげです。左右に約2本程度生えています。
上唇毛
上唇毛は口の上に生えている一番立派なひげです。左右それぞれ16本程度ずつ生えています。毛穴は水平に4本並んでおり、上2段と下2段を別々に動かし、さまざまな働きをしています。
上唇毛を左右合わせると、猫の体の幅よりも長い幅になります。
頬骨毛
頬骨毛は口角から耳にかけて斜めに生えているひげのことです。左右の頬骨の上に約2本程度生えています。
頭下毛
頭下毛は顎の下に生えている短いひげです。個体によって長さが違うようです。
猫のひげの役割とは
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可愛らしい見た目をしている猫のひげですが、実はとても重要な役割を持っています。
役割その① 空気の流れをキャッチしている
猫のヒゲは被毛よりも2~3倍太く、3倍も深く体内に埋め込まれているため、根本には外界の変化を敏感に感知するセンサーが存在しています。
ひげの根元には血液で満たされている”環状洞”と呼ばれるものがあり、微小なひげの振動も感知して知覚神経へ信号を伝える役割を持っています。
そのため、猫が障害物に近づくと空気の流れが乱れるので、ひげがその変化をキャッチし、猫は真っ暗な中でも障害物にぶつからずに歩くことが可能となっています。
また、大きくジャンプする前も風向きや風速をひげで感じ、平衡感覚を保ちながらジャンプをすることができています。さらに空気の変化を感じるため、天気や地震などを予知する能力も備えています。
役割その② 獲物を察知している
猫はえもののにおいや空気で伝わる音波など、耳ではとらえることが難しい微妙な振動をひげでキャッチし、獲物のいる方向をひげで確認しています。
また、猫の視力は弱いため近くのものは見えませんが、ひげで食べ物を感じ取る働きもしています。実際にひげで獲物に触れて、その振動で獲物の生死を判断しているとも言われています。
役割その③ 目を守っている
猫のひげはまぶたとつながっており、それを守る役割をしています。そのため顔の近くに何か刺激を感じると、すぐに目を閉じることができます。
また細かいゴミを吸着したり、目にゴミが入らないよう保護したりする役割もしています。
役割その④ 通れる幅があるかどうかひげの長さで比較しながら判断している
猫のひげは顔の周りに丸くなるように生えています。これにより、猫はひげを使ってここが通れる場所かどうかを判断しています。
狭い場所を通りたいときはひげを思いっきり広げ、まず顔を入れてひげが当たらないかどうか幅を確認し、ひげが通れば身体全体も通れると判断するのです。
役割その⑤ 感情をあらわしている
猫のひげはその時の気持ちを表しています。たとえばひげが次のような状態のとき、猫はこのような気持ちを表現しています。
猫のひげの様子 | 猫の気持ち |
---|---|
ひげが前をむいているとき | 何かに興味がある、何かに警戒している、興奮状態 |
ひげが横いっぱいに広がっているとき | 周囲の様子を確認している |
ひげが上を向いているとき | 満足している、嬉しい |
ひげが下に垂れているとき | リラックスしている、眠い |
ひげが後ろにひかれているとき | (食事などで)ひげが汚れないようにしている |
ひげを頬にぴったりつけているとき | 恐怖を感じている |
猫のひげが折れる原因とは
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猫にとって大事な役割を果たしているひげですが、折れてしまうこともあります。愛猫のひげが折れているのを発見したことがありますか?ひげが折れていると、大丈夫かと心配になることでしょう。
なぜ猫のひげは折れることがあるのでしょうか?それにはいくつかの理由がありますが、そのほとんどが物理的な原因と言われています。
原因① 寝ているときにひげが押しつぶされて折れてしまった
猫のひげは横に曲げると折れやすい傾向にあります。そのため、横に転がった拍子に折れてしまうことがあります。
原因② 毛づくろいをしているときに折れてしまった
セルフグルーミングをしている最中に、目の上のひげが折れてしまうこともあります。
原因③ ほかの猫とけんかやじゃれあいをして折れてしまった
多頭飼いや屋外への外出が自由にできる猫の場合、ほかの猫にひげを噛み取られてしまい折れたような状態になってしまう可能性もあります。
原因④ 栄養不足で折れた
栄養が不足するとひげにまで栄養が届かず、ひげが細くなってしまい、結果として折れやすくなってしまいます。
また、子猫は成猫よりも細いひげをしているので、折れやすい傾向にあります。
原因⑤ 老化現象で折れた
年齢を重ねると毛並みのツヤがなくなってくることに加え、ひげも折れやすくなります。若い頃はひげにハリがあったのに、年齢ゆえにひげにハリがなくなることもあります。
ねこのひげが切れてしまう理由も同じ
猫のヒゲが折れていても気になりますが、切れていても気になります。なぜひげが切れてしまうことがあるのでしょうか?
ひげが切れてしまう理由の多くは、自然に切れてしまうことのようです。猫同士のけんかで切れてしまうこともあります。いずれにしても、ひげが折れてしまう原因とほぼ同じと言えるでしょう。
猫のひげは抜けることもある!
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猫のひげは上記の理由で折れることがありますが、抜けることもあります。猫をすでに飼っている方なら、床にときどきひげが落ちているのを見つけたことがあるのではないでしょうか?
ではねこのひげが抜ける理由とは何でしょうか?
理由① 自然なサイクル
猫のひげはわたしたちの髪の毛のように抜け変わります。個体差もありますが、猫のひげは半年に1度、数本抜けると言われています。特に若い猫はひげが抜けやすいようです。
ひげは新しいものが生えてきてから抜けるというサイクルになっているので、ひげがなくなるという心配はありません。自然なサイクルでひげが抜ける場合は、健康な証拠なので問題ありません。
理由② ストレス
マイペースな性格をしている猫ですが、実はとても繊細な一面を持ち合わせています。そのため、少しの変化でもストレスを感じてしまいます。
具体的には引っ越し、飼い主さんの結婚、出産、新しい猫を飼うなどが大きなストレスとなることがあります。これらストレスが原因となり、ひげが抜けてしまうのです。
理由③ 病気
ひげが自然なサイクルで抜けることは健康な証拠ですが、ストレスが病気につながり抜けることがあります。
病気で抜ける場合は、その原因を早急に見つける必要があります。
猫のひげが抜けることで考えられる病気とは
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では、猫のひげが抜けることで考えられる病気には何があるでしょうか?
ニキビダニ症
猫のニキビダニ症とは皮膚表面や毛包、皮脂腺にニキビダニが寄生し、炎症を引き起こしている病気です。主に目や首、頭部などに発症しやすくなっています。
症状として膿疱(のうほう)ができる、皮膚がただれて赤くなる、フケが多く発症する、毛やひげが抜けるなどが挙げられます。さらに症状が悪化すると膿皮症になることがあります。
猫エイズ
猫エイズ、つまり猫免疫不全ウイルス感染症は、人間のエイズに症状が似ているため猫エイズと呼ばれています。
主に猫の免疫力が低下するとさまざまな症状がでてきます。そのひとつに、皮膚炎などが併発することによりひげが抜けることがあります。残念ながら明確な治療法がないので完治することはできません。