ライオンと猫の相違点を見つけよう
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アフリカの灼熱の太陽がサンサンと照りつける真っ昼間に、ライオンがあおむけになりお腹を出して足の裏を空に向けて眠り込んでいる光景を見たら、この獰猛なライオンも飼い慣らされた家猫と大して変わらないのではないかと誰もが思うかも知れません。
やはりネコ科はネコ科なりの特徴があり、ライオンであっても猫であっても似たような行動をとることがあるのでしょう。
今回はライオンと猫の相違点について考えてみたいと思います。
ライオンとネコの基本情報
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ライオンは哺乳綱、食肉目、ネコ科、ヒョウ属。
ネコは哺乳綱、食肉目、ネコ亜目、ネコ科、ネコ属。
とあるように、ネコ科までは同じですが、ライオンはヒョウ属にネコはネコ属に分けられます。
行動は群れ? 単独?
ネコは基本、単独行動です。ライオンはネコ科の中では珍しく社会性を持っています。プライドと呼ばれる群れを作って、長期間に渡る共同生活を送ります。単独行動を行うネコと集団生活を行うライオンとでは基本的に違いがあると言えます。
しかし母親ネコと母親ライオンとの間には共通点と言えるものがあります。
意外にも野良の母親猫はその子供たちと群れを形成します。そこには血統的なつながりがあります。もしネコの群れが大きいのならば、親子、姉妹などの家系がいくつか集まったものと言えるかもしれません。しかし同居生活をしているからと言っても常に一緒にいるわけではなく、ほとんどの時間は単独で1日を過ごしているのです。
メスネコの群居生活に似ている生活スタイルを持っているのはメスライオンです。メスライオンはネコと同様に、親子や姉妹などと血縁関係のメス同士が群れを作り、長期間にわたって共同生活を送ります。
基本的にネコは単独行動で、ライオンは群れを作って生活を送ります。しかし、メス猫は「単独生活」と「群居生活」というネコ科の動物の二面性を兼ねそろえているようです。
睡眠
ライオンは一日のほとんどを寝て過ごし、その時間は平均20時間とも言われています。
ネコに関しても同じようなことが言えます。ネコの語源が『寝子』であるという説もある通り、ネコの睡眠時間は14〜16時間と言われています。また長い睡眠時間だと20時間とも言われています。
ライオンもネコも睡眠時間が長いのはネコ科の特徴とも言えるかもしれません。ネコ科の動物は肉食動物という共通点もあり、草食動物に比べると食事にありつける機会が少ないと言えます。しかし高カロリーの食事なので、一度食事を食べた後はしばらく食べる必要がなく、何もしない時間帯はとにかく寝ることによって「無駄なエネルギー消費」を避ける暮らし方をしているといわれています。
自分でエサを探し求めなければならないライオンやネコにとっては睡眠も大切なことなのです。
しかし家で飼われているねこちゃんもよく寝ていますよね。外からの訪問者が少なく、家で可愛がられ、エサが十分に与えられ、探し回る必要もないと「安心できる環境」ということでネコはよく寝ます。
いずれにしてもネコ科の動物はよく寝ます。
睡眠の質
では、寝てばかりいるライオンとネコの睡眠の質はどのようなものなのでしょうか。
昼間の動物園でライオンを見ると……寝ている 寝ている 寝ている……。食事の時間とおやつの時間くらいは動く姿を見ることができる……という感じです。これだけ寝ていればさぞかし熟睡しているのかと思ってしまいます。
しかしその寝ている姿をよく観察してみると、口元がヒクヒクと動いていたり、まぶたもピクピク、しっぽもなんとなく動いていたりする感じがします。そうなんです、ライオンの睡眠は爆睡モードではないのです。身を横たえ目を閉じてはいますが、爆睡しているわけではないのです。
同様のことはネコにも当てはまります。野良猫はもちろん飼い猫であっても同じです。熟睡しているかのように見えても、ちょっとした物音ですっ飛んでくるくらいの勢いがあります。それらは野生の名残ともいえるでしょう。長い睡眠時間をとってはいますが、ずーっと「深い睡眠」をとっているわけではなく、「うつらうつらの睡眠」がかなりの時間含まれているのです。
その睡眠の質がライオンやネコにとって良いのか悪いのかは彼ら自身でなければ分かりませんが、同じような睡眠方法を人間がとっていれば体調を崩してしまうかもしれませんね。
食事は肉食ー狩りの方法は?
ライオンもネコも肉食動物です。しかし、体の大きさから見ても捕食する動物に違いはあります。
ライオンの獲物となるものはノウサギ、ヒヒ、ヌー、イノシシ、シカ、シマウマ、また時としてヤマアラシやマングース、ダチョウやハゲワシ、ナイルワニなども襲うことがあります。成熟したサイ、カバ、ゾウ、キリンなどの大型動物は、ライオン自身がケガを追うことがあるため襲うことはまれですが、地域によってはバッファローやキリンは襲われています。
ネコが捕食する生き物としてみなさんがよく知っているのはネズミ、スズメです。他には環境にもよりますが、ハトやウサギ、ヘビやトカゲ、カエルなどがあげられます。大きさにもちろん違いはありますが、ライオンもネコも肉食動物です。
猫パンチとライオンパンチ
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獲物を仕留めるための技とも言えるものが『パンチ』です。
ライオンやネコの狩りの方法ですが、まずは獲物を見つけることから始めます。獲物をが見つかったら自分の気配を消すために草の中へ隠れます。効率よく危険を避けるために策略を練っているのかもしれません。緊張感の中、狙いを定め身を低くして一気に飛びかかり「ネコorライオンパンチ」の炸裂です。
ネコのパンチは鳥やネズミを気絶させるほどの強力さがありますが、ライオンのパンチは桁違いで、ハイエナの背骨を折ることができる威力とも言われています。
ネコもライオンも同じネコ科の動物として『パンチ』という武器を使って攻撃方法を用いるようです。
しかし、狩りに関して違いもあります。ネコは単独で狩りをします。独立心が強く、無理強いされることを嫌うからでしょう。
それに対してライオンは、集団で協力し合って狩りをし、狙った獲物を追いかけ回します。獲物が油断している隙にまずは一頭のライオンが走り出し、残りのライオンがそのライオンに続いて狩りに参加します。
ネコは単独、ライオンは集団でとの違いはあるものの、獲物に対しては強力なパンチや噛みつきを繰り返し、逃げ回るところを追いかけ、引きずり倒し追い打ちをかけ、息の根を止めるという方法はネコもライオンも同じなのです。
母親の愛
愛情の掛け方というものは色々あります。ここでは母親ライオンと母親ネコが子供たちを加えて運んでいる様子に愛情を感じましたのでご紹介したいと思います。
◆ライオン編
https://m.youtube.com/watch?v=73dFc3bNIoc
南アフリカのサビー川の岸辺に2匹のメスライオンがたたずんでいます。ゾウの群れに突撃され、母親ライオンたちは子供ライオンとはぐれてしまったようです。ゾウの群れがいなくなるのを待ち子供たちを探し始める母親ライオン。しばらく後5匹の子供ライオンと再会することができましたが、最後の1匹が見つかりません。最後の1匹は草むらでSOSの声を出してはいるもののなかなか母親には届かなかったようです。それでも母親はその声を聴き取り探し出し、最後の1匹をくわえて草むらから出てきました。
最後まで見ていると「良かったぁ〜」という気持ちになりますね。
◆ネコ編ー1分30秒あたりから子猫をくわえます。
https://m.youtube.com/watch?v=F12D4zPcUEA
子猫をくわえた状態でジャンプし、海辺の堤防を子猫をくわえて走っている姿に母親の愛情を感じますねぇ〜。
母親の愛情というものはネコもライオンも、本当にすごいですね。