猫とお酒の相性ってどうなの?
NatUlrich/shutterstock.com
「暑い夏は冷たいビールが最高に美味いですね!」といいながら、酒好きな人は1年中理由をつけて美味しく飲んでいるものですよね。さて、一人でシュワシュワと飲むのもいいですが、一緒に飲む人がいるとさらにお酒が進みますね。そこに飼い猫がいると、一緒に飲んでくれたりするのかなと考えてしまう人もいるようです。
面白半分にペットにお酒を飲ませて動画を公開している人もいるようなので、中には少しくらいならお酒を飲ませても大丈夫だと勘違いしている人がいるようです。最初にビシッと言っておきますが、猫にお酒は絶対に飲ませてはいけません。
美味しいお酒を愛猫と一緒に楽しみたいという気持ちはわからないでもないので、今回はどうして猫にお酒を与えてはいけないのかについて説明したいと思います。
またどうしても一緒に飲みたいという人のための情報もまとめました。そこで発見したのがなんと猫用のお酒です。今回はお酒と猫を愛する飼い主さんのために、役立つ情報をお届けしますね。
猫にお酒を与えてはいけない理由
猫の肝臓はアルコールを分解することができません。間違ってアルコールを摂取してしまうと、アルコールを分解する酵素がないため、体内に有毒物質として長期間残ってしまいます。少量であっても猫にとっては分解のできない有毒物質ですから、体にいいわけがありません。
中には「少しのビールで毛並みが良くなる」とか、「少しのお酒は健康にいい」と意見する人もいるようですが、上記の理由から猫にアルコール類を与えてはいけません。人間に比べるとはるかに小さな動物ですから、少量のアルコールを摂取しただけでも危険な状態に陥る可能性があります。
人間と猫の体のつくりは違うため、人間にとって問題のないものでも猫にとっては危険だという食べ物はいろいろとあります。アルコール類も猫にとっては命にかかわるほど危険なものだということを決して忘れないでください。
猫がお酒を間違って飲んでしまったらどうなるの?
VP Photo Studio/shutterstock.com
好奇心旺盛な愛猫が間違ってお酒を口にしてしまったらどうなるのでしょうか?個体差や摂取量にもよりますが、下痢や嘔吐といった症状が見られるようになります。そして意識がもうろうとして体中が震えるという症状もあらわれるでしょう。
呼吸困難になってやがて昏睡状態、最悪の場合はそのまま命を落とすということもあり得ます。また、命を落とすまでにはならなかったとしても、アルコールが体外に排出されないために、肝臓などの内臓器官に大きなダメージを残すことが考えられます。そうなると、病気になりやすくなり寿命が縮まることになってしまいます。
猫にとってのアルコール致死量は、体重1㎏あたりアルコール5.6mlだとされています。猫がアルコール度数の高いウイスキーをごくごくと水のように飲むことは想像しにくいですし、アルコール度数が5%ほどのビールであってもぐいぐい飲むことはないでしょう。
それでも、この数字はあくまで致死量です。全般的なリスクのことを考えれば「これくらいなら飲んでもいい」という話ではありません。ほんの少しであっても猫にとっては有害であり、苦痛やストレスを与えるだけになります。面白半分にアルコール類を与えることはもってのほかですし、間違って舐めてしまわないように管理するのも飼い主の責任だといえるでしょう。
猫がお酒を飲んでしまった時の対処法
注意していたにもかかわらず愛猫が間違ってお酒を飲んでしまった場合、どうしたらいいでしょうか?少量であれば様子を見て問題がなければ大丈夫だという情報もあります。しかしアルコールが分解できない有害物質であることを考えると、すぐに中毒症状が出なくても心配になるでしょう。
それで、まずは動物病院に連絡して獣医師さんに相談することをおすすめします。その際は何をいつどのくらい飲んだのかできるだけ詳しい情報を伝えましょう。そして現在の様子も伝えるようにすれば、何かしらの指示を得ることができるでしょう。
あわてて水を大量に飲ますとか、口に指を入れて吐かせるという方法が思いつくかもしれませんが、素人判断で処置を行うと症状を悪化させる可能性があるので、まずは獣医師さんの指示を仰ぐことを優先させましょう。どうしても打つ手がない時に最終手段として吐かせるという方法があります。
ふだんから連絡を取りやすい動物病院をリストアップしておくと、いざという時に迅速に行動することができます。24時間対応、休日対応など、いつでも連絡できるところがあると安心ですね。特にお酒に関するトラブルは夜に起こりやすいので、連絡可能な時間帯や診察時間を調べておくようにしましょう。
猫がお酒を間違って飲んでしまうシチュエーション
Medvedev Andrey/shutterstock.com
予防に勝る対処法はありません。そこでここからは愛猫がお酒を飲んでしまわないためにできるいくつかの実践的な対処法を紹介したいと思います。しかしまずは猫がお酒を飲んでしまいやすいシチュエーションから学んでおきましょう。
目を離したすきにペロッと舐めてしまった
美味しそうに飼い主がお酒を飲んでいると、愛猫が興味を示すこともあるようです。甘い香りに魅せられて寄ってきたり、好奇心から寄ってきたりもするかもしれません。そんな時に飼い主が目を離すと、ペロッと舐めてしまうこともあり得ます。
こぼしたお酒、飲み残しのお酒を舐めてしまった
飼い主や一緒にお酒を飲んでいる仲間がこぼしてしまったお酒をペロペロと舐めにくる場合もあり得ます。ただ単に喉が渇いていたのかもしれませんし、興味本位に試しに舐めてみたのかもしれません。「お酒だから危険」という感覚は猫にはありませんから油断してしまうのです。
さらに飲み残しのコップに入ったお酒を舐めてしまうこともあり得ます。ちょうど顔が入るような口の広いグラスだと、水を飲むようにしてペロペロと舐めてしまうでしょう。また、缶や瓶に入ったお酒であっても、倒してこぼしてからペロッと舐めることもできます。
来客が面白がって飲ませてしまった
家で来客と一緒にお酒を楽しんでいる時に、来客が面白がって愛猫にお酒を飲ませてしまうということもあり得ます。面白半分にビールを飲ませて動画を撮る人もいるくらいですから、すべての人が猫におけるお酒の危険を知っているわけではありません。みんなでワイワイとお酒を楽しんでいると、だんだんと陽気になって面白半分に愛猫に飲ませてしまう人も出てくる恐れがあるので気を付けましょう。
お酒以外の危険なアルコール類
お酒以外でもアルコール類を摂取してしまうシチュエーションがあります。例えば消毒でアルコールを患部につけたときに舐めてしまうという場合です。やはり体に何かを塗りつけられると気になってしまうようです。
消毒液のほかにも、除菌スプレーやウェットティッシュにアルコールが使用されていることもあります。猫がおもちゃにいたずらをしている間に口に入れてしまうこともあり得るでしょう。また、猫の顔や体を拭いてあげようとしてウェットティッシュを使い、後でハッとなることもありえます。