アボカドと猫
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「森のバター」とも呼ばれているアボカドは濃厚でクリーミーな味わいと、世界一と評される栄養価の高さで多くの人に人気のある食材です。マグロに食感が似ているともいわれることがあり、醤油とワサビでお刺身のようにいただくという人もいるのではないでしょうか。
美味しくて栄養満点のアボカドが食卓に登場することも増えています。またアボカドを使用した商品も増えているので、家庭によってはアボカドが身近なものになっているという場合もあります。
では、猫にとってアボカドは与えてもいい食材なのでしょうか?ペットに与えてはいけない食材のリストの中に必ず入っているアボカドですが、アボカドを使用したキャットフード、ペットグッズが販売されてもいるので、実際はどうなのかわからないという人もいるかもしれませんね。
今回は猫にアボカドを与えても大丈夫なのかについて調べてみました。愛猫との生活を楽しんでいる方はぜひ参考にしてください。
アボカドを猫に与えても大丈夫なのか
アボカドは猫にとって中毒症状を引き起こす食材なので、絶対に与えないでください。猫にとって危険な食材のリストの中でも、チョコレート、ネギ類、キシリトールなどと一緒に上位に挙げられているほどアボカドは危険なものです。
アボカドは猫にとって毒性が強く、最悪は死に至ることもあるほど危険な食材です。アボカドを使用しているキャットフードやペットグッズもあるので、「本当に危険なの?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、普段食べているアボカドを猫に与えることは絶対にしてはいけません。
アボカドを猫に与えてはいけない理由
アボカドが猫にとって危険なのは、「ペルシン」という成分が含まれているからです。ペルシンには殺菌作用があるといわれていますが毒性もあるため、猫がペルシンを摂取すると中毒症状を起こしてしまいます。猫以外の動物にとっても中毒性のある危険な食材だとされています。
ペルシンは比較的最近になって発見された成分なので情報が少なく、謎の部分が多いのも現状です。ペルシンが人間に害を与えることはなく栄養価が高い食材として人気を集めているのに対して、猫にとっては危険なので絶対に食べさせてはいけない食材としてリストアップされています。
このペルシンはアボカドの果肉だけでなく、皮、種、葉っぱ、茎にも含まれています。食材としてのアボカドだけでなく、観葉植物として育てている場合にも気をつけなければならないことがわかります。
アボカドを食べるとどうなるのか
猫がアボカドを食べてしまうと、食べた量や個体差にもよりますが、下痢や嘔吐の症状が出るとされています。また、症状がひどくなると呼吸困難やけいれんを起こし、最悪の場合は死に至る可能性もあります。
これらの症状はアボカドを食べてからすぐにあらわれることもありますが、食べてから症状があらわれるまでに時間がかかることもあるようです。すぐに症状があらわれなければ大丈夫とは考えないようにしましょう。
また、食べた量と症状の関係もはっきりしておらず、少量を食べただけで下痢や嘔吐を繰り返す場合があれば、パクパクとたくさん食べてしまったのにケロッとしている猫もいるようです。ペルシンは最近発見された成分で、致死量などもまだよくわかっていません。
アボカドを食べてしまった猫の例
インターネットに、アボカドの葉っぱを食べて中毒になってしまった猫のことが書かれているブログがありました。そのブログによると、観葉植物として育てていたアボカドの葉っぱを、飼っている猫が1㎝ほどパクっと食べてしまったそうです。
嘔吐したので心配になり獣医さんに連絡したところ、食べた葉っぱを吐いたのであれば大丈夫だから、水をたくさん飲ませるようにと言われたそうです。元気そうだったのでそのまま仕事に出かけたのですが、夜になってご飯を食べさせると全部吐いてしまったとのこと。
その後も30分おきに嘔吐し、普段飲まない水も大量に飲んだそうです。その後吐く間隔が1時間くらいになり、胃が荒れたため嘔吐に血が混じるようになりました。動物病院で吐き止めと胃の荒れを抑える薬をもらってきて、だんだんと症状が軽くなっていったとのことです。
たかが1㎝くらいのアボカドの葉っぱでしたが猫にとっては災難となったようですね。死に至ることはなかったので良かったです。
猫以外のペットにとっても危険
アボカドで中毒を起こすのは猫だけではありません。犬にとっても危険な食材で、食べてしまうと猫と同じように下痢や嘔吐といった症状があらわれます。鳥類にとっても非常に危険だといわれていて、呼吸困難、心筋の損傷といった症状があらわれます。
モルモットにとっても危険で、食べてしまうとけいれんや呼吸困難を引き起こします。牛などの家畜類もアボカドの葉っぱを食べると乳腺炎になるといわれています。
特に小さな鳥にとっては重篤な症状になるということがわかりますが、小動物である猫にとっても大変危険だということがわかりますね。
猫がアボカドを食べてしまうシチュエーション
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猫がアボカドを食べてしまったという事例はそれほど多くありませんが、どのようなシチュエーションで起こり得るのでしょうか。猫がアボカドを食べてしまうシチュエーションをいくつか考えてみました。
目を離したすきに盗み食いをしてしまった
盗み食いは猫や犬を飼っている人にとって馴染みのあることだといえるかもしれませんね。どんなにしつけをしていても、誘惑となる状況に置かれると我慢できずにパクっと食べてしまうことがあります。猫の場合は身軽に高いところに上ることが得意なので、テーブルの上に置いておいた食べ物を簡単に盗み食いすることができます。
料理中に落としてしまった食材をパクっと食べてしまうこともあります。アボカドは滑りやすい食材でもあるので、切っている時に落としてしまうことがあるかもしれませんね。そんな時に猫が間違って食べてしまう可能性があります。
ごみ箱をあさっている時に食べてしまった
ごみ箱の蓋が開いていると好奇心や何か食べるものがないかとあさりにやってくることがあります。料理の時に捨てて置いたアボカドの皮や種の部分にかじりついたり食べてしまったりすることも考えられます。
特に留守にしている時にごみ箱で遊び始めると、たっぷりと時間があるのでとことんまでゴミ箱あさりを楽しむことができます。怒られる心配をせずにごみ箱あさりをしている間に、捨ててあったアボカドの皮や種を見つけるということがあるかもしれません。
アボカドの種で遊んでいたら飲み込んでしまった
アボカドの種は猫にとって遊びやすい大きさです。コロコロと転がるのでボールのようにして遊ぶことができるでしょう。やがてかじりついて遊ぶようになり、小さめのアボカドの種を大型の猫がくわえると間違えて飲み込んでしまうこともあり得ます。
アボカドの種のような大きなものを誤飲すると大変なことになってしまいます。喉に詰まると呼吸困難を起こしますし、胃腸に詰まると腸閉塞になって外科手術が必要な状況にもなります。そのまま放っておくと死に至る危険な状態であることは容易に想像できるでしょう。
観葉植物として飼育していたアボカドの葉っぱをかじってしまった
アボカドの種は水栽培をして自宅でも簡単に観葉植物として楽しむことができます。こうして観葉植物として飼育していたアボカドの葉っぱをかじってしまうということもあり得ます。例として挙げた事例も、観葉植物のアボカドの葉っぱを1㎝食べてしまったということでした。
好奇心旺盛な猫にとって、ゆらゆらと揺れる葉っぱは興味をそそるものとなるでしょう。遊び心をくすぐる葉っぱの動きにつられて思わずパクリと食べてしまうこともあるようです。遊んでいるだけならまだいいのですが、アボカドの葉っぱを食べてしまうと中毒症状を起こしてしまいます。