ヨークシャー・テリアの基礎知識
「ヨーキー」の愛称で知られている「ヨークシャー・テリア」は、気品と愛らしさを兼ね備えた美しい姿と、家庭犬に向いている性格で、ペットとして多くの家庭で飼われてきました。
きっと今現在も、ペットとして候補にあげておられう方もいると思うので、これから、ヨークシャーテリアの基礎知識や可愛いポイント、お世話の仕方からお勧めのドッグフードなど、飼う前に知っておいた方が良いことをお知らせいたします。
歴史
原産国はイギリスで、19世紀初頭に、ヨークシャー地方の農作物などを荒らしたり、工業地帯の炭鉱夫の家で悪さをしていたネズミを捕まえる目的で作られました。
交配には、「スカイ・テリア」、「マンチェスター・テリア」、「ウォーターサイド・テリア」、「マルチーズ」などが使用されましたが、容姿や気質など、一番影響を受けたのは「ウォーターサイド・テリア」だと言われています。
工員や農夫の家庭で、ネズミ駆除という目的で買われていたので、最初は下層階級の犬として見下されていましたが、1861年にイギリスで初めてドッグショーに出展され、上流階級の目に止まり、あっという間に愛玩犬として富裕層から愛されるようになりました。
さすが「動く宝石」と称されるほど、優雅で華やかな容姿を持つだけのことはあります。きらびやかで繊細な被毛や、バランスの整った体格、引き込まれるような可愛らしい目など、恵まれたルックスで、目の肥えた上流階級を虜にしたのです。
最初は「ブロークン・ヘアード・スコッチ・オア・ヨークシャー・テリア」という、なんとも長ったらしい名前で呼ばれていたそうです。当然ながら、長すぎてわかりにくいという理由で定着しませんでした。
ですから、出身地方がわかる後半の部分だけが残され、「ヨークシャー・テリア」と呼ばれるようになりました。今ではさらに短縮され、愛好家の間では「ヨーキー」という愛称で呼ばれることが多くなっています。
1886年にイギリスで独立犬種として公認され、その後世界に広がっていきました。日本にもアメリカから入ってきて、ジャパンケンネルクラブの2016年度データーによると、11,108頭飼育されています。犬種別で見ると5位に位置する大人気の犬種です。
基礎知識
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19世紀に誕生した比較的新しい犬種ですが、現在の飼育数がとても多いことを考えると、現代の私たちのライフスタイルにマッチした、愛玩犬としてメリットがたくさんある犬であることがわかりますね。
では、これから実際に飼う前に知っておきたい、ヨークシャーテリアの基礎情報をおしらせします。
体格
ヨークシャーテリアは、チワワに次ぐ小さい体格をしており、平均体高は20cm~23cmで、平均体重は2kg~3kgほどです。長くてふんわりした被毛を纏っているので、見た目は実寸よりも大きく見えることもありますが、超小型犬分類されています。
面白いことに、1886年にイギリスで登録された時点ではサイズは一定しておらず、スタンダートサイズは確立されていなかったそうです。
その後、イギリスとアメリカのブリーター達が、より小型のヨークシャーテリアを作ろうと、交配に取り組んだ結果、現在多くみられる小型サイズが一般的となりました。
ただ、比較的新しい品種で、血統が安定していないので、たまに5kg~7kgにまで成長する個体も出てくることがあるそうです。ですから、購入するときには、両親や兄弟の体重や体高を確認することをお勧めします。
平均寿命
愛犬にはいつまでも、元気で長生きをしてもらいたいと思うものですが、現実的にどんな犬種でも人間の平均寿命よりは、はるかに短命です。
ですから、犬種ごとの平均寿命と、自分のライフスタイルの変化に照らし合わせて、より密度を濃く、愛犬と充実した時間を過ごせるように、家に迎えるタイミングを考えられます。
ヨークシャーテリアの平均寿命は、オスメスともに13歳~15歳とされていますので、これを参考にペットとの生活プランを立ててみてください。
販売価格
平均販売価格は10万円~25万円です。しかしヨークシャーテリアは個体差が激しいので、価格にかなりの幅があります。ですから高額なものだと50万円する個体もあります。
販売価格の差は、買うお店、性別、血統によって生まれます。
まず、ペットショップと、専門ブリーダーが設定している価格にはかなりの差があります。ペットショップは基本的に相場がありますが、ブリーダーは、血統や飼育環境ににこだわっている高額な所と、低価格で量産目的で飼育している所で、全く値段が異なります。
さらに性別によっても価格設定が異なり、オスよりもメスの方が基本的に高値で販売されています。なんと10万円近く高額になることもあります。その理由は、メスは子供が産めることと、気性がよく育てやすいというものです。
もう一つは、血統です。血統証付きで、先祖がはっきりしていることは、遺伝的な疾患を発症する確率が低く、被毛の色なども想定でき、性質も良質なものが引き継がれるという保証になるので、やはり高額になります。
ブームによっても価格は変動しますし、個体差が出やすい犬種なだけに値段もまちまちですが、大切なのは値段ではなく、自分に合う子かどうかですので、健康面などの基本情報を踏まえた上で、実際に触れ合った時のフィーリングで決めるといいでしょう。
被毛
ヨークシャーテリアは、一生のうちに被毛の色が7回変化する特別な被毛の持ち主です。「ブラック&タン」で生まれてきて、「ダーク・スチールブルー」、「ゴールド」、「シルバー」などと、成長とともに段階的に色が変化していきます。
生まれてか2~3ヶ月までは、全身真っ黒で、口や足の先端が赤褐色なくらいです。3~4ヶ月になると、頭がグレーになり始め、徐々に褐色していきます。
そして1~2年をかけて、被毛全体がスチールブルーに変化していきます。どのような色の変化をするかは、個体によって違うので、それもまたお楽しみの一つになるでしょう。
何れにしてもヨークシャーテリアの被毛は、絹のように光沢があり、艶やかで、やわらくて、とても美しい毛質をしています。「動く宝石」と呼ばれるのも、様々な美しい色に彩られ、美しく輝くスペシャルな被毛からでしょう。
自慢の被毛なだけに、飼い主さんにはぜひお手入れを楽しんで行っていただきたいと思います。手をかければそれだけ美しくなりますよ。
具体的なお手入れとしては、毎日丁寧なブラッシングをすることと、細い毛なので、コーミングもマメにして、毛玉にならないようにほぐしてあげてください。
シャンプーは月に1回を目安に行い、トリミングのペースはカットによります。シングルコートで、抜け毛はそれほど多くないので、お手入れもそれほど大変ではないと思います。愛犬とのコミュニケーションの時間と考えて、楽しみながら行ってください。
性格
非常に活発で、エネルギッシュな犬です。幼犬の時はオスメスともに、常に走り回って遊んでいる状態です。ですから、お子さんがいる家庭では、子守兼、遊び相手を担ってくれて助かるという声もよく聞きます。
ネズミを追っていた名残で、動くものに興味を示し、機敏に反応するので、おもちゃなどを使って一緒に遊ぶと本当に楽しい子です。活発な犬は、見ていて飽きませんし、笑みが溢れるような可愛らしい動きを見せてくれるので、家族の癒しとなってくれるでしょう。
また社交的で、初めて会う人でも楽しそうに一緒に遊ぶので、お客さんがきた時にも可愛がってもらえます。
ただ、テリア種ならではの、強い警戒心や気の強さ、また頑固さも持ち合わせています。ですから、知らない人や動物に吠えたり、果敢に立ち向かって行こうとします。つまり、小さくても番犬としても役割も果たせます。