私たちは子供の時から「おやつを食べすぎるとご飯が食べれなくなるよ」「お菓子はほどほどにしておきなさい」などと言われて育ってきたのではないでしょうか?
大人になってからも、少しだけと思っていてもついつい食べすぎてしまうおやつとの戦いは続いていることでしょう。
それほど間食の回数や量をコントロールしたり、自制することは難しく、人生をかけた葛藤が続くのです。
ついおやつを食べすぎるというのは、自分だけの問題ではなく、可愛い愛犬にも、ついついおやつをあげすぎてしまうという問題に繋がる場合があります。
そこで今回は、「1日に与える犬のおやつの量はどれ位がベストなのか」を一緒に考えていきたいと思います。
おやつの割合
Degtiarova Viktoriia/shutterstock.com
まず初めにしっかりと頭に入れて起きたいのは、おやつはあくまでもご褒美やコミュニケーションの手段であって、栄養補給を目的としていないということです。
ですから、一日の食事量の10%以下というのが基本原則になります。
犬の場合でも、体を作ったり、健康を維持するために必要な栄養素は全て食事で賄うというのが、正しい形です。
お腹がいっぱいになるまでおやつを食べて、栄養バランスの整った食事が食べれなくなるということは絶対に避けなければなりません。
子供と同じで、犬も自分が美味しいと思うものをたくさん食べたいとストレートに願うので、欲しがるだけあげたら大変なことになります。
そして絶対に”太るからおやつは控えよう”なんて思って断ったりしません。
ですから飼い主が、おやつは1日の食事量の10%未満と決めて、それ以上はどんなに欲しがってもあげないことが大切です。
しかしここで、次の疑問が浮かんだのではないでしょうか。
「おやつの量を決めるのに軸となっている、一日の食事量はどのようにしてわかるのだろう?」という疑問です。
では早速、一日の適切な食事の量を知る方法を見ていきましょう。
適切な食事量を知る方法
みなさんは、愛犬の食事の量をどのように測っていますか?
今の時代、適当にあげている人はごく少数だと思います。大抵の方は、ドッグフードのパッケージに表記されている数値や、体重などを目安にあげていることでしょう。
または、きちんと獣医さんに相談されて決めておられる、意識の高い飼い主さんもおられるかもしれません。そうであれば、大変褒められることです。
飼い主からもらう食べ物が全ての飼育犬ですから、飼い主さんが真面目に考えて、真剣に取り組むほど犬の健康は守られますし、いい加減な飼い主さんから適当に餌をもらっているようなかわいそうなワンちゃんは病気になる確率がグンと高くなるからです。
犬の食事量は、犬種・体重・年齢・体格・健康状態・去勢されているか・妊娠しているかなど様々な状況を加味してベストな量を決めます。
ですから一番理想的なのは、かかりつけの獣医さんにこまめに相談して決めることです。
ドッグフードのパッケージに表記されている給餌量は、あくまで標準体重の犬を対象としていますし、体型や年齢なども加味されていません。
ですから、肥満気味の子が表記通りに食べたら、どんどん太ってしまったということも起こり得ます。
ドッグフードのパッケージに記されている数字は、ざっくりとした目安と見なければなりません。それぞれの運動量や体格、去勢の有無などによって実際に必要な食事量は違うのです。
ただ、こまめに変動する状況に合わせて、その都度獣医さんに連れて行くのも、時間とお金がかかり大変ですので、これから犬の一日に必要な食事量を計算する公式をご紹介したいと思います。
この計算方法を覚えると、自分でより正確な食事量を把握し、ドッグフードのパッケージに記されているあくまで目安となるレベルの給餌量よりも、愛犬にぴったりあった食事量を把握できるようになりますので、ぜひ覚えて活用されることをお勧めします。
一日に必要な食事量を出すためにはまず、基本となる安静時のエネルギー必要量を知る必要があります。
そして、それに基づいて個体差を加味した実際の必要量を計算します。
ですから、計算式が二つになります。
安静時に必要なカロリー量の計算式
人間にも、息をしたり、細胞分裂や体の臓器を動かすなど、無意識で行っている生命維持に必要な運動をするのに必要とされるエレルギー、つまり基礎代謝がありますよね?
犬にも散歩や運動などではなく、心臓を動かしたり、呼吸をしたり、生きているだけで消費するエネルギーがあります。この安静時に必要なエネルギーのことを[RER]と呼びます。
そして、RERは一日に必要なエネルギーですので、カロリー(kcal)で表されます。
ではまず基本となるRERを出す公式をご紹介します。「RER=70×(適正体重kg)の0.75」です。
式だけでは少しわかりにくいと思うので、実際に数字を当てはめた例を見ていきましょう。
10kgの犬を飼っているとして、この公式に当てはめると「RER=10×10×10=√√×70=394」となります。
ですから、10kgの犬の場合の、一日に必要なRERは394kcalということがわかります。
ただ、これは基礎代謝に当たる、生きて行くための最低限必要なエネルギー量ですので、当然、実際にはもっと多くのカロリーを必要とします。
犬は、家でも歩き回ったり、吠えたりしたりしますし、散歩中には走り回ったり、ジャンプをしたり、活発に動き回ることがあります。それに同じ体重であったとしても、年齢や体格などによってもエネルギー消費量に違いがあります。
ですから、二つ目の公式が必要になります。
実際に必要なカロリー量の計算式
犬が、実際に必要な一日あたりのエネルギー量のことを[DER]と呼びます。そしてこのDERは、先ほど計算式をご紹介したRERに、犬の年齢や、個々の状況を加味して計算します。
「DER=状況による数値×RER」という公式によって計算します。
犬の状況による数値は、ライフステージ係数とも呼ばれますが、既に決まっており、当てはめて行くだけです。ライフステージ係数は、一覧で紹介されていることが多いですが、ここでもいくつかをあげておきたいと思います。
「離乳期~4ヶ月齢→3」、「4ヶ月~成犬→2」、「老犬→1.4」、「未去勢→1.8」、「去勢済み→1.6」、「肥満傾向→1.4」、「減量が必要→1」、「増量中→1.2~1.4」、「妊娠前半42日間→1.8」、「妊娠後期21日間→3」、「重労働→4~8」など細かく分かれています。
先ほど例に出的た体重10kgの犬の場合、RERが394kcalでしたね。
では、この犬が去勢をしているなら、「1.6×349=630」となり、一日に食事で摂るべき総カロリーが630kcalであることがこの式を使うことにより計算できます。
そして、今回の本題のおやつの量ですが、630kcalの10%に当たる63kcalに留めるべきであることがわかります。
ただ一つ注意したいのは、630kcalにプラスして63kcalのおやつをあげても良いということではなく、おやつの63kcalは、一日の食事量の630kcalに含まれるということです。
つまり、一日の総カロリー量が630なら、567kcalが食事で、63kcalがおやつということです。食事にプラスしてあげるなら、当然必要量をオーバーしてしまうのは明らかですよね?
さらに、食事とおやつのバランスが崩れるなら健康を害しますので、このバランスを保つように高い意識で臨みましょう。
摂取カロリーの計算式
このように2つの公式を使って、愛犬が本当に必要としている一日のカロリー数を知ることができます。
ただ、計算で出した数値を、ドッグフードなどに書かれているカロリーとグラムの数字を当てはめてる時に、混乱してしまう飼い主さんもいますので、もう少し踏み込んで解説したいと思います。
よくドックフードには、100gあたり〇〇カロリーと記されていますよね?例えば、100gあたり350kcalであるなら、先ほどの一日に630kcal必要な犬には、このドッグフードを何g食べさせれば良いのでしょうか?
それを計算する方法をご紹介します。必要なドッグフードの量をXとして式にしてみると、「350:100=630:X」となります。
そして、X=630×100÷350と計算していけば、X=180と導き出されます。つまり、体重10kgで去勢しているこの犬の場合は、このドッグフードを180g食べるのが理想的で、それによって必要カロリーが賄えることになります。
もちろん、これもあくまで目安で、犬の運動量や体調などによっては変動することもありますので、あまりにも数値にこだわりすぎずに、犬の様子をよく観察して、臨機応変に対応することも忘れないようにしましょう。