はじめに


「〇〇を食べる」「〇〇を巡る」とテーマを決めて旅をすると、旅行の密度がぐっと濃くなるもの。でも、行き先やテーマはどうしたら? そんなときに読みたい本を集めました。どれも、こだわりを持って旅をしている方が書いた本ばかりで、参考になりますよ。

離島ひとり旅


離島へのひとり旅が趣味という会社員の著者が、これまで訪れた島のなかから約30島を紹介。東京から高速船で3時間の式根島やビーチの美しい与論島などは、気軽にひとり旅が楽しめそう。さらにページをめくるとどんどん旅の難易度が上がってくる。人口11人で牛は約400頭という香川県の小豊島、鹿児島港からフェリーで11時間以上、しかも週に2往復のみという鹿児島県トカラ列島の宝島など、かなりハードな非日常体験になりそうだ。

『離島ひとり旅』
大畠順子/著 
1,620円/辰巳出版

日本ワインと手仕事の旅


“日本ワイン”とは、100%日本の生ぶどうを使って作ったワインで、ヨーロッパのワインと比べて柔らかい味わいが特徴だ。著者の二人は、岡山、新潟、山梨、北海道の日本ワインのワイナリーを訪れて造り手の話を聞き、ワインを堪能。さらにその土地で陶芸や縫製などの手仕事に関わる人や周囲のレストラン、ギャラリー、セレクトショップなどを紹介する。土地に根を張って生きる人たちの仕事ぶりはどれも誠実で、見ているだけで心が休まる。

『日本ワインと手仕事の旅』
後藤由紀子・大野明日香/著 
1,512円/光文社

旅する本の雑誌


本好きが旅をしたらどうなるのか。本好きの理想の旅とはどんな旅か。そんな問いに、全力で答えてくれるのが本書だ。地域別の2泊3日ガイドでは、北海道から沖縄まで各地の名ガイドが小説のモデルとなった場所や作家が愛したレストラン、個性派書店など、本とゆかりのある場所を案内。ほかにも旅に持っていきたい本の紹介や一日中ホテルにこもって本を読むための旅の提案、ロンドンの古書街案内など、本と旅を縦横無尽に結びつけている。

『旅する本の雑誌』
本の雑誌編集部/編 
1,728円/本の雑誌社

日出る国の工場


作家とイラストレーターが、工場見学に行った。訪れたのは、人体標本工場、消しゴム工場、一流デザイナーブランド、コム・デ・ギャルソンの工場、かつらを作るアデランスの工場のほか、新郎新婦を原料にして「セレモニー」を生産する結婚式場など7カ所。生産するものが何であれ、工場には何かを生産する仕組みがあり、大抵明快でスキがない。その仕組みの不思議な部分に、遠慮なくぐいぐい食い込んでいく作家の視点が面白い。

『日出る国の工場』
村上春樹・安西水丸/著 
766円/新潮文庫

おわりに


こだわりのテーマのある旅は、旅行をより味わい深いものにしてくれそう。次の旅が楽しみになってきますね。ぜひ読んで、参考にしてみてください。
情報提供元: 旅色プラス