はじめに

東京都品川区にあった「原美術館」が、2021年1月に閉館。その後、別館の「ハラ ミュージアム アーク」と統合し、「原美術館ARC(あーく)」として、今年4月、群馬県渋川市でリニューアルオープンしました。リニューアル後、初めてとなる展覧会も開催中。「原美術館ARC」の新たな試みを見に行きましょう。

Text:旅色編集部

世界的建築家・磯崎新氏が手がけた、印象的な外観

撮影:齋藤さだむ

東京都品川区にあった原美術館は、洋風邸宅を再利用した建物が特徴でした。榛名山麓の高原に佇む「原美術館ARC」の建物は、建築家の磯崎新さんによるものです。磯崎さんは、2019年に“建築界のノーベル賞”といわれるプリツカー賞を受賞した世界的な建築家。印象的なピラミッド型の屋根を中心に、左右シンメトリーで漆黒の外観が特徴です。ギャラリーは大きくA・B・Cに分かれていて、トップライトから降り注ぐ自然光が美術品を鑑賞するのに最適なライティングと空間を創り出しています。

特別展示室の「觀海庵(かんかいあん)」は、滋賀県の三井寺(園城寺)にある旧日光院客殿の書院造からインスピレーションを受けて設計した和の空間。木・石・和紙・しっくいを使い、日本の伝統技巧が光る空間でもあります。

開架式収蔵庫では見学ツアーを予定。カフェやショップも充実

撮影:齋藤さだむ

ギャラリーに展示できない一部のコレクションは開架式収蔵庫に収納してあり、学芸員や評論家など美術の専門家であれば作品を鑑賞したり調査することができます。残念ながら現在は新型コロナウイルス感染拡大防止のために休止されていますが、一般人向けの庫内ツアーも行われる予定なので、興味がある人は再開したときに予約してみてくださいね。

ひと通り作品を鑑賞した後は「カフェ ダール」で休憩を。群馬県産食材を使ったサンドイッチなどの軽食や、伊香保グリーン牧場のオリジナルアイスクリームがいただけます。週末になると、開催されている展覧会のイメージケーキも味わえますよ。

帰る前に「ザ・ミュージアムショップ」でお土産を探すのも楽しみのひとつ。展覧会関連のグッズや書籍、カタログはもちろん、群馬にゆかりのある作家の紹介や伝統技術で作られたモダンアイテムなども手に入ります。

統合後初の展覧会「虹をかける:原美術館/原六郎コレクション」を開催中

ジム ランビー「トレイン イン ヴェイン」 2008年 木製椅子、ハンドバッグ、鏡、油性ペンキ サイズ可変 撮影:木奥惠三

現在は、統合後初の展覧会が開催中。「虹をかける:原美術館/原六郎コレクション」は、春夏と秋冬の2期制で開催されます。原美術館コレクションと、明治の実業家・原六郎が収集した原六郎コレクションの中から、さまざまな背景を持つアーティストたちの作品をピックアップ。2018年に企画された「現代美術に魅せられて」展の出展作や、コロナ禍によって中止となった原美術館最後の展覧会で展示されるはずだった幻の作品たちが並べられます。 奈良美智「My Drawing Room」2004/2021年 (c) Yoshitomo Nara 撮影:木暮伸也

1期と2期で展示される作品の内容が変わるので、次回はどんな作品が飾られるのだろうかとワクワクしながら待っていてくださいね。全期通して展示される作品の中には、奈良美智の「 My Drawing Room」をはじめ、原美術館で人気の常設展示だったものもあり、ファンにはうれしいですね!

◆原美術館ARC
住所:群馬県渋川市金井2855-1
開館時間:9:30~16:30(最終入館16:00)
休館日:木曜日(祝日と8月を除く)、展示替え期間、1月1日
入館料:一般1,100円、大高校生700円、小中学生500円、70歳以上550円
電話番号:0279-24-6585

◆虹をかける:原美術館/原六郎コレクション
会期:第1期4月24日(土)~9月5日(日)、第2期9月11日(土)~2022年1月10日(月・祝)

おわりに

美術館の周辺には、伊香保温泉や水澤寺、伊香保グリーン牧場など観光スポットがたくさんあります。プチトリップついでに美術鑑賞で充実した時間を過ごしませんか?
情報提供元: 旅色プラス