はじめに


前回は東京・神奈川編をお送りいたしましたが、今回は関西のラーメン女子におすすめしたい大阪のラーメン店をお届けします! 2017年の秋、初めてラーメン女子博を催し、たくさんのお客様にご来場頂いた思い出の地、大阪。それでなくとも、全国を駆け回る中、大阪は立ち寄る機会が多い思い入れのあるエリアです。思わずリピートしてしまった名店から、最新のトレンド店まで、店主へのインタビューとともにご紹介します!

Text&Photo:森本聰子

①定番から創作まで、笑顔が絶えないワクワク度No.1店!「麺物語つなぐ」(大阪/北加賀屋)


大阪メトロ四ツ橋線、北加賀屋駅から徒歩約5分。北加賀屋商店街に2017年3月25日にオープンしたこちらのお店は「究極のラーメン2018新店部門準GP」を獲得したのち、関西の有名グルメ番組や雑誌などにも取り上げられている注目店! とことん女性に特化したラーメンイベント「ラーメン女子博in大阪 2019」にも今年初出店していました。
ラーメンのご紹介の前に、これだけはお伝えしたいのですが……こちらのお店、なんといっても店主の仕事が丁寧! 気配りがすばらしく、テンポのいい話し方と接客で、店内の空気がパッと明るくなるのを感じるんです。 地元の商店街を盛り上げたいという思いでこの地に開業したというから「遠方から来てくださる人を大切にしたい」という気持ちが伝わってくるのだと思います。店主の声を聞くと、「あぁ大阪に来たな」と心がほっこり温まります。
「ふわふわスープ!つけ麺(塩)」880円

「麺物語」の始まりはこのつけ麺塩から! 豚×鶏×魚介のトリプルスープが贅沢な逸品です。塩ダレにはフランスのゲランド塩、ヒマラヤ岩塩、国産塩2種に貝柱などを合わせたものを使用。つけ汁に卵白を入れメレンゲ状にしているそうなのですが、これにより塩角が取れ、麺に絡みやすくなるんですって! 全粒粉入りのやや太麺が、メレンゲのふわふわスープによく絡む絡む。

「今も昔も中華そば」750円

自然の味をそのままに。こちらは無添加・無化調スープの醤油ラーメン。4種の濃口醤油にあさり節と牡蛎節を合わせ、火入れし熟成させた醤油ダレを使用。スープは、一部でしか流通していない希少な六ツ美鶏を丸鶏のみで12時間炊きあげた丸鶏スープと、伊吹産カタクチイワシを中心にサバ・ウルメ・カツオ・宗田節・羅臼昆布・干し椎茸など独自で配合した魚介スープのWスープ。全粒粉入りの細麺ストレートで完成された渾身の一杯に悶絶間違いなしです! 共に真空低温で調理されたレアチャーシューと鶏胸肉チャーシュー、蝶のような形に盛り付けされたかまぼこも女子ポイント高めです。


◆店主に聞きました!

Q1.店名の由来は?
――僕の人生は、人と人の繋がりで前に進めて成長できたと思っています。ラーメンと人を繋ぐ事でみんなが成長出来たり明るくなってくれたら嬉し、との思いから「麺物語つなぐ」と決めました。

Q2.修行先は静岡とお聞きしましたが、海産物が多いのはその影響があるのでしょうか?
――そうですね! うちなら本場のしらす丼が食べられます。 静岡で生しらす丼を初めて食べた時にそのおいしさに驚いて、大阪の人にも食べて欲しいと思ったのがきっかけです。駿河湾の港の方を紹介いただいて、仕入れています。

Q3.ラーメン女子に一言!
――女性でも長い時間楽しんでもらいたいですし、お年寄りでも食べやすいよう伸びにくい麺を使ったりと工夫しています。ぜひお立ち寄りください!

店主との距離が近く、会話が弾む。そんなサービス精神旺盛スタイルは、ひとり旅で大阪に来たラーメン女子の心をほっとさせてくれます。難波や梅田もいいけれど、北加賀屋の商店街は大阪旅行をよりディープなものにしてくれるはず。


◆麺物語つなぐ
住所:大阪府大阪市住之江区中加賀屋2-1-15
電話番号:06-6684-0001
営業時間:ランチ11:00~15:00、ディナー17:30~20:00
定休日:水曜日 ※火曜日のみディナーお休み

②自家製麺の躍動感に驚き! NEO中華そば食堂といえばココ「IKR51」(大阪/心斎橋)


人一倍食べ歩き欲求があると自負する私、森本ですが、まだまだ未開のお店があるとそちらを優先してしまい、2度3度と足を運ぶことがなかなか難しい性格の持ち主でもあります。そんななかでもすでに大阪で複数回訪れているラーメン屋がIKRさん! 大阪の中心地という立地的なこともありますが、それより何よりメニューの豊富さとそのどれを取ってもおいしいという、オールマイティーさが魅力のお店です。


「味玉チキ豚そば」880円

難しいことは言いません。「おいしい」(笑)
たまに巡りあえるんですよね……今まで47都道府県全国を食べ歩き、それなりの経験値を積んできたつもりでも、そのどれにも当てはまらないような不思議な気持ちにさせてくれる逸品が。それがこのラーメンでした!!


一口すするごとに色々な味覚が顔をのぞかせ、その調和性に酔いしれつつも想像できないような新しい感覚を抱かせてくれます。おつまみメニューも豊富で、お酒を嗜みつつ最後にラーメンや海鮮丼で〆るプチ横丁化も実現できるので、女子会にも最適ですよ。メニューを完全制覇するまで通いたいですね。

◆店主に聞きました!

Q1.「チキ豚そば」のこだわりは?
――鶏1:豚1の白湯スープと和出汁を調理直前に合わせて撹拌、乳化させることで口当たりがまろやかなスープに仕上げています。自家製麺は、製麺工程に足踏を加えることでうどんの様なコシとつるんとした喉ごし、もちもち食感を生み出しています。チャーシューは黒豚肩ロースを低温調理し、自家製タレに漬け込み寝かせたしっとりジューシーな食感が自慢です。

Q2.店名の由来は?
――語呂的にいいなと思って数字を付けました(笑)。過半数の51%です。お客様に認められるお店にしよう!の意味があります。もうひとつは(森本さんだけ特別に……)私の名前、〇〇ゴウイチでなんです…… わかりました?(笑)

Q3.ラーメン女子に一言!
――創業当初から女性に喜ばれるお店作りを心がけています。ひとりラーメン女子も多いです。店内が8~9割女子で埋まることもあるので、ぜひ安心していらしてください!


店主さんのコメントにもありましたが、自慢の自家製麺は口の中の躍動感に驚かされます。 スープ、麺、トッピング、どれをとっても新しい世界へ連れて行ってくれるエリア51、もといIKR51へダッシュ!


③USJついでに立ち寄りたい! おもてなし重視の超新星が弁天町にオープン「中華そば埜邑(のむら)」(大阪/弁天町)


2019年7月オープン! 期待の超新星がJR大阪環状線・弁天町に登場しました。居酒屋「満マル」の真横と覚えておけば、弁天町駅南口から徒歩約1分、スキップ30秒で到着可能です。白を基調とした清潔感のある店内は、 しめ縄などが飾られている“ようこそ日本へ”という佇まい。夜になると松の木がライトアップされ、外観からはもはやラーメン屋ではない雰囲気が漂います。どこか料亭のような上品な印象で、女性は入りやすいはず! 大阪観光、USJついでに立ち寄ってみてはいかがでしょう。

「中華そば」750円

青い器が目を引くこちらの逸品。国産本醸造醤油とたまり醤油の2種類をブレンドした醤油ダレに、マグロ節、いりこ、飛魚(アゴ)など7種類の煮干しをブレンドしたスープの組み合わせは、あっさりながらコクのある味わい。“小麦のシャトーブリアン”と呼ばれるロースト胚芽を配合した麺からは、ほんのりと香ばしさを感じます。お好みで手もみ太麺か、細麺いずれかを選ぶことができますよ。

◆店主に聞きました!
Q1.チャーシューへのこだわりは?
――豚肩ロースをスチームコンベクションオーブン(水蒸気と熱風で低温調理器具)で仕上げているので、しっとりレアな味わいと食感が特徴です。

Q2.山椒が味のアクセントになっていました!
――四川山椒と青山椒、2種類のスパイスを合わせた自家製山椒を入れることで、醤油の甘さとコクの輪郭を表現しています。

Q3.悩んでいるお客様がいたら券売機横で教えてくれるスタイルは変わっていませんか……?
――変わっておりません! 初めて来店されるお客様には、スタッフから簡単なメニュー説明をさせていただいております。

Q4.客層を教えてください
――カップルやグループでの来店が多いです。女性のお客様が来店しやすいように、席の幅、紙エプロン、マウスウォッシュをご用意しております。少しずつですが、女性1人のお客様も増えていますよ。

Q5.ラーメン女子に一言!
――ラーメン屋の“くせに”と思われるくらいの心配りで、味はもちろんこと、サービス・店舗空間・外観にもこだわっていますので、ぜひ足を運んでください。



メニューを選ぶのって意外と時間もかかるし直前でどうしても悩んでしまうもの。こちらのお店は券売機ですが、迷ったら真横に立って丁寧に教えてくれますので予習なしでOK。大阪のお友達にお知らせしたい名店です!


◆中華そば埜邑
住所:大阪府大阪市港区波除3-9-2 弁天町駅前ビル 1F
電話番号:06-6568-9278
営業時間:11:30~15:00、17:00~22:00

④まるで割烹料理のような大人な雰囲気「鯛白湯らーめん○de▽(まるでさんかく) 」(大阪/新大阪)


2018年11月にオープンしたこちらのお店、行列が絶えない大阪の超人気ラーメン店「鶏soba 座銀」や「麺’s room 神虎」などを展開する銀の葡萄の新ブランドです。白を基調としたおしゃれな外観、まるで割烹料理店のような雰囲気に好感度は急上昇。○と▽にくり抜かれた窓や、壁に大きく描かれた鯛のイラストなど、全てが初“鯛”験のラーメン店です。



「とろり」880円

漁港直送の新鮮な天然真鯛と水のみで構成された超ド級の濃厚鯛スープ! じっくり8時間かけたスープに数種の貝のエキスを合わせたクリーミーな質感。口の中で“とろり”と深いうまみが広がります。まさに飲める鯛! トッピングは軽く香ばしいゴボウをがおすすめ。弧を描くように薄くスライスしたゴボウは、揚げたてはカラッと、スープに浸るとしんなりと、2つの食感が楽しめて濃厚な鯛スープにぴったりです!



「さらり」850円

毎日食べるなら間違いなくコチラ!とろりと大きく異なるあっさりスープは、天然真鯛からじっくり弱火で抽出。仕上げの牡蠣オイルで香りのレベルが格段にアップ! 一緒に付いてくる牡蠣ペーストを混ぜるとさらにうまみが加わり、玄人好みな深い味わいに。気づけばさらりとK.K(完食・完飲)しちゃうイチオシのラーメンです。店名にちなんだ○と▽にカットされた熟成メンマは、厚みがありコリコリとした食感が美味。お煎餅のように炙った鯛皮が見た目にも印象的です。

◆店主に聞きました!

Q1.なぜ鯛のラーメンを始めたのですか?
――鯛は当然高級食材なので、原価や採算を考えるとなかなか手が出ないところ。それでも他社が出来ないことをやる! というので、採算、原価を無視したザ・鯛! のお店を作りました。

Q2.女性に来ていただきたいという狙いがあるんですか?
――ターゲットはずばり、女子! 「まるでラーメン屋じゃない」をコンセプトに、おしゃれな内装にアイテム、スタッフの気配りなどなど、女子が1人で来ても安心のお店になっています。

Q3.ラーメン女子に一言!
――ただ“おしゃれ”“映える”ラーメン屋はもはや普通! 「まるでラーメン屋じゃない」を体感して、まるで初鯛験、しにきてください!

◆鯛白湯らーめん○de▽(まるでさんかく)
住所:大阪府大阪市淀川区西宮原1-5-6
電話番号:06-6152-6370
営業時間:11:00~14:30、18:00~22:30

おわりに


いかがでしたか? まだまだご紹介したいラーメン店は沢山ありますが、女性こそ、必ず行ってほしいなと心から思えるお店ばかりを選びました! おしゃれで入りやすいお店もどんどん増えてきていますが、それだけにとどまらず、作り手と食べ手の距離が縮まるようなお店が大阪には多いなという印象です。ぜひ大阪観光のついでに、グルメ旅の行先候補に、足を運んでみてください。
◆森本聡子(もりもと・さとこ)
「女性が一人でもラーメンを食べることの出来るカルチャーを広めたい」そんな思いから食べ歩きを開始して16年。47都道府県を食べ歩き、年間600杯以上を食べるラーメン大好き女子。男性のラーメンフリークが多いなか、タレントとしても活動しながら体型維持も視野に入れたラーメンライフにも注目。人気ラーメン店を貸し切るなどした「ラーメン女子会」を主宰し、メディアでも活躍中。2018年には株式会社Ramen Switchを設立し、世界初のラーメンジュエリーブランド「ZURU+.」をリリース。著書『東京ラーメンコレクション』(昭文社)

情報提供元: 旅色プラス