はじめに


どこに出かけても夕焼け鑑賞にはこだわりますが、ドイツの最も美しい街の一つとされているコブレンツでの夕景は相当なインパクトでしたよ。また、夕日観賞の前後で楽しめるカフェも近くにあるから幸せすぎてたまりません。夕焼けを取り巻く最高のお散歩コースをぜひどうぞ。

Text&Photo:とまこ

圧巻の夕焼けをより味わえる!  空から、川の狭間からクラクラするまで浸りましょ


コブレンツは古代ローマ時代からの都市で、歴史を感じられる建物が旧市街にたくさん残っています。地理的にはライン川とモーゼル川の二つの川に挟まれたところに位置し、だからか日暮れの空がとても綺麗に焼けることが多いのです。夕焼けの赤さは大気中の水蒸気に影響されるとよく聞くので、きっとここでも二つの川からの豊富な水蒸気がより感動的に仕上げてくれるのでしょうね。
日の入り前に「エーレンブライトシュタイン城塞」へのケーブルカーに乗ってください。乗り場は二つの川の合流地点「ドイチェス・エック」近くにありますよ。太陽を川の向こうに見送りながらの空中散歩は感動的すぎて。異次元に連れてこられたみたい。
もしあなたが歴史マニアではないなら、城塞の見学はサラリと済ませることをお勧めします。なぜって、戻るケーブルカーで体験するマジックアワーも素晴らしすぎるから! 写真に浮かび上がるシルエットは、「ドイチェス・エック」に佇むドイツ帝国初代皇帝ヴィルヘルム1世の像。高さは30mほどもありますが、雄大な風景の中では小さく感じられます。
ドイツは緯度が高いから、太陽が沈むのはゆーっくり。ケーブルカーを降りても、まだまだマジックアワーは続きます。さあ、「ドイチェス・エック」で観賞タイムをどうぞ。空はじんわりと色を変え続け、川面は存分に光を反射して、視界は太陽が置き去った色で満ちる……。言葉を失うって、こういうことですね。
この日は満月でした。夕日の赤の世界がおさまる頃、川の反対側から月がぽっかり顔を出したのですよ。感動し続けて心と体が火照り、静まることはありません。もし可能なら、満月の日を計算して訪れていただきたいものです。

空間力にメロメロ。いるだけで気分高まる、コブレンツ最古のカフェ


好きなカフェが見つかると、その街ごと好きになるのが私の常ですが、コブレンツには、そこを目的地としてもいいくらい惚れたカフェが二軒もありました。どちらもアンティークな雰囲気がたまらなく、ヨーロッパの歴史を感じる空間です。
そのうちの一軒「Kaffeewirtschaft」は、1911年創設のコブレンツで一番古いカフェで、深夜まで営業しているのです。夕日の感動を噛み砕くにはもってこいのスポットです。
ボトルやグラスがびっしり並ぶカウンターの迫力ったら! かっこよすぎて、ここで寛いでいる自分すらかっこよく思えてきてしまうからラッキーでしょ。
そうかと思えば、ゆったりソファと絵画のスペースや、螺旋階段のもとにシュっとまとまったテーブル席の空間もあるから、気分や用途に合わせて、しっくりくる居場所を見つけるのも楽しみの一つです。
この時は、コーヒーとオレンジチーズケーキを注文しました。しっとりと舌の上でとろけるチーズ生地に、爽やかなオレンジが効いています。ドイツらしく大きいカットなのに、ついお代わりしそうになってしまうのです。美味しすぎて危険!
そしてこのケーキにはチャームポイントが。この写真、撮る角度をとても考えました。なぜなら……
右のように運ばれて来たから! フォークがブスッと刺さってます(笑)。はじめは相当びっくりするけど、これがドイツの標準スタイルとだんだん体得していくのです。理由は、お皿からフォークが落ちないように、ですって!
ともあれ、ここは食事も雰囲気も最高で、通いつめたい世界のお店ベスト10に入るほど気に入りました。


◆Kaffeewirtschaft
住所:Paradies 1, Münzplatz 14, 56068 Koblenz

ロマンチックでお姫様気分満点のクラシカルカフェは、ケーキも美しすぎる!


もう一軒は「Café Werrmann」。夕方に閉店するのでお茶タイムにいかがですか? お姫様気分で過ごせるクラシカルっぷりは、ぜひ体験していただきたいです。
大きくて繊細なシャンデリヤと、ワインレッドのベロアシートの椅子が、ロマンチックな雰囲気を盛りたてます。まるで中世のサロンのよう。
ケーキもクラシカルで美しく、しかもバリエーションが豊富だから、ショーウィンドウの前(トップの写真)で悩む時間が楽しすぎます。選びきれず二つ頼み、それだけで満足できず翌日も来てしまう……。そんな幸せな魔法に、この際かかってみてください。


◆Café Werrmann
住所:Marktstraße 11-13, 56068 Koblenz

おわりに


世界レベルで最強だと思える夕焼けスポットと、アンティークカフェが両立する街ってそうないでしょう。コブレンツは貴重な街なんです! ぜひ心地よすぎる時間を堪能していただきたいです。


◆とまこ
明治大学在学中からバックパッカーとしてデビューし、卒業後は秘境ツアーコンダクターに。現在は旅作家&おしゃれパッカーとして本の執筆や講演、TV出演など多方面で活躍中。著書に『離婚して、インド」(幻冬舎文庫)、『世界の国で美しくなる!」(幻冬舎)など既刊12冊。2017年9月20日には新刊『台湾で朝食を 日常よ、さようなら!』(メディアパル)発売。



情報提供元: 旅色プラス