Go To トラベルキャンペーンの一時停止に伴い、政府は旅行代金の50%をキャンセル料として補填することを決定した。しかし、その多くが宿泊施設に届かない可能性があることがわかった。





旅行会社と宿泊施設との間で取り交わされているキャンセル料契約は、宿泊日までの日数に応じて個別に決められている。一般的には当日なら100%、前日は50%前後、14日前前後ではほぼゼロになっているケースが多い。例えば東横インでは、チェックイン当日の午後4時までキャンセル料は無料となっている。



今回の政府によるキャンセル料負担の対象となるのは、全国では12月28日から2021年1月11日までの宿泊分。一方でキャンセル手続き開始は12月15日からであることから、該当期間のほとんどの予約は現時点で14日以上の余裕がある。つまり、旅行会社は宿泊施設とのキャンセル料契約を根拠に、宿泊施設には給付されたキャンセル料をほとんど支払う必要が無くなる。実際に、旅行会社からその旨を通知された宿泊施設の情報を複数確認している。



また、旅行会社から宿泊施設に対して「12月25日にキャンセルした場合のキャンセル料」を確認する電話が入っているという情報もある。これは、政府によるキャンセル料補填の対象が12月24日までの手続きであることと関係あるだろう。つまり、予約客から旅行会社に12月24日までにキャンセルがあっても、宿泊施設への通知を12月25日にすれば、50%補填が旅行会社に成されることを宿泊施設に隠し、通常のキャンセルポリシー(例えば20%、上記の東横インのキャンセルポリシーでは大半はゼロだ)のみを支払えば良いということになってしまう。50%の補填に対して、旅行会社が手数料を徴収することは許されるだろうが、それは通常契約である10%〜20%の料率であるべきだ。





大手旅行会社Xは、募集型・手配型プランは宿泊施設が設定したキャンセル料規定どおりに、Xから宿泊施設に支払うことを12月16日付けで通知した。Xが運営する旅行予約サイトで販売している一部プランについては、宿泊施設からGo To トラベル事務局にキャンセル料の補填分を請求するように求めている。





大手オンライン旅行会社Yは、宿泊単体での予約はキャンセル料の発生の有無に関わらず、旅行代金の50%に相当する額(上限1人1泊2万円)を支払うものの、パッケージ予約は「2日前からの規定のキャンセル料」のみを支払うことを通知した。



そもそもキャンセル料補填は、年末年始の多客期に相当数の受注を獲得していた宿泊施設が既に臨時スタッフとの契約や特別な食材、消耗品の手配を済ませていることから、通常よりキャンセルによる損害が大きいことに対する対策として決まったものである。その補償金を旅行会社がせき止めることは主旨から言っても許されるものではない。



この事態を把握した観光庁などは、すでに事実確認に乗り出している。12月18日、自民党の武井俊輔衆院議員はTwitterで、約款の時期によらずに支払うことから、宿泊施設やバス会社などのサプライヤーに対して、旅行会社から応分の払い戻し措置を行うとし、詳細は調整中であることを明らかにした。

情報提供元: Traicy
記事名:「 Go To トラベル、宿泊施設に届かない政府のキャンセル料補填 旅行会社が多額”ネコババ”方針【独自】