JR東海は、N700S確認試験車による時速360キロでの速度向上試験を、6月6日夜、報道陣に公開した。
時速360キロでの速度向上試験は、5月24日の夜間より4回実施し、最高速度時速363キロを記録している。車外騒音や地盤振動などの測定項目があり、この日は40項目近くをチェックした。チェック項目は、多い日には100項目以上に及ぶという。
同日の走行試験では、米原駅を午後11時41分に出発し、同45分頃に時速300キロ弱に到達し、維持。同47分頃より速度を再び上げ、同49分から50分頃にかけて、約40秒ほど時速約362キロで走行。その後徐々に減速し、午後11時59分に京都駅に到着した。所要時間は、通常20分程度のところ、わずか18分だった。
N700Sは、日本車輌製造と日立製作所が製造。「S」は「Supreme(最高の)」を意味する。高速鉄道として初めてとなる、リチウムイオン電池を用いた自走システムを搭載し、地震などが発生した際にも低速で運転することができる。ブレーキの能力も向上し、N700A(1・2次車)と比べて、時速285キロから停止した場合、停止位置は10%短くなった。編成の組み換えが容易な「標準車両」を導入。通常は14両にのみモーターを搭載しているものの、16両に搭載することで、出力を向上。加速はこれまでより強くなっているという。
現在の東海道新幹線の最高速度は時速285キロで、2020年春のダイヤ改正までに、東海道新幹線の全列車をN700Aタイプに統一し、全ての列車で最高速度を時速285キロとする。N700Sは、東京五輪前の2020年7月にも営業運転を開始し、訪日外国人にも技術をアピールする。現時点では、N700Sの投入によって、最高速度を引き上げる予定はないとした。
東海道新幹線におけるこれまでの速度試験では、300系が1991年に時速325.7キロ、N700系量産先行試作車が2009年に、N700S確認試験車が2018年7月に時速330キロを記録。このほか、試験専用仕様の300X試験車が1996年に時速443キロを記録している。