日本航空(JAL)はきょう25日、体が不自由な人や怪我をしている人など、飛行機での移動に不安を感じている人を対象に、空港カウンターでの手続きから搭乗までの流れを体験できるイベントを羽田空港で実施した。
JALは、保安検査場をストレスなくスムーズに通過できる木製車椅子や、ビデオ通話を利用した遠隔手話通訳サービスを導入するなど、すべての人のアクセシビリティを向上するための取り組みを行っており、移動に不安を抱える人の航空機利用を現状(2017会計年度)の1.5倍以上にすることを目指している。今回のイベントは、「調査の結果、空港での流れを事前に知ることが安心につながるという声があった」(商品・サービス企画本部 三島良平マネージャー)ことから企画されたという。
イベントの参加者は、ユニバーサルデザインの設計など障がい者のためのサービスを手がけるミライロが協力して募集。視覚や聴覚に障がいを持つ人や、車椅子を使用する人など57名の応募があり、抽選で26名が招待された。JALからは、イベントを企画した商品・サービス企画部門の社員のほか、予約部門や空港部門の社員、グランドスタッフ、運航乗務員、客室乗務員が参加した。
参加者はまず、出発ロビーのチェックインカウンターの前で、予約・チェックインの流れや、木製車椅子などの関する説明を受けた。JALでは搭乗時に手伝いが必要な場合は事前の手続きを行うことを推奨しているが、車椅子を使用する参加者からは「当日急遽飛行機を利用する場合はどうしたらよいか」などの質問があがった。担当者によると、当日は「スマイルサポートカウンター」で相談することができるという。
その後、保安検査に関する説明を受けた参加者は、実際の検査を受けてゲートエリアへ。空港内の設備に関する説明を聞きながら12番ゲートに移動した。
12番ゲートで待っていたのは、ボーイング777-200型機「みんなのJAL2020ジェット」。参加者は5つのグループに分かれ、グランドスタッフのサポートを受けながら機内に乗り込んだ。機内では各クラスの座席や車椅子対応トイレなどを見学し、客室乗務員から機内設備についての説明を受けた。
車椅子を使用する人は搭乗の際、後ろ向きに機内通路を通るため、機内全体を見渡すことが難しい。そのため、「今回初めてゆっくり機内を見学することができて嬉しい」と話す参加者もいた。
JALが障がいを持つ人に対してこのような実機を使用した体験イベントを実施するのは今回が初めて。参加者からは「車椅子の座面に滑り止めがあるといい」「サポートに選択の幅があるといい」という意見や提案もあったという。三島マネージャーは、「こうしたイベントは継続的に実施していくことが重要。今後も年2回程度行いたい」と話した。