全日本空輸(ANA)は、ANAウイングスの40歳代の機長が、前夜の飲酒による体調不良を申し出たことから別のパイロットと交代するために5便を遅延させたことについて、再発防止策を発表した。
機長は前夜午後10時頃まで、石垣市内の飲食店でANAの運航乗務員と飲食していた。午後5時から翌日午前0時10分までの間、推定値で約9.3単位のアルコールを摂取したとみられている。アルコールの代謝スピードは、体重60キロから70キロの人は1単位につき3時間程度かかるという。1単位は、ビール500ミリリットル、日本酒1合、ワイン小グラス2杯(200ミリリットル)などで、大きく超過していたほか、運航規定に定める乗務12時間前を超えて飲酒していた。
機長はタクシーでホテルに戻った後、酩酊状態でホテル内を徘徊し、自室に入室したのは午前1時40分頃だった。午前6時30分頃、体調不良のため乗務ができないと所属部署に連絡しており、5便が最大58分遅延し、619名に影響が出た。ホテルはANAウイングスに午前10時45分頃に連絡を行い、発覚したという。
現在はアルコール検査でアルコール反応があった場合、交代要員がいる場合は並行して準備しているという。直近1年では2件反応したものの、運航便には影響なかった。
ANAは運航乗務員の自己管理と検査体制を強化し、約3,000名の全運航乗務員にポータブル型の呼気検査機を貸与するとともに、アルコール教育プログラムの見直しと再徹底、アルコールカウンセリングをANAグループに拡大し展開する。飲酒は乗務開始時刻の12時間前までと定めていた運航規定の内容に加え、運航管理規則集アルコールチェック要領に、適度なアルコール摂取量は純アルコール40グラムにあたる2単位までと定める。乗務前には羽田空港では第三者確認を行うほか、それ以外の全空港ではストロータイプの検査機を導入する。
機長は論旨退職とし、ANAとANAウイングスの役員2名の役員報酬を10%減額する。