イギリス・ロンドン郊外のファンボロー(ファーンバラ)空港で開催されている「ファーンバラ国際エアショー(FIA)」会場で開幕初日の7月16日、米航空大手ボーイングとブラジルの小型機製造大手エンブラエルが共同記者会見を行った。



両社をめぐっては7月5日、ボーイングがエンブラエル商用機部門を買収することで合意している。ボーイングが80%、エンブラエルが20%をそれぞれ出資し、合弁会社を設立。総出資額は47億5000万米ドルとなる見込みで今後、合弁会社設立に関する各国競争当局および両社株主らの承認を経た上で、2019年中の設立を目指す。これまで両社は、30年あまりにわたる協力関係にある。リージョナルジェット機の製造でトップを走るエンブラエルは、世界の航空市場で大きな存在感を持つボ社のマーケティング力やR&D(研究・開発)能力を生かし、その地位を不動とする構えだ。





7月16日午前に開かれた会見は、各国の取材陣で埋め尽くされたボーイングのメディアルームに置かれたプレスコンファレンスルームで開催された。席上、ボーイングのデニス・マレンバーグ最高経営責任者(CEO)は、「エンブラエルとの戦略的パートナーシップの確立は、ボーイングの長い歴史の中でも大きな転機となる出来事だ」と提携の意義を語った。一方、エンブラエルのパウロ・シルバ社長兼CEOは「ボーイングとの提携プロジェクトを誰も邪魔することは出来ない」とブラジル政府からの承認獲得に手応えを示した上で、「ブラジルにさらに多くの雇用、輸出、技術、そして資金をもたらす」と提携を手放しで歓迎する意を改めて述べた。



会見では、同じく小型機市場への展開を見据えた欧州航空機大手エアバスがカナダ小型機製造大手ボンバルディアを傘下に入れたことに関する質問が多く飛んだ。これについて、マレンバーグCEOは「(エンブラエルのリージョナルジェット)E2シリーズはすでに市場で高い存在感がある。CシリーズをA220とブランドを変えたが我々はそうした動きに追随する動きはない」と断言した。



小型機のマーケットは今後高成長が見込まれる。これまで世界のジェット旅客機市場はボーイングとエアバスがほぼ二分する格好で展開して来たが、2大巨頭がそれぞれ小型機市場で高い地位にあるエンブラエルとボンバルディアをそれぞれ取り込んだことで、さらに競争が激しくなるとみられる。この市場では、三菱航空機が「MRJ」を開発中で、しかも同社の親会社である三菱重工は長年にわたってボーイングと協力関係にある。マレンバーグCEOは「(部品供給を受けている)三菱重工との関係は一切変わらない。MRJのカスタマーサポートについてもこれまでの契約通り変わらず支援する」との考えを述べた。

情報提供元: Traicy
記事名:「 ボーイング、エンブラエルと共同会見 「E2のブランド名は変えない」