TEXT &PHOTO◎伊倉道男(IKURA Michio)
吾輩はスズキ・ジムニーである。1986年の生まれで、型式はM-JA71Cだ。金属のルーフもエアコンもない。「4WD→2WD→4WD」と手動で切り替えるパートタイムの四輪駆動車である。錆も進み、ボディもあちこちが凹んできているので、ゆっくりと余生を送ろうとしていたが、週に1回、アウトドア・フィールドに出掛けることとなった。今回は42回目だ。
夏本番を目の前にして、熟練したキャンパーがよく「キャンプは晩秋から冬が良い」というのを聞いたことがあると思う。これはキャンプ場が空いていることもあるけれど、一番はやっかいな「害虫」がいなくなるからだ。
夏場はランタンに集まってくる「蛾」などにイライラするが、やはり「ブヨ」や「蚊」に代表される害虫が困る。刺されると「かゆい」「痛い」などの症状が出るのでやっかいだ。何も持たずにフィールドへ出るサバイバラーが最も悩まされるのはコイツらである。
そうとは言っても、やはり夏のアウトドアの開放感は捨てがたい魅力である。すべての害虫を寄せつけないことはできないが、代表的な害虫「蚊」「ブヨ」「マダニ」の対策方法を考えていきたい。
当然ながら害虫が多い場所に行く時は注意する。基本肌を出さないのが一番だが、そうもいかない。例えば樹の下へ行く時は樹上から落下する害虫に注意、毛虫等は頻繁に落ちて来る。そしてむやみに草むらには入らないこと(マダニ・ヒルなど)。野生動物の領域が拡大しているので、たとえ近所の土手でも、害虫が増えていると考えなくてはいけない。
キャンプギアとしてはスクリーンタープなどの防虫ネットを利用する。ミニマムで済まそうとして、テントのみの場合でも、靴を外に置いてはいけない。ムカデの靴への侵入を許してしまう。そしてスクリーンの出入り時にはすぐ閉めておくことだ。ちょっとした油断が害虫の侵入を許してしまう。
それでも「蚊」や「ブヨ」は向こうからやって来るし、「マダニ」は足に忍び込んでくる。特に行動的に活動する子供達には、大人が対策をしておくべきである。一般的に「蚊」「マダニ」「ブヨ」はひとつの薬品では効かない。嫌いな物が違うからだ。
また、「蚊」はそれほど危険視されていないが、世界レベルでは年間に72万5千人が「蚊」を媒体とする伝染病で亡くなっているという調査結果もある。マラリア、デング熱、ウエストナイル熱、チクングニア熱などだ。今、日本では「かゆい」だけかもしれないが、注意を怠ってはいけない相手だ。
スクリーンで覆えないタープなど、オープンな場所での「蚊」対策は蚊取り線香だ。アウトドア用にパワーアップされた物もある。普通の物でもよいので、居住域を囲むように4隅に置きたい。そうすれば風向きが変っても蚊取り線香の恩恵が受けられる。
その他にもご存知のようにマット式の物もあるし、部屋用ではあるが、テント内にスプレーしておくタイプを使う対策方法もある。また、素肌にスプレーして蚊から身を守るタイプ、身体に貼付けるシールタイプ、バッチのようになったタイプもある。効果はまだ試していないが、100円ショップにもかなり多くの虫対策品が用意されている。
次は「ブヨ」であるが、あまり多くの製品はない。効くのは「ハッカ」。スプレータイプの物が市販されているので、蚊対策とあわせて利用した方がよい。「ブヨ」は刺されると長い時間痛痒く、痕が残る可能性も大いにある。
今まであまり馴染みのなかった「マダニ」。最近はペットへの被害、「人」への被害も増えている。「マダニ」はズボンなどを靴下の下に入れ込むと予防ができる。這い上がる時に靴下からズボンへ上がり、衣服の中へ侵入できないからだ。昔の「ゲートル」、今は「スパッツ」と呼ばれる物がベストであるが、暑苦しいし何とも格好が悪い。ドラックストア等で「マダニ」対策のスプレーがあるので準備しておこう。使用方法は、吾がチームのものは、「蚊」対策の肌へスプレーするタイプとほぼ同じだ。
それでも刺されてしまったら? 吾がチームにはまだ装備されていないが、「ポイズンリムーバー 」という物がある。注射器のような形をしており、注射とは反対に毒を吸い出す仕組みだ。そしてよく水で洗う。これは刺された時の鉄則だ。
蜂の場合はすぐに病院へ駆けつけること。まずは蜂に近寄らないこと。黒い服を着るのを避けることだ。
さぁ、準備が整ったら、アウトドアフィールドへ出掛けよう。到着したら、夏場はまず害虫対策からスタートである。
ー吾輩はスズキ・ジムニーである。型式はM-JA71C。名前はまだないー