昨今、MaaSの進展によりモビリティが多様化する中で、都市部での渋滞や、それにより発生するCO2、過疎地での交通網の確保といった課題の解決策として、新たな空のモビリティである電動航空機が注目されている。電動航空機は、静かで快適性に優れるだけでなく、CO2を排出しない環境に優しい次世代モビリティだ。
デンソーは、2035年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、その実現に向けて「モノづくり」「モビリティ製品」「エネルギー利用」の3つの領域全体でカーボンニュートラルに取り組んでいる。特に「モビリティ製品」においては、全モビリティの電動化を見据えたブランド「ELEXCORE(エレックスコア)」を立ち上げ、電動化製品の普及を通じて、環境負荷の低減に貢献してきた。
そして今回、2019年より共同開発を続けていたハネウェルとアライアンスを強化し、電動航空機用推進システムの共同事業を開始する。ハネウェルの航空機向け技術開発での100年以上の実績と、デンソーの約70年にわたり自動車向け技術開発で培った高い技術力を融合し、両社で電動航空機用推進システム製品であるEPU*を開発する。その中でデンソーは、航空機において最も重要な軽量化を実現し、空のモビリティの価値向上に貢献するため、独自の磁気回路を用いた高出力モーターや、内製SiC(シリコンカーバイド)を用いた高効率・高駆動周波数インバーターを開発する。
* EPU:Electric Propulsion Unitの略、モーターとインバーターを組み合わせた電動推進ユニット