その名をマスコットネームにしている軽キャンパーが、ダイハツ三島の「クォッカ」。ご覧いただくとお気づきなると思うが、このモデル、巷に多い軽バンや軽トラックベースではない。市場では希有な、軽パネルバンベース(ハイゼット・パネルバン、写真はハイルーフ)なのである。
だが、ただ軽パネルバンのカーゴスペースに車中泊装備をインストールしただけではない。軽バンというと、運転席とカーゴスペースが壁で仕切られているが、クォッカは壁を取り払ってウォークスルーを可能にしている。またこれにより、運転席&助手席のシートリクライニング&スライドも増量。快適なドライブを実現している。
さて気になる車内だが、すぐに目に入るのが天井・壁・床一面に張られたウッドパネルだ。これは、三島の地元で採れる「富士ひのき」。強さ、耐久性、保湿性、調質性に優れた高級木材で、人をリラックスさせる沈静効果や、殺菌効果のある成分も発するという。いわゆるフェイクウッドではない本物の樹だけあって、車内に入った時の暖かみは段違いだ。
それだけではない。同じ富士ひのきを使って造られた「トランスフォーメーションボックス」が、クォッカ最大の特徴だ。4つの箱とテーブルを組み替えることで、お座敷モード(ダイネット)、ベッドなどの空間バリエーションを実現。ボックス内には、電装系や電子レンジをインストールしたり、収納スペースとして活用することもできる。
さらに、これらのボックスやテーブルは外に持ち出すこともでき、天気のいい日は外でゆったり過ごすなんてことも可能だ。
クォッカの標準装備としては、ウッド内装、100Ahサブバッテリー&走行充電システム、DCコンセント&USBだが、オプションも豊富だ。前述の電子レンジに加え、1500Wインバーター、16L冷蔵庫、車内カーテン、FFヒーター、アクリル2重窓、高断熱材、ソーラーパネルなどが揃っている。
またルーフラックやサイドデカール、アルミホイールなどといったカスタムパーツも用意されているので、好みやライフスタイルに合わせて、愛車を造っていくことができる。
さて、実際に車内で過ごしてみた印象としては、カップルもしくは、一人用の隠れ家という印象だ。中は明るい印象だが、富士ひのきの風合いが落ち着いた雰囲気を醸し出している。ベッドに横になっていると、まるでどこかのバンガローにでもいるようだ。スタイリングも斬新で、昨今流行中のアゲバンにして、オリジナルの塗装を施せば、オーバーランド調の1台に仕上げられそうである。
エンジンは660ccNAのみだが、2WDと4WDのいずれかを選択することができる。降雪地帯のユーザーや、山の奥深くに入るソロキャンパーなどは、4WDの設定がうれしいはず。
軽バンや軽トラックベースのキャンパーとは、ひと味もふた味も違う「クォッカ」。車内、車外でのお手軽キャンプが1台で完結する、魅力的なモデルだ。