ベスパP125Xには3.50-10インチのタイヤが採用されている。左右に二分割される合わせホイールだから分解もタイヤ組み込みもラクなはずが、前回はタイヤを外すまで大いに苦労した。今回はタイヤをはめるだけだからカンタンだろうと思いきや、色々とダメなことが多かった。

 最近は良い時代になったもので、「タイヤ交換 バイク 10インチ」などのワード検索をすれば、いくつものページが表示される。それらを見ればタイヤ交換なんて誰でもできる気になってくるもの。でも果たしてそれほどカンタンなものだろうか?


 前回の記事で紹介したように、ベスパP125Xのホイールからタイヤを外すだけで結構な苦労をした。放置期間が長かったせいもあるが、ホイールからタイヤのビードが全然落ちれくれず、長い時間かけて格闘することになった。今回はそんな苦労の後だから多少はラクな気分だったが、いざ作業を始めてみると、またしても困ったことになった。

ビードワックスを塗ってホイールをはめる。

 合わせホイールへ新品タイヤを組むには、まず片側のホイールへタイヤを組み込む。そのあとでチューブを入れて反対側のホイールを組むというのが普通の手順。今回もそのようにして組んでみよう。まずはタイヤのビード周辺へビードワックスを塗りたくり、合わせホイールのエアバルブ穴がないリムの幅が狭い側をタイヤへ落とし込む。のだが、これが全然落ちない。全体重をかけても落ちない。ここでタイヤレバーを使って強引にビードをホイールへ入れるのもいいのだが、するとせっかく塗装したホイールに傷がつく。むむ、どうしたものか。

ミシュランS1を選んだ。
回転方向の矢印がある。

 巷言われるには「ミシュランはサイドウオールが硬い」というもの。今回用意した新品タイヤはミシュランS1の3.50-10。本来はチューブレスタイヤだが、内部へチューブを入れて使っても問題はない。S1のグリップ感やパターンが好きだがミシュランだからなのか、まぁ硬くてホイールが入ってくれない。


 この時焦ってタイヤの回転方向を間違えないように。タイヤのサイドウォールには矢印が描かれていて、回転方向を示している。これを間違えると組み直しになるので要注意。また合わせホイールはリム幅が左右で異なる。左右が逆のまま組むとドラムへハマらなくなるので、ここにも注意したい。けれど今回はもっと初歩的なミスをしていた!

新品のチューブをタイヤへ入れる。
タイヤに入ったら若干エアを足しておく。

 ここで通常の手順でタイヤを組むのは諦めた。ということで今回は裏技を紹介したい。けれど裏技というくらいであまりオススメできる方法ではない。同じことをして失敗しても責任は取れないので、あくまで参考程度にして欲しい。もしくは自己責任で。


 さて、まずはタイヤへチューブを入れる。完全に入ったら若干エアを足しておく。のだが、ここで大きなミスをしていることにお気づきだろうか? 鋭い方なら察しがつくだろう。そう、エアバルブが直線タイプなのだ。前後ドラムブレーキのバイクに直線タイプのバルブを入れると、ドラムが邪魔してエアを入れられなくなるのだ。


 ガ〜ン、ということで前回外したお古のチューブを再使用することにした。

タイヤが入っていない状態でホイールを重ねる。

 いよいよ裏技へ。念のためお古のチューブからはサビを落としてから使おう。掃除したチューブが入ったタイヤへ合わせホイールを両方とも合わせる。この状態でタイヤへ体重をかけてホイール同士を接近させる。どこか1本でもいいので合わせホイール固定用のボルトを反対側まで出してナットを軽くかけるのだ。これを3個所ほどで行えば準備は整う。

ナットだけでいいので3個所ほどかける。
タイヤが入ったらナットを外してワッシャーとともに組み直す。

 ナットをかけるときに気をつけたいのが、チューブの挟み込み。ホイール同士の隙間にチューブが挟まっていないか何度も確認しよう。チューブを挟みにくくなるので事前にエアを入れておいたが、エアの量はカンみたいなもの。 


 ここでチューブへ本格的にエアを入れるのだ。するとタイヤが広がりビードがホイールへ入っていくというのが裏技の正体。タイヤがホイールに入ると「ポン」とか音がする場合もあるけれど、ビビらないように。


 そしてここからが面倒なのだが、タイヤが入ったら一度エアを抜く。するとタイヤが入ったまま圧力が弱まるのでホイール同士が勝手に接近してくれる。ここで残りのボルトへワッシャーとともにナットをかける。さらに先ほどナットだけだった場所は外してワッシャーを入れ直すのだ。

これで足元はスッキリするはずだ!

 というわけで前後2本のタイヤを交換することができた。先ほど通常の手順で1本を組もうとして1時間くらい格闘してしまったが、裏技を使うと1本組むのに10分かかるかどうか。ただチューブを挟んで使い物にならなくするという危険をはらんだ諸刃の剣なので、自己責任でと紹介した次第だ。

早速車体に取り付けよう。
ホイールナットを新調しなければ。
ドラムの反対側を掃除し忘れていた。

 あとは車体にタイヤを取り付けるだけ。でも、ここでまたしてもダメなことを発見。ホイールナットが古いままだったのだ。しかもこのナット、サビの上から銀のスプレーを塗装したようで、あまりに汚い。合わせホイール用にナットを買っていたが、ホイールナットの分まで揃えていなかった。ちなみにナットのサイズがM8の13ミリが適合する。


 というわけで後日ナットを買って組み直したい。タイヤを装着して動かせるようになったでの表へ出したはいいが、ドラムの反対側を掃除するのを忘れていたことも発覚。せっかくサスペンションとタイヤ、それにスタンドまで新品なのだからドラムもキレイにしよう。

久しぶりに車庫から外へ出せたP125X。

 まだ完成には程遠い状態だが、タイヤがついて転がせるようになると妙にうれしい。ということで途中経過ながら車庫から出して記念撮影。足元がキレイになったものだから、先日日本へ降り注いだ黄砂を落としてもボディがくたびれていると逆に目立つようになったか……。次回こそ、ワイヤー類を接続したい。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 【ベスパレストア作戦】合わせホイールに新品タイヤを組む! で、ようやくバイクらしいカタチになってきた。