JATO Japanは、欧州の自動車市場についての最新レポート『2021年1月欧州新車販売台数速報』を公開した。

 2020年は欧州の自動車産業にとって試練の年であったが、2021年もこれまでのところ、それほど楽な年ではないようだ。欧州27カ国のデータによると、2021年1月の新車販売台数は839,525台で、2020年の同月と比較して26%減少しており、1月度としては1982年以降で最低の結果となっている。JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munoz氏は「政府や自動車会社がピュアEV(BEV)の販売台数を増やす努力をしているにもかかわらず、世界的な感染拡大や地域のロックダウンの影響を相殺するには十分ではなかった」と述べている。

自動車ディーラーもまた、新型コロナウイルスの悪影響を感じ続けている。ドイツやスペインなどの主要国では、販売台数がそれぞれ32%と52%減少した。当月は、昨年末まで顧客が享受することのできた税制優遇措置が無くなったため、12月の成功には及ばなかった。Munoz氏は「1月1日から税金が変更されることを知った消費者は、先駆けて12月に新車を購入した」と続けた。




全体的にマイナスの傾向にあるにもかかわらず、いくつか例外があった。スウェーデンでは、2020年1月と比較して台数が23%増加した。これは、2020年1月1日に導入した、スウェーデンのボーナス・マルス制度が変更されたためで、高排出ガス車に有利な課税を利用するために、2019年12月は販売台数が大きく増えていた。ノルウェーでは、消費者が再びショールームに足を運ぶことができるようになったことで販売台数が8%増加し、手厚い報奨金にも後押しされ電動車の需要増も続いた。

SUVの成功

SUVは当月、新車販売全体の44%を占め、過去最高のマーケットシェアを記録して新しい年が始まった。Munoz氏は「SUVの需要は停滞の兆しがなく、欧州でも米国や中国と同様の成長パターンを示している。SUVの高額な価格と排出ガス量を考えると、この結果は特に注目に値する」と述べた。SUVの総販売台数は368,100台で、2020年1月と比較してわずか18%の減少となった。




スモールSUVが18%の販売減となりながらも、SUV全体の36%を獲得している。コンパクトSUVが需要の大半を占める一方で、177,500台となり、こちらも18%減となった。SUVの販売台数の15%を占めたのはミッドサイズSUVとラージ/ラグジュアリーSUVで、20%減の56,800台であった。ブランド別では、フォルクスワーゲン、プジョー、BMWが上位を占めたが、4位のフォードが最もシェアを伸ばしている。

ボルボが、最もマーケットシェアを拡大

メーカー別では、SUVとミッドサイズセグメントの需要が増加したことを受けて、ボルボが最もシェアを伸ばした。ボルボXC40は当月、欧州で最も売れたプレミアムカーとなり、販売台数は58%増の10,590台であった。反対にフォルクスワーゲングループは、2020年に欧州で最も売れたモデルであるゴルフが、ドイツ市場で販売が好調であったため、0.9%ポイントの下落で済んだ。

また、当月はモデルランキング全体で顕著な変動が見られた。ゴルフは順位を3つ下げ、トヨタ・ヤリス、プジョー208、ダチア・サンデロ(Dacia Sandero)に次ぐ4位であった。プジョー2008がSUVランキングの首位に立ち、競合車であるフォルクスワーゲンT-Rocとルノー・キャプチャーがそれぞれ7%と2%販売を落としたのとは対照的に、87%の大幅な上昇を記録した。




その他、販売台数を大きく伸ばしたのは以下のモデルである:フォード・プーマ(Puma)が72%増、フォード・クーガ(Kuga)が258%増、BMW・X3とキア・ニロ(Kia Niro)がそれぞれ12%増、メルセデスGLAが18%増、スズキ・イグニスが25%増、スマート・フォーツーが208%増、ポルシェ・マカンが23%増。

最近発売されたモデルで好調な結果を残したのは:メルセデスGLBが3,802台、フォルクスワーゲンID.3が2,909台、クプラ・フォーメンター(Cupra Formentor)が2,826台、シトロエンC4が2,491台、BMW・2シリーズグランクーペが2,409台、ポールスター(Polestar)2が1,290台、ポルシェ・タイカンが1,017台、トヨタ・プロエース シティ ヴァーソ(Proace City Verso)が915台、 アウディe-tronスポーツバックが908台、ランドローバー・ディフェンダーが871台。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 2021年1月欧州新車販売台数速報:ヤリス/208/ダチア・サンデロがTOP 3