両者は異なった機能を求められるが、実際には一体となって運動するセット部品である。ピストンはシリンダーと面接触しているのではなく、概ね3本のピストンリングで線接触しており、コンロッドの軌跡によってエンジン騒音の原因となる首振りを起こす。その対策としてピストン側面にコーティングを施したり、コンロッド長をなるべく長くする等の方策が採られる。
シリンダーヘッド側とともに燃焼室を形成するのがピストン冠面。エンジニアリングの観点からすれば、燃焼室側が半球形状であるのと同様、少しくぼんだような形状が理想(オットーサイクルの場合)。ただし、耐ノッキング性やスワール/タンブル流の生成、直噴システムとの関連で、近年は非常に凝った形状をもつピストンが多い。
燃焼室の火炎やガスを漏らさない、シリンダーライナー壁面に付着する余剰オイル分を平滑化する、壁面に付着したすすなどのデポジットをかき落とす、ピストンの上下動に伴う姿勢を制御する......など、気体、液体、固体すべてを問わず、多くの面倒を担うのがピストンリング。一般的にはトップ&セカンドリングおよびオイルリングという構成が多い。
ピストンピンを圧入するプレスフィット式と、セットしたあとのピン回転を許容するフルフロート式がある。性能を追求するとピン荷重を一点に集中させたくないため、フルフロート式が用いられる。写真のスカイアクティブGのコンロッド小端は荷重を受ける下面は面積が広く、上面は狭くなっていて軽量化に寄与する。ディーゼルから始まった手法。
ピストンピン挿入方向を横にした際に、棹部断面がIのものが一般的に市販車に用いられるコンロッド。小端からの入力を二分して大端へ伝える構造のため、強度を高くできる。いっぽうのH断面はオール加工で作りやすいという特徴を持ち、レーシングエンジンなどのスペシャルメイド品が多い。オイルジェットを棹部に沿わせやすいメリットもある。