REPORT●千輪 毅(CHIWA Tsuyoshi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
セルモーターではない、電子制御式ACGスターターはマイルドでスムースなエンジン始動が好印象。アイドリングストップしたのちの再始動も同様で、アクセル操作に対してタイムラグなく始動~発進できるので、後続車に気を遣うこともまったくない。
ちなみにバッテリーの電圧が低下した場合は、自動的にアイドリングストップは解除されるので、バッテリーあがりの心配も軽減されている。
タイヤはIRC製SCT、フロント110/70-14、リヤ130/70-13。このワイドサイズ化されたタイヤと、リヤのクッションストロークが95mmとなったこともあり、抜群の安定感を持っている。この安定感は思わずハンドルから手を放したくなるほど。実際に手を放せても意味はないのだが、それほど安定しているから、余計な緊張感がなく、安心してライディングできる。
軽量化と剛性の両立目指したをという新設計フレームにより、低速コーナーはもちろん、このクラスのスクーターではフワフワと不安定になりがちな高速コーナーの安定感も絶品。これは高速道路でも同様で、コーナリング時にギャップに遭遇しても振られたりすることなく、不安を感じるシーンも皆無だった。ただし、どういうワケか、直進中の高速域で大きなギャップを拾うと、突き上げ感を感じることがあった。
ところで、フロントのABS(アンチロック・ブレーキ・システム)の優秀さには驚いてしまった。当初のABSは、ベテランライダーなら付いていないほうが制動距離が短いほどのチープな完成度だったが、今のホンダのABSは、作動したことを感じさせないほど優秀だ。雨天時のマンホールや、万一のシーンで、ライダーを大きくサポートしてくれること間違いなしだ。
シート高764mmの足つき性はあまり良くなく、身長170cmの私は踵までは着かない。これはシート上部の幅が広いことによると思われるが、広い座面は長距離でのお尻への負担が軽減するので、一長一短かもしれない。ただし、シート自体はわりと硬めの仕上がりで、サスペンションからの情報を得やすい一方、長距離ではお尻が痛くなるのでは? と感じてしまった。
バーエンド間は約740mm。ミラー間は約860mmと、諸元表の全幅より120mmも広いので、狭い場面で機敏な走りをしたいなら、バックミラーを小型なものに変更するのもいいかもしれない。
車名・型式 ホンダ・2BK-KF47
全長(mm) 1,935
全幅(mm) 740
全高(mm) 1,105
軸距(mm) 1,315
最低地上高(mm) 135
シート高(mm) 764
車両重量(kg) 132
乗車定員(人) 2
燃料消費率
国土交通省届出値:定地燃費値(km/L)53.5(60)〈2名乗車時〉
WMTCモード値(クラス)45.2(km/h)(クラス 2-1)〈1名乗車時〉
最小回転半径(m) 1.9
エンジン型式・種類 KF47E・水冷4ストロークOHC単気筒
総排気量(cm³) 156
内径×行程(mm) 60.0×55.5
圧縮比 12.0
最高出力(kW[PS]/rpm) 12[15.8]/8,500
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 15[1.5]/6,500
始動方式 セルフ式
燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火
燃料タンク容量(L) 8.1
変速機形式 無段変速式(Vマチック)
タイヤ 前 110/70-14M/C 50P
後 130/70-13M/C 63P
ブレーキ形式 前 油圧式ディスク
後 油圧式ディスク
懸架方式 前 テレスコピック式
後 ユニットスイング式
フレーム形式 アンダーボーン