TEXT:世良耕太(SERA Kota)
気筒休止のコンセプトは燃費率の高いゾーンを使うことにある。低負荷になるほど燃費率は悪化していくのが一般的だが、そんな状況で気筒休止し排気量を減らしてやると、小さな排気量のエンジンにとっては負荷が高くなり、燃費率の良好なゾーンが使えるようになる。一般に、排気量の大きなエンジンほど気筒休止による取り分は大きくなるが、小排気量ではどうか。
それを検証したのがフォードとシェフラーだ。フォードはフィエスタなどに1.0ℓ・3気筒直噴ターボを搭載しているが、アグレッシブなまでにダウンサイズしたこのエンジンに気筒休止を導入しても、燃費向上の効果は得られるのか。シミュレーションと実走テストで検証した。
3気筒あるうちの決まった1気筒を「固定休止」すると実質的な排気量は666ccになるが、この場合は不等間隔点火になり、低回転域での振動が問題になる。この振動の問題を解消するのが、気筒休止するシリンダーを切り換えながら燃焼させる「ローリング気筒休止(RCD)」だ。全気筒運転の場合はクランクシャフト4回転(1440度)で1、2、3番シリンダーが2回ずつ点火するが、RCDでは1、2、3番がそれぞれ1回ずつ休止する。だから、実質的な排気量は500ccになり、1.5気筒分である。
実質的な排気量が500ccになっても、1気筒固定休止666ccに比べて燃費向上効果があることを確認。さらに、振動吸収効果のあるデュアルマスフライホイールやペンデュラムアブソーバーを採用することで、気筒休止の領域を低回転側に広げられるという。
気筒休止を実現するデバイスは、油圧による可変動弁機構=ユニエアでも可能だが、油圧によってロック機構を解除することにより「ノーリフト」状態を作り出すスイッチャブルローラーフィンガーフォロワーを提案している。