REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
※注:記事内の新型のスペックは、すべて欧州仕様のものです
水冷4ストローク単気筒124ccエンジンを搭載した原付2種モデル、ホンダCB125R。125クラスとは思えない前後17インチホイール採用の大柄な車体、スポーティな足周り、パワフルなエンジン等により、欧州はもちろん、国内でもスポーツミッションの入門モデルとして高い人気を獲得している。
欧州で発表された新型の2021年モデルは、新排ガス規制のユーロ5に適合した新設計のエンジンを搭載。現行モデルに採用のSOHC 2バルブから、DOHC 4バルブに進化しているのが大きなポイントだ。
欧州仕様の最高出力は、人気の124ccスポーツモデル「スズキ GSX-R125 ABS(国内仕様)」と同じ15馬力を発揮(※スズキ GSX-R125 ABS(国内仕様)の詳細は下記をチェック)。最高速度は現行モデルの101km/hから、105km/hに向上。0-200mは11.3秒で走破する。ミッションは現行モデルに引き続き6速を採用。
フレームは現行モデルと基本的に同じだが、注目なのはフロントフォーク。現行モデルと同じフォーク径Φ41mm&倒立型ながら、新型には125クラス世界初採用となるSHOWA製SFF-BP(セパレート・ファンクション・フロントフォーク・ビッグピストン/Separate Function Big Piston)を導入(※注1)。
このSHOWA製SFF-BPは、2020年に発売された人気モデル「カワサキNinja ZX-25R」にも採用。Ninja ZX-25Rのフォーク径はΦ37mmだが、CB125RはNinja ZX-25Rを上回るフォーク径Φ41mm。フロントフォークだけを取り挙げてみても、125クラスながら、250クラスを凌駕したハイスペックな装備が盛り込まれている。
ブレーキは現行モデルと同じく、前後とも油圧ディスク式を採用。フロントはΦ296mmディスクリーター+ニッシン製ラジアルマウントキャリパー、リヤはΦ220mmディスクローター+1ポットキャリパーを組み合わせ(前後ブレーキは現行モデルと同じ仕様)。また、IMU搭載による前後2チャンネルABSも、現行モデルを継承している。
ホイールは前後とも、現行モデルと同じ17インチを採用。タイヤは現行モデルと同じく、フロント110/70R17、リヤ150/60R17のラジアルをチョイス。灯火類はフルLEDで、メーターはLCDを採用。
※注1:SHOWA製SFF-BPとは、2本のフロントフォークに機能を分担させて高いダンパー性能と軽量化を両立する「SFF(セパレート・ファンクション・フロントフォーク)」と、ピストンサイズを大型化して減衰力の応答性を向上させる「BP(ビッグ・ピストン)」を組み合わせた、超高性能なフロントフォーク。ホンダCB1000R、ホンダCBR650R、ホンダCB650R、カワサキNinja ZX-6R、カワサキNinja ZX-25Rなどに標準装備(パイプ径、スプリングレート、ダンピング等は各車により異なる)。
【現行モデル(国内仕様)】
全長×全幅×全高:2,040mm×820mm×1,055mm
ホイールベース:1,345mm
最低地上高:141mm
シート高:815mm
車両重量:127kg
最小回転半径:2.3m
エンジン:水冷4ストロークOHC単気筒2バルブ
総排気量:124cc
内径×行程:58.0mm×47.2mm
圧縮比:11.0
最高出力:13ps/10,000rpm ※欧州仕様は13.4ps
最大トルク:1.0kgf・m/8,000rpm
ミッション:6速
タイヤ:前110/70R17M/C 54H 後150/60R17M/C 66H
キャスター角(度):24°
トレール量:90mm
燃料タンク容量:10L
燃料消費率(WMTCモード値):47.2km/L
【新型(欧州仕様)】
全長×全幅×全高:2,015mm×820mm×1,055mm
ホイールベース:1,345mm
最低地上高:140mm
シート高:816mm
車両重量:130kg
最小回転半径:2.3m
エンジン:水冷4ストロークDOHC単気筒4バルブ
総排気量:124.9cc
内径×行程:57.3mm x 48.4mm
圧縮比:11.3
最高出力:15ps/10,000rpm
最大トルク:1.18kgf・m/8,000rpm
ミッション:6速
タイヤ:前110/70R17M/C 54H 後150/60R17M/C 66H
キャスター角(度):24.2°
トレール量:90.2mm
燃料タンク容量:10.1L
燃料消費率(WMTCモード値):45.5km/L
新型の外観は、現行モデルを踏襲。超高性能なSHOWA製SFF-BPフロントフォークを除き、フレーム、足周りは現行モデルを継承し、全幅、全高、ホイールベースも同寸。新型の全長は25mm短縮されているが、これはリヤフェンダーの形状変更によるものだと予測。最小回転半径は両車とも2.3mとしている。
新型の重量は3kg増。これはDOHC 4バルブ化され、シリンダーヘッドの総面積の増加、カムシャフトの1本増加、吸排気バルブの追加による部品点数の増加、フロントフォークの変更が影響していると思われる。
新型の最高出力は同回転数で2馬力アップ(国内仕様と欧州仕様の比較/現行の欧州仕様は13.4馬力のため1.6馬力アップ)、最大トルクが同回転数で0.18kgf・mアップ(国内仕様と欧州仕様の比較)。圧縮比は11.0から11.3に引き上げ。
注目すべきは、内径(ボア径)×行程(ストローク長)の違い。新型は57.3mm x 48.4mm(現行モデルは58.0mm×47.2mm)に変更され、現行モデルよりもロングストローク化されている。
一般的にショートストローク型エンジン=回転を上げてパワーを稼ぐレーシーなタイプという傾向が強い。しかしDOHC 4バルブ化され、吸排気効率をアップしてパワーを稼ぎやすく、レーシーであるはずの新型のエンジンは、さらなるショートストローク化ではなく、ロングストローク化を選択。
これによって、トルクフルな方向性の街乗りを重視した特性に。また、燃費性能の向上やユーロ5に適合したクリーンなエンジン性能を目指した結果だとも考えられる。
ブレーキは現行&新型とも、前後に油圧ディスク式を採用。フロントはΦ296mmディスクリーター+ニッシン製ラジアルマウントキャリパー、リヤはΦ220mmディスクローター+1ポットキャリパーを組み合わせ。また両車とも、IMU搭載による前後2チャンネルABSが導入済み。
現行&新型とも、ホイールは同デザインの17インチを採用。前後タイヤサイズも変わらず、フロント110/70R17、リヤ150/60R17のラジアルがチョイスされている。
全長×全幅×全高:2,015mm×820mm×1,055mm
ホイールベース:1,345mm
最低地上高:140mm
シート高:816mm
車両重量:130kg
最小回転半径:2.3m
乗車定員:2人
燃料消費率(WMTCモード値):45.5km/L
燃料タンク容量:10.1L
エンジンオイル容量:1.5L
トレール量:90.2mm
キャスター角(度):24.2°
エンジン:水冷4ストロークDOHC単気筒4バルブ
総排気量:124.9cc
内径×行程:57.3mm x 48.4mm
圧縮比:11.3
最高出力:15ps/10,000rpm
最大トルク:1.18kgf・m/8,000rpm
ミッション:6速
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング式
燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式:セルフ式
点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火
タイヤ:前110/70R17M/C 54H 後150/60R17M/C 66H
ブレーキ形式:前後 油圧式ディスク
懸架方式:前テレスコピック式(倒立サス) 後スイングアーム式
フレーム形式:ダイヤモンド