11代目となる新型は、その魅力を継承しながらさらにスポーティで運転が楽しいシャシー、よりパワフルで低燃費のパワートレーン、進化したアクティブ/パッシブセーフティ性能を備えているという。
デザインは、ホンダが伝統的に大切にしているMM(マンマキシマム・メカミニマム)思想を取り入れつつ、ダイナミックなフォルムとスポーティなスタンスを両立している。現行型からは全高やヒップポイントの低さを継承。シビックの伝統である低いボンネットやフロントフェンダー、ベルトラインによりホイールやタイヤの存在感を強調するとともに、広々としたキャビンを実現している。
新型シビックではAピラーを後方に移動させ、よりボンネットの長さを強調するフォルムとなったのもトピックだ。Aピラーの位置変更は、ドア側に移動したサイドミラーとともに、乗員の視認性向上にも貢献している。
フロントマスクは現行型のイメージを色濃く継承しているが、ヘッドライトはより直線的になった。サイドビューでは、フロントフェンダーからリヤフェンダーにかけてなだらかに下降していくショルダーラインが目を引く。後ろ姿では、テールランプが台形からよりオーソドックスな横長タイプに変更されている。また、トランクリッドの後端が指でつまみ上げられたように持ち上がっているのは、空力性能を考慮してのことだろう。
インテリアは現行型のすっきりとしたラインを再構築し、優れた人間工学と視認性というMM思想の価値を進化させながら、モダンなデザイン要素とテクノロジーを取り入れている。
現行型ではメーターを取り囲むような大型クラスターがスポーティな雰囲気を漂わせていたが、新型はシンプル&モダン路線。インストルメンとパネルは、ドアとダッシュボードのラインが調和し、カットラインや切れ目を最小限に抑えた、すっきりとしたデザインとなっている。ダッシュ中央のハニカムメッシュのアクセントは、デザイン性を高めるだけでなく、空調の吹き出し口を隠す役割も担っている。
最新モデルらしく、コクピットのデジタル化にも抜かりはない。メーター類はフル液晶となるほか、センターディスプレイは大型の9インチタイプ(もちろんタッチ操作に対応)となり、位置もダッシュ上部の見やすい位置に移動している。
また、新型シビックは最新のホンダセンシングをはじめとする複数のアクティブ/パッシブセーフティシステムを採用している。乗員と歩行者の衝突保護性能を向上させたホンダ独自のアドバンスド・コンパチビリティ・エンジニアリング (ACE)ボディ構造は新バージョンとなり剛性が向上。そのおかげで走りや乗り心地、ハンドリング性能も進化している。
新型シビックは、2021年春に北米で正式デビュー予定。今回公表されたプロトタイプはセダンだが、ハッチバックやスポーティバージョンのSi、さらにホットモデルの「タイプR」もラインナップに加わるとアナウンスされている。ついにタイプRが、欧州や日本だけでなく北米でも発売されることになるようだ。
ちなみに、これまでシビックはイギリスと北米で生産されていたが、ホンダは2021年中にイギリス工場を閉鎖すると発表済み。北米向けの新型シビックは、インディアナ州グリーンズバーグとカナダのオンタリオ州アリストンの工場で生産されることになるという。
果たして、新型シビックは日本にも導入されるのだろうか。日本では10月に10代目をベースにしたシビック・タイプRのマイナーチェンジモデルが発売されたばかり。200台限定のリミテッドエディションが瞬殺で売り切れてしまったことは記憶に新しい。日本におけるシビックの存在感は残念ながら希薄になりつつあるが、タイプRの人気は相変わらずだ。せめてタイプRだけでも新型シビックの導入を期待したい、というホンダファンは多いのではないだろうか。