さらに、毎日使うクルマだからこそ求められる荷物の積みおろしのしやすさや耐久性、田んぼのあぜ道から下町の路地まで、狭い道路でも走れる取り回しの良さ、そして求めやすい価格に徹底的にこだわってきた。また、ダンプシリーズをはじめとした豊富な特装車など、様々な顧客に寄り添えるラインナップを用意してきた。
さらに近年では、軽商用車を買い物や通勤・通学、送迎など日常生活で使うユーザーの増加や、高齢ユーザー比率の高まりを踏まえ、様々なシーンで安全・安心に使用できるよう、いち早く予防安全機能「スマートアシスト」を採用。ユーザーの「頼れる相棒」として活躍してきた「ハイゼット」シリーズは、「良品廉価」「最小単位を極める」「先進技術をみんなのものに」といったダイハツのスモールカーづくりの思想を体現した一台となっている。
現在の「ハイゼット」シリーズは、農林水産業を中心に使用されている「ハイゼット トラック」、配送業や小売業などを中心に使用されている「ハイゼット カーゴ」「ハイゼット キャディー」の3モデルで構成され、これまでの累計生産台数は約740万台にのぼる。また現在の総保有台数は約220万台となり、全国で大変多くのユーザーから愛用されている。
ここでは、歴代モデルからターニングポイントとなったモデルを中心にピックアップ。なお、ハイゼットの歴代全モデルの詳細は、60周年記念サイトで確認可能だ。
高度経済成長期の真っ只中、当時大ヒットしていた軽三輪自動車「ミゼット」に続き、ダイハツ初の軽四輪自動車(360㏄)として発売。当時の軽四輪自動車のイメージを刷新する斬新なデザインで、積載性だけでなく、居住性にもこだわった。1961年にはボンネットバンタイプも発売し、「ビジネスとレジャーを結ぶニューファミリーカー」として、一家に一台のマイカー時代を支えた。
経済成長にあわせハイゼットの需要が著しく伸長していたなか、荷台をフルに使えるタイプへの要望に応え、フロントエンジンのキャブトラックとして二代目を発売。エンジンを座席下に配置することで、荷室とキャビンの最大化を実現した。1965年には「ハイゼット カーゴ」のもととなるキャブバンタイプを発売。
四代目では積載性、乗り心地や居住性などを向上。また72 年に、軽ライトバンで初めてスライド式ドアを採用した「ハイゼットスライドバン」を発売し、利便性を向上した。この頃ダイハツは電気自動車に積極的に取り組んでおり、四代目では急速充電システム付きの「クイックチャージ式電気自動車」を開発、1976 年の大阪国際見本市に出展した。
排気量に加えて、全長・全幅・全高を拡大した新規格軽自動車「ハイゼット 55(ゴーゴー)ワイド」として発売し、翌月にはバンもフルモデルチェンジ。当時は公害問題に伴い、自動車に対して高い環境対応が求められており、ダイハツは非常に厳しい排ガス規制に対応できる AB 型550ccエンジンを新開発し、ハイゼットにも搭載した。
1991年に実施された軽自動車規格変更に伴いフルモデルチェンジ。 新開発のEF型660ccエンジンを搭載し、快適な走行性能を実現するとともに、積載性や使い勝手など、全方位で性能を向上した。また、1980年代からハイゼットの海外生産が始まるとともに、ハイゼットベースの現地専用車がインドネシアやマレーシアで生産された。
安全性の向上を主眼とした1998年の軽自動車規格変更に合わせ、全長・全幅を拡大したフルモデルチェンジを実施し「ハイゼット トラック」へと名称を変更。取り回しのしやすい「フルキャブ」スタイルを踏襲しながら、新国内衝突安全基準をクリアしたトップクラスの安全性を実現。また新開発エンジンを採用し、環境性能と走行性も向上した。
さらにバンも同時にフルモデルチェンジし「ハイゼット カーゴ」へ名称変更。当代から運転のしやすさや快適性を追求し「セミキャブ」スタイルに変更した。イタリア人デザイナーであるジウジアーロ氏によるデザインを採用するとともに、トラック同様に安全性や走行性能を向上させている。
バンはトラックとは別プラットフォームを採用し、フルモデルチェンジ。新工場であるダイハツ車体(現ダイハツ九州)大分(中津)工場の最初の生産車種となった。デザインを一新するとともに、クラストップのロングホイールベースなどで安定性を向上。また、2017年にマイナーチェンジし、予防安全機能「スマートアシスト」を採用した。
一方、トラックは約15年ぶりのフルモデルチェンジ。積載性や使い勝手の良さなどを全面的に向上させるとともに、近年注目の高まる女性ユーザーに着目し、農林水産省の進める「農業女子プロジェクト」に参画し、豊富なカラーバリエーションなど、従来にない装備を多数採用。また、2018 年に一部改良し、予防安全機能「スマートアシスト」を採用した。