奥多摩は、奥多摩湖にはじまり、長い旅の末に東京湾へと流れ込む多摩川の上流にあたるエリア。けわしい山と深い森、そして美しい川が織り成す美観が人々に愛されています。多摩川と支流の日原川が交わる、ゆたかな水に恵まれた奥多摩町中心部を訪れてみました。




REPORT●村上 菜つみ(MURAKAMI Natsumi)


PHOTO●高橋 克也(TAKAHASHI Katsuya)

カフェKualaがちょっと変わっているのは、氷川キャンプ場の敷地内というその立地。国道411号奥多摩駅入口交差点を南に折れ、昭和橋で多摩川をわたったら、左手の町営氷川有料駐車場へ。キャンプ場内の森の一角にある小さな山小屋風の建物がカフェKualaです。

カフェKualaは森の小さな小屋のよう。ウッドドアの向こうにおいしい世界が広がります。

「Kuala」はマレー語で「流れの集まる場所」、つまり川の合流点という意味だそう。多摩川と日原川が出会うこの場所にぴったりなだけでなく、人が集まり、新しい何かと出会う場所にしたいという思いまでもが伝わってくる名前です。森の緑に隠れるほどに慎ましいこのカフェのたたずまいにも、その思いが現れているように感じました。



ざっくり素朴な手書きロゴの看板が、カフェの雰囲気と味を無言のうちに伝えています。
入口足元の「OPEN」の看板。飾らないおもてなしの心がここにも現れているようです。
冷たい雨に降られると、かえってカフェKualaのあたたかさがじわっと伝わってきます。
インテリアも素朴で飾り気がありません。白熱灯のやさしい色がよく似合います。

白熱灯の色に染まる小さなカフェは、すみずみまで木の香りが立ち込めていて山小屋のよう。棚に飾られたガラス瓶や謎めいたキャンプ道具の輝きが秘密基地みたいな雰囲気を醸し出して、冒険に憧れていた子どもの頃みたいに、ついワクワクしてきちゃいます。

洋酒の棚に並ぶドライフラワーのボタニークは、ガラスに閉じ込められた小さな大自然。
ドライペッパーの深みのある赤が、ウッドのインテリアにぴったりマッチしています。
カップにやどるオレンジの光沢に、カフェのあたたかい空気が映し出されているようです。
自然に抱かれて過ごすまったりティータイムは、黄金色にとろける至福の時間。
ウッドチップのカレンダーに、喧騒を離れたゆるゆるスローライフの味わいを感じますね。
テント設営に使うガイロープ(張り綱)など、身近なキャンプ用品も販売されています。
レザーやウッドのクラフト販売も。これも奥多摩の自然に触れる楽しみ方のひとつです。
カフェKualaは奥多摩の山をめぐる森林セラピーツアーの拠点にもぴったりの立地です。
柚子を使ったびん詰めの「奥多摩ギフト」。限定品ながら、時期が合えば手に入ることも。
カフェの思いが伝わる黒板。チョークの文字の一つ一つに気持ちがこもっています。
奥多摩特産の治助芋。原種に近いジャガイモは、こっくり濃厚な味わいが特長です。

「奥多摩でゆっくり寛げる場所はない?」そんな声に応えて生まれたカフェKualaには、素敵な時間とおいしい食べ物だけでなく、熱い奥多摩愛があふれています。地元だけでひっそり作られてきた治助芋を手のかかる自家栽培で提供し続けているのも、その愛の表れといえそうですね。

幻のジャガイモと呼ばれる治助芋を使った奥多摩産治助芋の野菜カレー(900円)は、奥多摩だけで楽しめるカレーライスです。マルゲリータピッツァ(1000円)などの軽い食事や、奥多摩チーズケーキ(500円)などのデザートも豊富。ドリップコーヒーは挽きたて淹れたてが500円です。

ペロリといけちゃうパンケーキアフォガード(700円)、やさしい甘さのスイーツです。

奥多摩産柚子トニック(500円)はがっつりリアルな柚子の味。喉越しの良さが癖になりそう。

雨にけむる山、桜散り敷く頃の奥多摩で。秋へと季節が巡ってもその美しさは変わりません。

ふらりと出かけた奥多摩には、あふれる自然とあたたかい人々、おいしいものがいっぱい。初めて見るもの、初めて知ることに驚くこともたびたびでした。カフェKualaで出会ったモノやコトの感動が、きっとまた私をこの奥多摩に連れてきてくれるはず、と感じています。

●カフェKuala


〒198-0212


奥多摩町氷川702 氷川キャンプ場内カフェクアラ


TEL:090-3518-2516


営業時間:11:30~21:00


定休日:月曜日・火曜日、他(不定期)

情報提供元: MotorFan
記事名:「 【東京・奥多摩ツーリング/第七回 カフェKuala】 村上菜つみのバイクでカフェめぐり