TEXT●山崎友貴(YAMAZAKI Tomotaka)
ここ数年、キャンピングカーでは「シンプルモダン」という住宅と同じインテリア基調が取り入れられるようになっている。これは、キャンピングカーの購入が女性主導であることに関係しているが、さらに若いユーザー層が増加しているのも関係しているかもしれない。
ビルダーによっては、女性のインテリアコーディネーターに内装をコーディネイトしてもらい、大きな花柄の壁紙をあしらった北欧風の内装や、まるで大手インテリアチェーンの店内のような洒落た内装を採用しているモデルがどんどんと増えている。こうした流れは、欧米の“マイクロハウス”に影響を受けているとも言え、味気ない移動手段から、好きな場所で暮らせる小さな家としてキャンピングカーを捉えている人が少なくということだ。
好きな場所で暮らすと言えば、かつて欧米で流行した「バンライフ」を思い浮かべる人もいるだろう。バンライフは数年前に、ラルフローレンのデザイナーだったフォスター・ハンティントン氏が生み出した言葉とライフスタイルだ。仕事に嫌気が差した彼は、1台のバンに乗って各地を転々とし、旅の日々をSNSで配信した。それが大反響を呼び、やがて自由きままに移動し、生活を拘束されない仕事をしながら、好きな場所でバン生活を送ることをバンライフと括るようになった。
欧米から遅れて日本でもバンライフが流行の兆しを見せているが、やはり土地に土着する民族としては、そうそうみんなバンライフを送ることができない。そこで、欧米のバンライファーたちがカスタムするようなバンコンに乗って、週末を楽しむというのが、最近のキャンピンングカーのトレンドになっている。
もともとバンライファーは、バンの車内にウッドで自作した壁を取り付けることが多いため、昨今のバンコン業界ではウッド調の壁紙、もしくは木材をあしらったバンコンを続々とリリース。さらに家具なども無垢の木で作り、まるでちょっとした山小屋のような内装に仕上げている。
インテリアに流行もあるが、そもそもキャンピングカーのインテリアは、ビルダーの趣味趣向によってまるで異なるというのも魅力になっている。空間の作り方もビルダーによってまるで違うし、もちろんクオリティも千差万別だ。言ってしまえば、住宅と同じなのである。キャンピングカーを買う場合はショーや販売店に出向き、必ず実車を確認してから購入した方が後悔をしないで済む。
ちなみにトレンドに関わらず、安くいい車両を手に入れたいなら、中古車を探そう。中古車は物件が少ないが、新車の6〜7割ほどの価格で買える上に、いいクルマに出会えば納車待ちの期間が短い。もちろん前オーナーがどういう使い方をしていたかで内装の痛みがまるで異なるため、場合によっては大幅なリフォームを必要とする場合もあることも知っておきたい。