今回「300万円で狙えるポルシェ」を紹介するが、安いポルシェとなるとクルマを見極める目も重要だ。走行距離や状態が良くないものも多いため、自分でしっかり状態を確認してから検討していただきたい。また、購入後の維持費も考慮する必要がある。
まず、おすすめの中古車を購入する前に一度ポルシェについて復習しよう。
ポルシェはドイツを代表するスポーツカーメーカー。ポルシェの名を冠する初のスポーツカー、ポルシェ356が誕生して72年超。究極のスポーツカーを追求するポルシェの創設者フェリー・ポルシェの情熱は、今でもポルシェのクルマ作りに根付いている。スポーツカーの代名詞と称されるポルシェ911は、水平対向6気筒エンジンをリヤに搭載する独創的なレイアウトを守りぬきながら、妥協なき革新のもとに8代目へと進化。さらに、ボクスター、ケイマン、カイエン、パナメーラ、マカン……とポルシェらしさをさまざまなモデルに採用している。最近では100%の電気自動車、タイカンを発売し話題となった。これらすべてのポルシェは、他の車と一線を画す真のスポーツカー。ポルシェが常にクルマづくりの原点としてチャレンジし続けてきたモータースポーツにある。
カイエンはポルシェが初めて開発したSUVで、初代は2002年に登場した。ポルシェの歴代モデルが受け継いできたスポーツ性能とオフロードでも走りこなせる性能を両立した、ハイパフォーマンスSUVだ。
初代のグレードは大きく分けてカイエン、カイエンS、カイエンGTS、カイエンターボ、カイエンターボSの4つがあり、中古で300万円以内となると、どのグレードでも選ぶことができる。おすすめはGTS。最高出力405ps、最高トルク500Nmを発生する4.8ℓV8 NAエンジンを搭載する。ターボはこのエンジンにツインターボが組み合わされ、500ps、700Nmを発生するが、バランスを取るならGTS。トルクフルでNAらしい気持ちの良い加速を堪能できる。
2代目は2010年に発売された。エクステリアはキープコンセプトだが、さらに流麗でポルシェらしいデザインとなった。300万円以内で狙えるのはカイエンとカイエンSの2グレード。カイエンは300ps、400Nmを発生する3.6ℓV型6エンジンを搭載。穏やかな性格で、安定したロングツーリングを楽しめるが、「ポルシェ」を感じたいならカイエンSを選びたい。こちらは400ps、500Nmを発揮する4.8ℓV8 NAエンジンを搭載する。前述した初代カイエンGTSと同様トルクフルな走りのはもちろん、こちらは車重が2130kgと約180kg軽量化され車体の動き出しが軽く感じ、ポルシェが掲げるスポーツカーらしい走りを堪能できる。
カイエンは知名度も高く、みんなが憧れるモデルだ。3代目が登場して久しいが、最近は2代目も300万円でも手が届くようになった。スポーツメーカーポルシェが作ったSUV、ぜひ検討してみてはいかがだろうか。
全長×全幅×全高(㎜)=4786×1955×1675
ホイールベース(㎜)=2855
エンジン:4.5ℓ 水冷V型8気筒DOHC32バルブICツインターボ
駆動:フルタイム4WD
最高出力:405ps(298kW)/6500rpm
最大トルク:51.0kg・m(500Nm)/3500rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション:6AT
新車価格:1002万円
※2007年発売当時のスペック
全長×全幅×全高(㎜)=4845×1940×1710
ホイールベース(㎜)=2895
エンジン:3.5ℓ V型6気筒24バルブ
駆動:フルタイム4WD
最高出力:300ps(220kW)/6300rpm
最大トルク:40.8kg・m(400Nm)/3000rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション:8AT
新車価格:795万円
※2010年発売当時のスペック
ボクスターは2シーターオープンスポーツカーで、初代は1996年に登場した。911よりも扱いやすいサイズと手軽な価格で、ポルシェの入門モデルとしても有名だ。ライバルはBMWZ4(当時はZ3)、メルセデスベンツSLK、アウディTTロードスターなどが挙げられる。これらライバルがフロントエンジンなのに対し、ボクスターの大きな特徴はミッドシップ(MR)を採用したことだ。これによりバランスのとれた重量配分で限界値の高い、攻めた走りも楽しむことができる。
今回おすすめする2代目ボクスターの発売は2004年。グレードは大きく分けてボクスター、ボクスターSの2種類。ボクスターは2.7ℓ水平対向6気筒エンジンを搭載。最高出力245ps、最大トルク273Nmを発揮する。一方、ボクスターSは3.4ℓ水平対向6気筒エンジンを搭載。こちらは295ps、340Nmを発生する。おすすめは前者。ボクスターSと同じトランスミッション、「ティプトロニック」を持ち、車重も1390kgと重くないため2.7ℓでも充分な走りを楽しめる。最高出力が40ps大きいボクスターSと性能差がそこまで大きく感じないのが不思議なほど完成度が高い。
ポルシェのオープンカーはボクスターのほかに911カブリオレがあるが、こちらは中古車価格も高く維持費もさらにかかってしまう。2代目ボクスターは300万円以内でも状態の良いものも多く、気軽に楽しめるちょうど良いオープンスポーツだ。
全長×全幅×全高(㎜)=4330×1800×1295
ホイールベース(㎜)=2415
エンジン:2.7ℓ 水平対向6気筒24バルブ
駆動:ミッドシップ
最高出力:240ps(176kW)/6400rpm
最大トルク:27.5kg・m(270Nm)/4700~6000rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション:5MT
新車価格:569万円
※2004年発売当時のスペック
ケイマンはポルシェの2シータースポーツモデルとして2005年にデビューした。ボクスターと似ていると感じた人は正解。ケイマンはボクスターをベースにクーペ化したモデルなのだ。当時の位置付けはボクスターと911の間のモデルだが、911と比べても見劣りしないポルシェらしい流麗なシルエットが特徴だ。
基本的にグレードは2代目ボクスターと同じで、2.7ℓ水平対向6気筒エンジンケイマンと3.4ℓ水平対向6気筒エンジンのケイマンSがある。もちろんミッドシップだ。どちらもティプトロニックSとMTが選べる。ティプトロニックSはパドルシフト操作も可能で、シフトチェンジが約0.2秒で行なえる。エンジンはどちらも完成度が高く2.7ℓエンジンを積むケイマンでも充分満足できるだろう。また3000回転までは驚くほど静かなため街乗りをメインに使っても乗り心地が良く、4000回転を超えると硬質なポルシェサウンドを響かせる。街乗り、スポーツ走行どちらもこなせるオールラウンダーのスポーツカーだ。
ボクスターと並んでこのケイマンは、ポルシェのなかでは手軽なスポーツカーの1台。ポルシェの入門車だ。
全長×全幅×全高(㎜)=4340×1800×1305
ホイールベース(㎜)=2415
エンジン:3.4ℓ 水平対向6気筒24バルブ
駆動:ミッドシップ
最高出力:295ps(217kW)/6250rpm
最大トルク:34.7kg・m(340N・m)/4400~6600rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション:5AT
新車価格:819万円
※2005年発売当時のスペック
911は誰もが知るポルシェの代表的なスポーツカーだ。初代は1964年に発表され、それ以来世界のスポーツカーのベンチマークとしてその性能を磨き上げてきた。現在発売されている992型は8代目で、ポルシェ全体の利益の約30パーセントを稼ぐモデルとなった。今回紹介するのは1998年に発売された5代目の996型。4代目までと大きく違うのはエンジンが空冷方式から水冷方式となったことだ。これにより信頼性が大幅に向上した。また駆動方式は911伝統のRRとトルクスプリット4WDが選べる。
グレードはさまざまでカレラからターボ、GT2などがある。300万円以内で手に入るのは911カレラだ。1998年のデビュー当初は3.4ℓ水冷水平対向6気筒エンジンを搭載し、300ps、350Nmを発生する動力性能を備えていた。2001年のマイナーチェンジでは320ps、370Nmを発生する3.6ℓエンジンに変更された。おすすめは3.6ℓエンジンを搭載する後期型。ターボやGT2と比べれば絶対的な運動性能は劣るが、3000回転を超えてきてからのエンジンサウンドは特筆すべきものがある。
ポルシェ伝統の911を安く手に入れたい方はこのモデルが一番だ。ただし、古いぶん故障が多いのも事実。特にこの996型はシリンダーヘッドの亀裂やトランスミッションの不具合などが多いと聞く。購入を検討する際はできるだけ走行距離が少ない状態の良いものを選びたい。また、購入後の維持費も相当かかるという覚悟もお忘れず。
全長×全幅×全高(㎜)=4430×1765×1305
ホイールベース(㎜)=2350
エンジン:3.4ℓ 水冷水平対向6気筒DOHC24バルブ
駆動:RR
最高出力:300ps(221kW)/6800rpm
最大トルク:35.7kg・m(350.1Nm)/4600rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション:5AT
新車価格:569万円
※1998年発売当時のスペック
今回は300万円以内で買える中古のポルシェを紹介した。ポルシェはヨーロッパを代表するスポーツカー。いつか憧れたあのポルシェを現実的な価格で手に入れていただきたい。(ただし、しっかり状態を確認しよう)ポルシェは欲しいけど高いから……とあきらめていた方は、ぜひこの4モデルをショッピングリストに載せて検討してみてはいかがだろうか。