今回発表されたのは、次期フェアレディZのプロトタイプである。「Zカー」は、言うまでもなく「日産のアイコン(象徴)」的存在だ。販売台数の多寡よりも、その存在感は重要だ。ゴーン前会長による不祥事などで傷ついた日産ブランド復活の狼煙(のろし)としての「次期型Zのお披露目」の意味は大きい。
レモンイエローのフェアレディZ プロトタイプに乗って登場したのは、内田誠CEO。背後には「POWER OF Z」という文字が掲げられていた。
「このプロトタイプは、コンセプトカーではない」と言い切った内田社長。市販モデルもほぼこのままのスタイルで登場するはずだ。
チーフプロダクトスペシャリストは田村宏志氏。
現行フェアレディZは、2008年12月発売の6代目。Z34型である。
プラットフォームは、Z33型から使う日産のFR車用プラットフォームの「FMプラットフォーム」。
エンジンは、3.7ℓV6DOHCのVQ37VHR型。最近では少数派となった大排気量自然吸気エンジンで、最高出力336ps/7000rpm、最大トルク365Nm/5200rpmである。
フェアレディZ プロトタイプのエンジンは、「V6ツインターボ」としか発表されていない。日産が現在持っているV6ツインターボは、GT-Rの3.8ℓV6ツインターボのVR38DETTとスカイライン400Rが搭載する3.0ℓV型6気筒DOHCツインターボVR30DDTT型だが、おそらくVR30DDTT型を搭載すると予想する。
スカイライン400Rは
最高出力:405ps(298kW)/6400rpm
最大トルク:475Nm/1600-5200rpm
だが、Z PROTOのスペックは未発表だ。
トランスミッションは、6速MTと発表されている。当然、市販車には2ペダルトランスミッションも設定されるだろう。
日産の発表資料には、
「Zはいつの時代もその時代をリードするパワフルなエンジンを搭載してきました。それは「フェアレディZ プロトタイプ」も例外ではありません。シャープで長いボンネットの下には6速のマニュアルトランスミッションが組み合わされたV6ツインターボエンジンが搭載されています。そして現在新しいZの発売に向け、Zに求められる性能と扱いやすさの開発が進められています」
と書かれている。
フェアレディZ プロトタイプのシャシーに関する詳細な情報はなかったが、FMプラットフォームを大幅に改良したものではないか。
インテリアについての発表にはこうある。
「スポーツカーとしてのドライビングを楽しむドライバーのためにデザインされた「フェアレディZ プロトタイプ」のコックピットは、オーセンティックさと最新の技術を融合したデザインとなっています。
このインテリアデザインは、プロのレーシングドライバーと共に理想的なメーターデザインや室内空間の在り方を検討してきました。それを最も特徴づける部分は、12.3インチのフルデジタルメーターディスプレイです。エンジン回転計の針が真上を示すと同時に、シフトアップインジケーターが点滅しドライバーにシフトアップを促し、スポーツドライビングをアシストします。またクルマの状態を示す他の計器類も、一目でクルマが最適な状態であることがわかるようにデザインされています。
新たにデザインされたZ専用のステアリングは、スポーツカーであることを表現するディープコーン形状とし、操作性のよいグリップ形状や視認性良くまとまったスイッチ類によってスポーツカーとしての性能を最大限引き出すポテンシャルを兼ね備えたデザインです。
ボディカラーに合わせた黄色いステッチがインストルメントパネルの各所に施され、シート中央部にはグラデーション加工された黄色いストライプ模様がデザインされており、エモーショナルで立体感のあるスポーティーなインテリアを演出しています」
フェアレディZ プロトタイプは日産の「Z」の伝統を受け継ぐ
FRレイアウト/マルチシリンダー(6気筒)/ファストバック型ボディ形状
を採る。
ボディサイズは
現行(Z34型)
全高×全幅×全高:4260mm×1845mm×1315mm
ホイールベース:2550mm
に対して
フェアレディZ プロトタイプ
全高×全幅×全高:4382mm×1850mm×1310mm
と全長で122mm、全幅で5mm拡大している。ホイールベースは発表されていない。