PHOTO●渡辺昌彦(WATANABE Masahiko)
取材協力/問い合わせ●オートサロンオギヤマ(https://ogiyama.co.jp)
※TT900(チューブレス)タイヤを装着しての販売金額。チャンバー、バックステップは別売りとなります。
アジア市場では以前から150ccクラスのスポーツバイクが人気で様々なモデルが登場してきた。その中心はパワフルな2ストロークエンジンを搭載した過激なマシンだったが、5,6年前からこのクラスも4ストロークへと移行してきている。ニンジャ150RRは2スト時代の最後に登場したモデル。それだけに車体、エンジン共に完成されている。
今回試乗したマシンはオートサロンオギヤマの試乗車。オリジナルのチャンバーとバックステップが装着され、タイヤをグリップの高いTT900に変更。チューブレス仕様になっている。
ライトチューンではあるが、完成された2ストスポーツバイクは、いたずらに部品を変更するよりもこれくらいの変更の方が効果的だ。足りない部分だけを補って本來の性能を確実に引き出せば、カスタムによるネガも出にくい。ニンジャ150RRを理解した上で施された内容である。
2ストはチャンバーでガラリと性格を変えてしまう。このマシンに取り付けられているチャンバーは、ノーマルの低中速トルクを極力犠牲にすることなくパワーバンドに入った時の加速を楽しめる特性だ。
スタートでは回転を上げずに走り出すことはできるが、スムーズに走るのであれば4000rpm付近まで回転を上げた方がいい。4000~7000rpmではストリートを走るのに十分なトルクを発生している。
しかし本領発揮は7000rpmから。パワーバンドに入った瞬間、甲高い排気音と共に一気に加速する。250クラスの4ストスポーツバイクを超えるのではないかと思う速さ。タイトなコーナーの立ち上がりなら、ミドルクラスと対等以上の勝負ができる。
加速はレブリミットである11000rpmを超えても続く。12000rpmくらいからはトルクが落ち込んでくるが、引っ張れば13000rpmくらいまで回ってしまう。パワーバンドを超えてからも極端にトルクの落ち込みがないオーバーレブ特性はありがたい。コーナー直前で一つギアを上げるか迷うようなシチュエーションでも、このマシンならそのまま引っ張って走ることが出来てしまう。クロスしたミッションを駆使すれば、どんな状況でも気持ちの良いパワーバンドを維持して走ることができるだろう。
ただし、高回転を常用するのであれば定期的にクランク周辺の確認はしておきたい。2ストは簡単にシリンダーを外すことができるから、カーボンを除去し、シリンダーやピストンを確認。クランクとベアリングの状態をチェックするのである。こまめなメンテナンスをしておけば、いつまでも好調を維持してくれる。
軽量な車体は、コーナーへの飛び込みもコーナーリングスピードも高い。TT900を装着しているためにグリップも高く、チューブレス化でフロントのジャイロも少なくなっていることもあってニンジャ150RR本來の鋭いハンドリングに更に磨きがかかっている。
ただし、ペースをあげようとした場合は、ビックバイクのようにマシン任せのコーナーリングという感じにはならない。軽量な車体はライダーが意識してタイヤに荷重させてやったりスムーズな体重移動や操作を心がけないといけない。こういう部分がライトウエイト2ストライディングの楽しさでもある。
装着されていたステップはノーマルよりも高い位置にセットされているため、ステップへの荷重操作はやりやすい。ただし、膝の曲がりがきついため体格が大きなライダーだと若干窮屈な感じがする。このあたりはライダーの好みやライディングスタイルによって選択すれば良いだろう。
総じて見ればこのマシンはやはり楽しい。2ストを全開で走らせる楽しさを教えてくれる。
オートサロンオギヤマではチューブレス化とTT900を装着した状態で発売しているが、残りは2台。ライトウエイト2ストロークスポーツバイクを手に入れるのなら今しかない。
全長●1930mm
全幅●720mm
全高●1095mm
ホイールベース●1305mm
最低地上高●145mm
車両重量●134 kg
ボア✕ストローク●59×54.4mm
排気量●149cc
最高出力●29PS/11000rpm
最大トルク●2.04kg-m/9000rpm
燃料タンク容量●10.8L
タイヤF●90/90-17/R●110/80-17