従来はレーダーまたは光電管で走行車の速度を測り、速度超過を確認した警察官が違反車を停止させ、近くに設けられたサイン会場と呼ばれるスペースに誘導した上で切符を切るという方式がとられていたが、以下のメリットにより、もはやスピード取り締まりの主役として、全国で猛威を奮っているというのが現状だ。
☆可搬式移動オービスのメリット
・可搬式という名の通り、軽量かつコンパクトで設置も三脚に備え付けるだけという手軽さにより従来の大がかりな各装置の設置が不要な上に人員も最低2人いれば取り締まりが可能。
・違反車を撮影することでクルマとドライバーを特定することができるので、後日呼び出しによる検挙が可能。その場合、取り締まりスペースも最小限で済む。
・レーザー式の測定方式を採用する機器であれば、レーダー探知機が無効な上に、レーダーによる取り締まりに必要であった「無線取り扱い免許」および「無線局」の申請も不要。(レーダー式は免許が必要だが、警察官のほとんどがすでに免許を取得済みのため、レーダー式でもなんら問題はないという説もあり。)
東京航空計器㈱製のレーザー式移動オービス、LSM-300。上の四角い窓が赤外線ストロボ、真ん中の丸窓がカメラ、最下部の横長の窓からレーザー波が発光される。可搬式移動オービスを導入している都道府県警のほとんどが、このLSM-300を採用している。
速度計測方法は文字通りレーザー式。3Dレーザースキャン方式により、こちらも1度に複数のクルマ(車線)の計測&撮影も可能。電波を発していないので、もちろん、従来のレーダー探知機は無効だ。最近、レーザ波を捉えるレーザー&レーダー探知機が各メーカーから発売されているが、直前で探知した時にはすでに計測済みという可能性も。速いクルマが来た時だけスイッチを入れる、いわゆるステルス式の取り締まりをやっている場合もあるので、過信は禁物だ。
・SPEC DATA
1. 測定方式:レーザースキャン式
2. 速度測定範囲:40km/hから199km/hまで。
3. 測定誤差:誤差は0~-6%-1km/hとマイナス誤差しか出ないということになっている。
4. 測定距離:30~40m
5. 検出対象車両:2輪車以上
6. 撮影方式:電子カメラによる電子撮影
7. 撮影対象車線:画角に入る全車線(測定車両にマーキング)
8. 撮影画素数:400万画素以上(実際の画素数は不明)
LSM-300の半可搬式版。メインユニットはLSM-300と同等だが、500kgという重量の台座に乗せられている防犯重視型。岐阜県警はその特性を利用して、路肩に無人で放置するという暴挙に出たが、まさに動く固定式オービスと言っていい。
速度測定&撮影性能は、当然ながらLSM-300と同じ。導入しているのは埼玉県と岐阜県の2県のみだ。
スウェーデンの計測器メーカー、センシス・ガッツオグループ製の可搬式移動オービス、MSSS。上半分の窓奥にカメラと赤外線ストロボが収まる。レーダー式だが、従来のレーダーとは違い、複数車線を同時に計測&撮影することが可能。従来のレーダーとは違う周波数(Kバンド)のレーダ波による、ドップラー方式によって、速度を計測。周波数が違うので最新のレーダー探知機以外では、事前察知はできない。例え事前察知できたとしても電波を受信したときにはすでに撮影済みという可能性が大きい。
ちなみに、MSSSは、実績のあるレーダー式だけに、高速域においても従来と同等の測位精度を誇ると言われている。また、卓越した撮影機能により、360km/hまでの計測&撮影が可能。高速道路でも問題なく取り締まりができるというわけだ。