また本体価格が安かったとしても程度の良い個体が少ない、あるいは部品代が高いどころか一部の重要保安部品が生産終了していて入手困難なため維持そのものが困難、というケースも多々見られる。
そこで狙い目なのが、流通台数が多く故障や部品の心配も少ない、また燃費を含めた動力性能や安全性能の面でも大きく見劣りしないためコストパフォーマンス抜群な、現在新車販売されている世代よりも一つ前のモデルだ。
今回は、2017年9月に発売された現行モデルが四代目にあたる、スズキのBセグメントホットハッチ「スイフトスポーツ」の三代目をご紹介しよう。
TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●スズキ
この三代目では、ベース車のプラットフォームが再び一新されたことに伴い、ホイールベースが40mm、トレッドが前10mm/後5mm拡大され、操縦安定性の向上が図られるとともに、ボディに高張力鋼板が多用されたことで車重が約10kg軽量化されている。
スイフトスポーツではさらに、フロントサスペンションのストラットを大径化しつつリバウンドスプリングを内蔵し、リヤのトーションビーム式サスペンションも専用設計。ステアリングギヤボックスとサスペンションフレームの取り付け剛性もアップした。なおダンパーは、二代目に引き続きモンロー製だ。
さらにタイヤサイズを、二代目の195/50R16から195/45R17に変更。これに合わせて前後に大径ディスクを採用しつつフロントの厚みを増し、ブースターを変更するなど、ブレーキを全面的に強化している。
エクステリアのベース車に対する変更点は二代目と同様で、グリル開口部が拡大されフォグランプまわりが専用デザインとされたフロントマスクが特に目を引く。またルーフエンドスポイラーやデュアルエキゾーストパイプを踏襲する一方、サイドスポイラーはボディ同色となっている。
むしろ大きく変わったのはインテリアだろう。二代目は黒と赤の2トーンを基本としていたが、三代目は黒とグレーの2トーンに赤のステッチが入る落ち着いた雰囲気に。前席には専用形状のシートが全車標準装備される一方、二代目にオプション設定されていたレカロ製セミバケットシートが廃止された。
こうして走り・内外装とも大幅に洗練された三代目スイフトスポーツは、スイフト自体が四代目となった2016年12月まで販売されたが、その間に内外装やメカニズムなどが大きく変更されることはなく、特別仕様車が設定されることもなく、そのまま販売終了。約9ヵ月のブランクを経て2017年9月に、K14C型1.4Lターボエンジンを搭載する四代目へとバトンタッチした。
■スズキ・スイフトスポーツ(FF)*2011年11月発表モデル
全長×全幅×全高:3890×1695×1510mm
ホイールベース:2430mm
車両重量:1050kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC
総排気量:1586cc
最高出力:100kW(136ps)/6900rpm
最大トルク:160Nm/4400rpm
トランスミッション:6速MT
サスペンション形式 前/後:マクファーソンストラット/トーションビーム
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ 前後:195/45R17
乗車定員:5名
車両価格(当時):168万円