REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 ホンダモーターサイクルジャパン
ホンダ・CT125 ハンターカブ.......440,000円
市場の大きな期待を集め、バックオーダーを抱えて発売に至った人気のCT125 はタイの研究開発拠点HRSTで開発されタイ・ホンダで生産される。
しかし、開発にあたってのメインターゲットは日本市場だと言う。ルーツを振り返るとハンターカブの愛称で親しまれた初代モデルは1961年、北米向けにリリースされたCA100T TRAIL50に始まっている。
簡単に言えば、スーパーカブをベースにトレール・タイプに変身させたモデルである。ダブルスプロケットの採用がとてもユニークかつ斬新だった。後に日本市場へは副変速機付きのCT50が登場。さらに1981年にCT110 が投入されて、トレッキングバイクとして訴求された経緯がある。
半世紀以上もの長い歴史を辿って来た事実には改めて驚かされるが、その中でもCT125 への前評判と注目度はひときわ大きい。今回は過去のCTを踏まえ、現在のCTがどう有るべきかを考えて再構築する所から開発がスタートしたと言う。
開発コンセプトのキーワードは「自然をゆったり楽しむトレッキングCub 」。ホンダのホームページ上に、より素敵なコピーを見つけたので引用しておくと、「自然を感じて、どこまでも。」である。
①、レジャー系モデルとして多くのユーザーに楽しんでもらうことが主眼だが、バイクとして乗って楽しむ事にも注力。
②、日本でも再びアウトドアブーム。ソロキャンプやショートツーリングを楽しむ。自然の中をゆったり走るトレッキングバイクこそ時代に合った価値観を提供できる。
③、CTらしいスタイリングは既に1960年代までで完成されていた。大型キャリア、トルクフルな走り、様々なコンディションでも走りやすい装備、長距離に適したアップライトポジションやタンク容量。これらの要素を現代にマッチングさせるべく新開発。
以上の3点を踏まえて完成させたのが今回のCT125だ 。日本市場ではこれまで、お世辞にもヒット商品にはならなかったが、個性的かつ実用的なモデルとして根強い人気に支えられてきたハンターカブの復活である。
アウトドア系のレジャー人気が再燃する中に相応しいタイムリーなニューモデルと言えよう。
開発陣の想いは「その道のちょっと先へ、自然とやさしく触れ合いたい。乗る事で興味と好奇心が沸いてくる様なバイク」を目指したと言う。
そしてCT125 はスーパーカブシリーズの頂点に立つプレミアムモデルとしての位置づけも見逃せない。
タイでは間違いなく高級車。それに相応しい要素を込めた仕上がりはフラッグシップモデルとして性能面も含めてクロスカブ110 とは差別化されたコダワリを込めて作られているのである。
ロングランをこなせる快適性も魅力的
足つき性チェック(身長168cm)
ディテール解説
◼️主要諸元◼️
車名・型式: ホンダ・2BJ-JA55
全長(mm):1,960
全幅(mm):805
全高(mm):1,085
軸距(mm):1,255
最低地上高(mm):165
シート高(mm):800
車両重量(kg):120
乗車定員(人):2
燃料消費率(km/L):
61.0(60km/h)<2名乗車時>
67.2(WMTCモード値)<1名乗車時>
最小回転半径(m):1.9
エンジン型式:JA55E
エンジン種類:空冷 4ストローク OHC 単気筒
総排気量(cm3):124
内径・行程(mm):52.4×57.9
圧縮比:9.3
最高出力:6.5kW [8.8PS] /7,000 rpm
最大トルク:11N・m [1.1kgf・m] /4,500 rpm
始動方式:セルフ式(キック式併設)
燃料供給装置形式:電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)>
点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式:圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L):5.3
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング式
変速機形式: 常時噛合式4段リターン(停車時のみロータリー式)
変速比:
1速:2.500
2速:1.550
3速:1.150
4速:0.923
減速比(1次/2次):3.350/2.785
キャスター角:27°00′
トレール(mm):80
タイヤサイズ(前/後):80/90-17M/C 44P / 80/90-17M/C 44P
ブレーキ形式(前/後):油圧式ディスク/油圧式ディスク
懸架方式(前/後):テレスコピック式/スイングアーム式
フロントフォーク・ストローク:110mm
フレーム形式 :バックボーン
製造国:タイ
ライダープロフィール