W175 TR SEは、2017年からインドネシアで販売されているW175のスクランブラータイプ。日本国内で販売されていた250TRと良く似たスタイル、テイストのマシンである。




PHOTO●渡辺昌彦(WATANABE Masahiko)


問い合わせ●バイク館SOX(https://bs-sox.com)

カワサキW175TR SE……30万9000円/29万9000円(白)

 W175TR SEは、同時に試乗したW175カフェと外観、マフラー、タイヤなどが異なる兄弟モデル。従って乗り味も似たようなものだろうと思っていたのだが、これが予想以上に違っていた。

まったりした特性のエンジンは、ノンビリと走っていても楽しい

 エンジンーの性格は基本的に低中速型。ストリートを走るのに十分なトルクはあるが、特に力強いというわけではない。全体的にまったりとした性格で、高回転まで引っ張っても特にパワーが出てくるわけではない。


 その代わり扱いやすさやスムーズさは素晴らしい。国内モデル250TRのエンジンをそのままスケールダウンしたような感じだといえばわかりやすいかもしれない。


 

 エンジンの特性に関してはW175カフェと同じ。マフラーの違いで排気音が若干歯切れのよい感じがする程度だ。

ディメンションの違いで性格の異なるハンドリング

 違っていたのはハンドリングである。W175カフェがステアリングの動きもニュートラルでバイクを寝かすと自然に旋回していくのに対し、W175 TR SEはステアリングの舵角が多めにつき、フロントから回り込んでいくようなイメージ。




 ハンドリングに影響する部分の違いはスクランブラー風のタイヤとアップハンになって起き上がったポジションになっていることくらいのはず。


「それにしてはずいぶんハンドリングが違うなあ」と思って2台を比較してみるとリアサスの長さが違っていた。W175TRのリアショックが目測で20mmほど長い。つまり車体が前下りの姿勢になり、キャスター角の立ったセッティングになっているのである。


 リアが持ち上がっている為にバンク角も深くなっている。2台一緒に走っている時にカフェだけバンクセンサーが接地することが多い理由もここにあった。



 アップハンドルで上体の起きたポジションと、このハンドリングのマッチングは悪くない。タイトなコーナーは少し攻めてみようかなという気持ちにもなる。おそらく、このハンドリングがW175本来の味付けなのだろう。カフェは前傾ポジションになったため、リアを少し下げてバランスを取ろうとしているのかもしれない。




 試乗では少しオフロードも走ってみた。軽い車体とスクランブラー風のタイヤ、アップハンドルのおかげで、林道のような場所やフラットダートであればそれなりに楽しむことが出来る。ただし、路面状況が悪くなってくると、さすがにオフロードバイクのような感じにはいかない。オンロードバイクにオフロードタイヤとアップハンドルを装着したスクランブラーであれば、これは仕方ないこと。ツーリング先でオフがあっても、あまり苦にならないというレベルで考えておけば間違いないだろう。




 W175TR SEと W175 Cafeの2台を比較してみればハンドリングに違いはあるものの、基本的な性格は同じ。ストリートで扱いやすく、まったりとした性格のマシンだ。飛ばしたい人には物足りないだろうが、速さを求めていない人にとっては十分な動力性能を持っている。急かされたりせず、気楽にバイクに乗りたいという人にはうってつけのマシンである。

アップハンドルの為上体は起きてリラックスしたポジション。ストリートではマシンコントロールもしやすい。

リアショックの違いで足つき性はW175Cafeよりも若干悪い。しかし元々車体が小さい為、気になるレベルではない

ディテール解説

フロントブレーキは220mmディスクに片押し2ポットキャリパー。初期のタッチはソフト。握り込んでいくと効力が立上っていく

キャブレターはピストンバルブタイプ。負圧タイプのキャブレターではないが扱いやすい

シングルの心地よい排気音を奏でるマフラー。音量は控えめだ

リアブレーキは片ハブのドラム。スピード調整などでもコントロールしやすい

リアショックはW175Cafeと比較して全長が長くなっている

ブラックレザーを使用しタックロール仕上げになったシート。

タンク容量は7.5Lを確保

ハンドルはブリッジの入ったオフロード用。幅も広くマシンコントロールしやすい形状

アナログのスピードメーターのみというシンプルな構成。

全長1950 


全幅805 


全高 1085mm 


軸距 1285mm 


最低地上高 195mm


車重 121kg


エンジン型式 空冷4ストローク単気筒 SOHC2バルブ 


排気量  177cc 


最大出力  13ps/7500rpm 


最大トルク  1.4kg-m/6000rpm 


変速機  5段  


燃料タンク容量 7.5L


ブレーキ  F 220mmディスク+2ポットキャリパー 


R 110mmドラム 


タイヤサイズ F 80/100-17 


R100/90-17 
情報提供元: MotorFan
記事名:「 W175をベースにしたスクランブラー|カワサキW175TR SE