ロシアだ。
ロシアの2020年の第1四半期(1-3月)の自動車販売台数は前年比1.8%増の39万8518台で、1位のラーダと2位のキアこそ前年比でマイナスだったものの、3位のヒュンダイ、4位のルノー、5位のトヨタ、6位のフォルクスワーゲン、そして7位のシュコダまでが軒並み前年比プラスなのである。
順位/ブランド /2019年1-3月/2020年1−3月/伸び率
1/ラーダ /8万2363台/7万9600台 /−3.4%
2/キア /5万2982台/5万1870台 /−2.1%
3/ヒュンダイ/4万1425台/4万1576台 /0.4%
4/ルノー /2万9349台/3万2056台 /9.2%
5/トヨタ /2万1608台/2万7231台 /26.0%
6/VW /2万2075台/2万3794台 /7.8%
7/シュコダ /1万8433台/2万1001台 /13.9%
とくに目を惹くのがトヨタだ。なんと前年比で26%もの伸長を遂げているのである。チェコの雄、シュコダの13.9%も目覚ましい。
もちろん欧州各国が90%以上ものマイナスに落ち込んでいるなか、マイナス2〜3%台にとどまっているラーダやキアにも驚かされる。
では、なぜにロシアではこれほどまでに自動車販売が好調なのか?
これまでロシアでは幾度となくルーブルの暴落を経験している。1998年のロシア金融危機はその最たるものだが、2020年3月にもコロナ禍に伴う原油価格の下落を受けてルーブルの為替レートが大幅に下落している。
ロシアの国民はこうした事態に慣れており、ルーブルをモノに変えるという習慣が身についているのだという。換金性が高く価値が下落しにくい耐久消費財と言えば、その最右翼に挙がるのは自動車だろう。
自国の通貨の価値が危ういからこそクルマを買う──日本に住んでいるとなかなか浮かばない発想だが、資産を守る手段のひとつとして知っておいても損はないかもしれない。
ただ、クルマはそうそう頻繁に買えるものではない。現在の好調なセールスが需要の先食いに過ぎないことは明らかで、長続きする可能性は低い。加えて、この5月に入ってからロシアではコロナウイルス感染者が急激な勢いで増加している。
コロナウイルスの一日も早い収束が望まれるのは、ロシアとて同じことである。