第三 悪質・危険運転者対策の推進に関する規定の整備
一 妨害運転に対する罰則の創設(第百十七条の二及び第百十七条の二の二関係)
(一)他の車両等の通行を妨害する目的で、一定の違反行為であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者に対する罰則を創設する。
(二)(一)の罪を犯し、よって高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者に対する罰則を創設する。
二 運転免許を受けることができない期間等に関する規定の整備(第九十条、第百三条及び第百七条の五関係)
公安委員会は、運転免許を受けた者が一の(二)の行為をしたときは、その者の運転免許を取り消す
ことができることとするとともに、三年以上十年を超えない範囲内で当該処分を受けた者が運転免許を受けることができない期間を指定すること等ができることとする。
三 運転免許の効力の仮停止に関する規定の整備(第百三条の二関係)
一の(二)の行為をし、よって交通事故を起こして人を死亡させ、又は傷つけた場合について免許の効力の仮停止の対象とすることとする。
この3月、警察庁が今国会に「あおり運転」の法制化を含む「道路交通法改正法案」を提出したのは既報通り。事実、警察庁のホームページにも掲載されている。当初は、「コロナ騒動」のドサクサにまぎれ、すんなり通過するのでは? という見方もあったが、やはりそれどころではないのか、さっぱり話題にものぼらない始末だ。
ちなみに、公開されたその「法案」(上記)を検証してみると、1番気になっていた「罰則はどうなるのか?」、特に各メディアのほとんどが、「とにかく、あおり運転で検挙されると即、免許取り消し」というニュアンスで伝えていた報道が間違いであったことが判明。免許が取り消されるのは「あおり運転をした結果、交通に著しい危険を生じさせた場合のみ」だったのだ。
前回の記事では、「うっかり前車との距離を詰めてしまい、あおり運転で検挙されたとしても免許取り消しになるの? それがあおり運転であるということを誰が判断するの?」という疑問を投げかけたが、これですっきり。もちろん、それでも「冤罪」を生む可能性がないわけではないだけに、とにかく、双方が納得するような運用を心がけてほしいものだ。
この改正法、当初は「早ければこの夏(8月?)施行」ということだったが、一体、どうなることやら。参考までに、昨年12月に施行された「ながら運転」の罰則強化は、4~5月に国会を通過し、6月に発布されている。