後日、意見の整理を試みた。やりたいのは「四つのタイヤを余さず駆動させるテクノロジーの紹介」、トリガーはGRヤリス。これまでも多々駆動系の特集は組んできたが、「駆動系」という単語に表されるようにドライブトレイン全体の紹介であり、装置の解説に主眼を置いた企画だったように思えた。だったら「余さず」のところをきちんと理解できるページを作ろうと考えた。
構成は三部。
1)左右で余さず駆動〜前後でも同様
2)AWDシステムの最新事例
3)トルクベクタリングとはなにか
1)はデファレンシャルギヤの解説、そしてLSDの存在理由である。歯車の集合体であるデフは一瞥しただけでは何がどうやって動いているのかが非常にわかりにくい。LSDの働きと対比して図解することで、左右に余さずトルクを伝えるとはどのような仕組みなのかをわかりやすく説明した。加えてゴルフGTI TCRを試乗、「なぜFFにLSDを入れるのか」というテーマでページを仕立てている。
その流れで「センターデフというものも左右デフとやっていることは同じ」というストーリーとし、ならばカップリングとはどのように違うのかという対比を試みた。
2)では、ここ最近のクルマでユニークなAWDシステムを採用するものを取材した。GRヤリスの新規取材は車両発売前ということで叶わなかったが、東京オートサロンでうかがった内容と今回新たに仕入れた知見とを組み合わせ、詳細な解説としている。
・ジェイテクトITCC
・GRヤリスのGT-FOUR
・マツダi-ACTIV AWD
・日産アテーサE-TS
・スバルAWDの4種
3)は今回の企画趣旨とは少々外れるものの、AWDシステムとセットで語られることの多いトルクベクタリングを再検証した。最近安易に使われる嫌いのあるこの単語について、果たして本来はどのような意味だったのかを含めて識者に取材した。
・ホンダSH-AWDの生みの親に訊く
・三菱自動車の考えるヨー付与
・久保愛三先生の考えるEV時代の走行性安定性向上策
このほか第二特集として2ストロークサイクルの可能性を掲載。ぜひお手にとってご覧ください。