ちなみに、その検挙件数だが、昨年、2019年の全国のスピード違反による検挙者総数、約113万7,000件に対して占める割合は、0.011%。約1万件に1件にしか過ぎない。かなり乱暴だが、仮に、この実績を全国平均だとすれば、昨年1年間で移動オービスにより検挙した件数は6,251件と、1万件に遠く及ばないということになる。これは、3%と言われる固定式オービスより遥かに取り締まり効率が悪いということだ。え~、一体、どうなってるのやら。
まっ、各都道府県警の移動オービスの所有台数(愛知県警:5台 神奈川県警:3台etc.)や交通量、交通事情の違いを考えれば、検挙件数はもっと多いはずだが、それにしても、もしかして、世間で言われているほど、「今のところは、移動オービスってあんまり怖くない」、のかもしれません。
今や、当たり前となった高速道路を始めとする自動車専用道路での、移動オービスによる取り締まりだが、全国初ともいえる本格的(制限速度100km/h)な高速道路(東名高速/名神高速)での運用を開始している愛知県警が、なんと、今度は「夜もやります!」とSNSで高らかに宣言しているのだ。
実施場所は名神高速道路。その理由が、「夜間帯は交通量の減少に伴い速度超過の車両が多くなる傾向になり、重大事故等の多発が懸念される」かららしいが、愛知県警は一体、高速道路での取り締まりのリスクを、どう考えているのだろう。昼間でも急ブレーキによるパニックが心配なのに、見通しの効かない夜間に、突然目の前に得体のしれない機器が現れたら、特に腕の未熟なドライバーや高齢者にとって、それは脅威でしかない。固定式オービスのように、事前に2枚以上の事前警告板が設置されているならまだしも、例え路肩に予告板を置いたとしても、特に夜間は見逃す可能性が高いのだ。
最近、某SNSで、「警察は新しいオモチャ(#移動式オービス)をもらって楽しそうだなぁ」とか「本当に危険な生活道路とかでの無謀運転の取締りを目的に導入したんじゃなかったのか? いつのまに「安全に速度を出せる道路」(制限速度と実情とが乖離してる道路)をターゲットし始めたんだい。完全に反則金目的になってるじゃん」という類の書き込みが増えているが、まさにその通り。未だにドライバーへの詳細な説明なしにやたらと乱用されている移動オービス。特に愛知県警さん、ちょっと調子に乗りすぎてはいませんか?
昨年12月、突然、レーザー式移動オービスの運用を開始した、大阪府警。ここ3か月、その府警のホームページを開くと、上の写真のような画面が出現する(スライダー)。今のところ、各都道府県警の公式ホームページのトップで、移動オービスが大々的にアピールされているのは、大阪府だけだ。
通常、各都道府県が移動オービスを導入、あるいは運用を開始すると、その情報が各報道機関を通じて開示されるが、なぜかそのあとはホームページのどこを見ても、影も形も見当たらないケースが多い。交通取締まりコーナーに掲載される「可搬式速度違反自動取締装置を使用して取り締まりを行います」という文面が関の山だ。中には公式Twitterなどで盛んにアピールしているところもあるが、初掲載依頼、3か月そのまんまというのは、まさに大阪府警のやる気の表れといっていい。
さらに、大阪府警は、YouTubeにレーザー式移動オービスを擬人化した「オービス・麻記警部補」なる動画をアップ。さすがは阪神高速に30数機の固定式オービスを設置し、さらに、全国初、そして唯一のレーザー式固定オービスを擁するだけに、スピード取り締まりにかける情熱は、ひとかたならぬものがある。5年後に控えている「大阪万博」の影響もあるのだろうが。
オービス麻記警部補を見たい人は、こちら!
https://www.youtube.com/watch?v=-yzqB-p0bxM