REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
PHOTO●遠藤正賢/MFi/スズキ/ヘンケルジャパン
スズキの開発陣によれば、これは「アウトドアアイテムがこの6年間でファッションアイテムとして日常生活に溶け込んだというトレンドを反映したもの」。初代と並べて比較するとよく分かるが、ボディ形状もウィンドウグラフィックも、フェンダーアーチをはじめとした各部品のディテール処理も、何もかもが四角く、タフなものになった。そして、「新設されたリヤクォーターウィンドウを強調しつつ、ハードトップ車のテイストを盛り込んだ」という2トーンカラーではより顕著に、ジープ・ラングラーを思わせるサイドビューになった。
そんなエクステリアとは対照的に、インテリアは既存のあらゆるクルマにも似ていない、文字通りオンリーワンの世界に生まれ変わった。中でもメーター、オーディオ、アッパーボックスを囲んだ3連インパネカラーガーニッシュのインパクトは絶大で、東京モーターショーでも「なんだこれ!?」と驚く一般来場者が一人や二人どころの騒ぎではなかったのを、今でもよく覚えている。
またこのおかげで、走行中に周辺のスイッチ類やエアコン吹出口を確認・操作しようとする際、どこに何があるのかが非常に把握しやすくなっている。デザインのためのデザインに堕することなく、機能を体現したデザインになっている辺り、スズキのインテリアデザイナーの高い力量を感じずにはいられない。…カラーパネル以外の質感が相変わらず低いのは玉に瑕だが。
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また、ホイールベースを35mm延長し、全高を15mm拡大したのに加え、各部のピラーが前後方向にも左右方向にも立てられ、より四角いボディ形状となったおかげで、初代も充分に広かった視界と室内空間はより一層広大になった。同時に前席のヒップポイントを下げて上方視界を0.5°拡大し、乗降性と信号の視認性を改善。後席のヒップポイントを逆に5mm上げて見晴らしを良くしつつホールド性を高めているのも「技あり」だ。
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荷室は初代に続き防汚タイプで、後席を倒せばほぼフラットになるという美点も継承されている。新型ではさらに、後席の前後スライドを荷室側からもできるようになり、取り外せて丸洗いできるラゲッジアンダーボックスが全車標準装備されたため、使い勝手はさらにアップしている。
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そして、デザイン以上に大きく変わったのが、メカニズムだ。
初代ハスラーはスズキのFF車系軽自動車で最後の旧世代プラットフォーム採用車だったが、これが新世代の「ハーテクト」に一新された。と同時に、スズキ初となる構造用接着剤をBピラー付け根やリヤホイールハウス周りに用いながら、A&Bピラー、バックドア開口部の結合を滑らかにして環状骨格構造を形成。ねじり剛性を約30%、曲げ剛性を約20%高めつつボディ全体の連続性も強化した。
これらの効果は、良くも悪くも、走り始めてすぐに体感できる。細かな凹凸を乗り上げた際に姿勢変化を減衰するのが素早く、操舵に対する応答性とリニアリティは初代と比較にならないほど改善された。また粗粒路ではルーフからのこもり音が少なく、前後席間で会話しやすくなっているのを体感できた。
【Specifications】
<スズキ・ハスラー ハイブリッドX(FF・CVT)>
全長×全幅×全高:3395×1475×1680mm ホイールベース:2460mm 車両重量:820kg エンジン形式:直列3気筒DOHC 排気量:657cc ボア×ストローク:61.5×73.8mm 圧縮比:12.0 エンジン最高出力:36kW(49ps)/6500rpm エンジン最大トルク:58Nm(5.9kgm)/5000rpm モーター最高出力:1.9kW(2.6ps)/1500rpm モーター最大トルク:40Nm(4.1kgm)/100rpm WLTC総合モード燃費:25.0km/L 車両価格:151万8000円
<スズキ・ハスラー ハイブリッドXターボ(4WD・CVT)>
全長×全幅×全高:3395×1475×1680mm ホイールベース:2460mm 車両重量:830kg エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ 排気量:658cc ボア×ストローク:64.0×68.2mm 圧縮比:9.1 エンジン最高出力:47kW(64ps)/6000rpm エンジン最大トルク:98Nm(10.0kgm)/3000rpm モーター最高出力:2.3kW(3.1ps)/1000rpm モーター最大トルク:50Nm(5.1kgm)/100rpm WLTC総合モード燃費:22.6km/L 車両価格:174万6800円