五島:ボールダーというのは「大胆に」という意味で、ポイントはこのクルマでは3つあります。かなり大胆に大きくしたヘキサゴングリル、しっかり六角形を見せてヘッドランプを小さくし、ワイド&ローにした。それからフェンダー。フロントもリヤもブリスター風に、内圧で出てきたような形状。それから、見ていただくとわかるように止まっていながらいまにも動き出しそうな前傾のフォルム。それが今回のレヴォーグプロトタイプです。
今回のレヴォーグプロトタイプは東京モーターショーで展示された車両とは異なり、「STIスポーツ」としてカラードグリルやホイール、マフラーカッターなどのアクセラリーパーツの数々が装着された。
辰巳:去年、初めて乗せてもらったときに、五島さんが『超革新』という言い方をする。それがオーバーではないことが乗ったときに感じられました。スバルはこれまで『走ればわかるんだよ』って言ってきたんですけれど、それだけではダメですよね。今回のクルマは特に、ドアを開けて乗り込んで、ドアを閉めた瞬間にクルマとの一体感みたいなものが感じられるんです。
あとでよくよく考えてみると、五島さんって内装設計をやられていて、シートや内装の専門家なんですね。シートへのこだわりがすごいんだろうと。シートが私を迎え入れてくれたんです。借り物じゃない気がするんです。『俺のクルマ』っていうね。走る前から期待を持たせてくれたんですけれど、走ってみたらさらにそれをまったく裏切らない。現行レヴォーグも本当にいいクルマですけれど、新型はまさに『超革新』という言葉がふさわしい走りをしていたのでうれしくなりましたね。
そしてすでに発表されたように、次期レヴォーグには1.8ℓの直噴ターボ ボクサーエンジンが搭載される予定。そのフィーリングとはどのようなものなのか。
辰巳:乗ってみると、まったく2リッターはあるだろうという印象で、訊くと1.8リッター。低速から滑らかに走って、だけどスポーツモードにすると、通常スポーツモードっていうと過激すぎてギャップがありすぎるところ、そういう印象はない。違うクルマに乗り換えたように、サスペンションの乗り味からステアリングの舵力からエンジンフィールまで、ほんとうに滑らかに移行していく。そういうところがいいなと感じましたね。
五島:これまでもSIドライブというパワーユニットの切り替え機能がありましたが、ドライブモードセレクトは、スイッチひとつでパワートレインに加えてステアリングとダンパーまで含めて切り替えるシステムです。スバルとしては初めての搭載で、まだ詳しくはお話できないんですけどAWDの制御もスポーツ寄りのものを考えていたりします。一台のクルマで複数の価値が生み出せればかなりの価値になるということで、初めから、コンフォートからスポーツまで振り幅を大きく取るというのは考えておりました。
辰巳:『この切り替えだったら要らないんじゃない?』っていうクルマは現存するんですね。私もチューニングしているんですが、結構うまくいかない。スイッチひとつで変えていくというのは難しいなと思いつつ、今回いい変化を起こせたのはSGPの進化版に載せられたことが大きいと思います。サスペンションやステアリングと相乗効果を発揮できた。ベースが良くないと決して良くならないですからね。意図したとおりに機能する、そういうクルマになっている気がします。
五島:SGPの上に『フルインナーフレーム』を組み合わせた時点で、完全に骨格ができちゃうんですね。非常に効率よく剛性を高められて、外板は貼るだけというふうにできますので、非常にしっかりしたボディができあがります。スバルは『だれもが自分の意思でどこまでも運転を楽しめる未来』というキャッチコピーを東京モーターショーで掲げました。STIとコラボレーションして走りの未来、未来の走りというのを、時代がどう変わろうとも突き詰めていきたい。それからそこに、若い血を、若い連中の力を入れて持続的にブランドが伸びていけるようにしたいですね。
トークショーの最後に、次期レヴォーグを待ちわびるファンへのメッセージがお二方から発せられた。
五島:今日ここでレヴォーグ プロトタイプSTIスポーツを発表できてほんとうに幸せです。ありがとうございます。我々スバルとSTI、一丸となって発表までクルマを仕上げていきます。もう少しお待ちください。本日はどうもありがとうございました。
辰巳:いま五島さんの言われたとおり、われわれスバルグループ一丸となって、皆さんに満足いただけるクルマを、残り数カ月なのか数年なのかわからないですけど(笑)とにかく熟成させた状態で皆さんに、いま私の言ったことがオーバーじゃないようなクルマになっていると思いますので大いにご期待ください。ありがとうございました。
「超革新」としてどのように我々を驚かせ、楽しませてくれるのか。市販がとても楽しみである。