当初、警察は「ゾーン30等、生活道路を中心とした取り締まりに使用します」と言っていたのだが、思うように効果が上がらなかったのか、最近は幹線道路だろうが高速道路だろうが、なりふり構わず移動オービスを過剰活用しているというのが現状だ。このコーナーでもすでに何度もお伝えしているが、とにかく、スピード取り締まりというものは、対象道路を走るクルマの平均走行スピードが上がれば上がるほど、取り締まる警察官とドライバー双方の受傷リスクが高まるというもの。確かに、以前のネズミ捕りのように、道路に飛び出して違反車を止めるという危険極まりない行為の必要がなくなったとはいうものの、ドライバー側は相変わらず急ブレーキを強いられるリスクからは逃れられない。特に運転の未熟なドライバーが、100km/hを超えるスピードで舵角を与えながら急ブレーキを踏んだらどうなるか、それどころか、アクセルとブレーキを踏み間違う人だって大勢いるというのに、警察のみなさんは何を考えているのだろうか?(まっ、どうせ「取り締まり方法は適切だった」ことになるのだろうが…)さらに、警察から言われるままに聞いたことをただ右から左へ脳天気に伝えるだけのマスコミや各メディアの皆さんは、なぜそんな肝心なことに関して突っ込まないのだろうか?
とにかく、制限速度の低い地方の高速道路(〇〇自動車道)ならまだしも、基本的に100km/h制限(一部120km/h)の東名高速や名神高速にまでその乱用範囲が広がったとなると、今後、各地の高速道路で当たり前のように移動オービスが出没することになっても不思議はない。それゆえ、いずれ、なんらかの受傷事故が起こる可能性を、懸念せざるを得ないのだ。
確かに、高速道路での事故は、一般道に比べればその死亡率ははるかに高いため、純粋に「交通事故死を無くす」ことを目標に取り締まりに力を入れているならまだ納得できるが、その前に、警察には反則金や検挙率ノルマに左右されずに、交通取り締まり本来の目的である「危険な事故や違反を未然に防ぐ」努力をしてもらいたい。どう見ても、やるべきことをちゃんとやっているとは思えませんよ!