2014年にデビューし、あれよあれよという間にスズキを代表する人気車種に成長したスズキ・ハスラーがフルモデルチェンジを受けた。ワゴンとSUVを融合させた独自のキャラクターはそのままに、スペース性やユーティリティを大幅に向上させ、新開発のエンジンやトランスミッションも採用。さらには先進の予防安全技術と運転支援技術をフル装備したうえで、価格は先代同等グレード比でわずか1万7000円高に抑えた。全方位的に大幅な進化を遂げながら、実質的な値下げとも言えるプライスタグをつけてきたことで、先代に続くベストセラーとなることは確定したも同然だろう。

12月24日に都内で行われた発表会に登壇したスズキの鈴木俊宏社長。

全方位的進化を遂げたスズキ入魂の一台

 2014年1月に発表され、当初の予定を大幅に上回る累計販売台数48万台を記録したハスラーが初めてとなるフルモデルチェンジを受けた。




 新型ハスラーの特徴は、次の五本柱に集約できる。




1.個性的なデザインとタフで力強いスタイル


2.広くて使いやすい室内と進化したパッケージング


3.さらに充実のスズキセーフティサポート


4.徹底的に鍛え上げた走行性能と快適性能


5.見やすく、操作しやすい大画面ナビゲーション

 新型ハスラーは、「もっと遊べる! もっとワクワク! もっとアクティブな軽クロスオーバー」をコンセプトに、トレンドやライフスタイルの変化に対応しながら、新しい楽しさ、ワクワクを提案し、お客様の想像力や行動力をさらにかき立てる新たなハスラーを目指して開発したという。




 ひと目でハスラーと分かる個性的なデザインはそのままに、ボディの絞り込みを抑えて角張ったシルエットとすることで居住性とユーティリティ性が大幅に向上。それでいて、むしろ見た目のアウトドアテイストが強められているのも興味深い。




 荷室側からも操作可能なリヤシートスライドや、荷室下に防汚タイプラゲッジアンダーボックスを採用するなど、使い勝手も大きく進化されている。




 安全面では、夜間の歩行者も検知する衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」に加え、後退時の衝突被害軽減ブレーキ「後退時ブレーキサポート」を標準装備し、前後の安全性能を高めた。さらに、ターボ車には、全車速での追従機能を備えたアダプティブクルーズコントロール(スズキ軽初)や車線逸脱抑制機能(スズキ軽初)を装備するなど、安全運転を支援する機能を充実させた。これは経済産業省や国土交通省などが普及を推進する「サポカーS ワイド」、国土交通省による「衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)認定車に該当する。




 プラットフォームは 軽量と高剛性を両立させた新世代の「HEARTECT(ハーテクト)」で、環状骨格構造などを採用し、ボディ全体で剛性を高めて優れた操縦安定性と乗り心地を実現したという。




 パワートレインには、新開発R06D型エンジン(NA車)と新開発CVTを組み合わせ、低速域から中高速域までの実用的な速度域で優れた燃費性能と軽快な走りを実現した新しいパワートレインの採用に加え、マイルドハイブリッドを全車に搭載した。

先代の丸みが抑えられ、直立して角張ったフロントマスク。それでも先代のイメージが損なわれておらず、タフなツール感が高められている。

ルーフからCピラーにかけて別カラーにペイントされ、まるでオープンカーのハードトップのようなアピアランスを生み出している。オフロードテイストを高める粋な演出だ。

テールランプはハスラーの頭文字である「H」の形に光る。
ヘッドランプにはLEDを効果的に使用し、個性的な表情を与えている。


 インパネは「タフさ」「機能的」「遊び心」をテーマに仕立てられ、とりわけ3連インパネカラーガーニッシュが目を惹く。さらには上下のバーでガーニッシュを挟み、力強い骨格を表現している。




 3連インパネカラーガーニッシュの右はメーター類で、4.2インチカラー液晶メーターを採用。視認性はもちろん、アニメーションにもこだわったという。中央にはナビゲーション用モニターが組み込まれ、左は収納スペースとなっている。




 インパネとドアトリムには、車体色に対応した3色(バーミリオンオレンジ、デニムブルー、グレーイッシュホワイト)のカラーパネルを用意。シートは縞鋼板柄のシート表皮に、車体色に対応した3色(バーミリオンオレンジ、デニムブルー、グレーイッシュホワイト)のカラーアクセントを採用している。



3連ガーニッシュの一番左は収納スペース。HYBRID XとHYBRID Xターボはフタ付きとなる。
HYBRID GとHYBRID Gターボはフタのないオープンタイプの収納スペースになっている。


新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用し、ホイールベースを先代比で35mm延長することで後席乗員の足元空間を拡げている。前席は左右乗員間の距離が30mm拡大されている。

ラゲッジスペースのフロアとリヤシートの背面にHが防汚タイプの樹脂が使われている。
リヤシートは5:5の分割可倒式で、ラゲッジスペース側から倒せる。


リヤシートは前後にスライド可能。これもラゲッジスペース側から操作できる。
スライドは左右別々に行う。左側のリヤシートを一番前、右側を最も後ろにした状態。


 エンジンはターボと自然吸気の二本立て。ターボ車は定評のあるR06A型エンジンを採用。一方の自然吸気は新開発のR06D型エンジンとなる。


 


 この自然吸気ユニットはスズキ軽初のデュアルインジェクションシステムを採用する。1気筒あたりふたつのインジェクターで燃料を微粒子化することで燃料と空気の混合気を均質化し、燃焼効率を高め、燃費も走りも向上させた。




 さらにスズキ軽初のクールドEGRを採用し、燃焼温度を抑制することでノッキングの発生を抑え最適なタイミングでの燃焼を実現したという。




 ターボ、自然吸気ともにISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を組み合わせ、モーターによるアシストを行うマイルドハイブリッドとなっている。

ターボは定評のあるR06A型で、最高出力64psと最大トルク98Nmを発生。モーターは3.1psと50Nm。
NAは新開発のR06D型で、最高出力49psと最大トルク50Nmを発生。モーターは2.6psと40Nm。


 そして新型ハスラーのさらなるハイライトと言えるのが充実の予防安全技術と運転支援技術だ。




 まず、夜間の歩行者も検知するステレオカメラ方式の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」をはじめ、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能と、ヘッドランプのハイビーム /ロービームを自動で切り替えるハイビームアシスト、そして一時停止標識の認識を追加した標識認識機能も採用。




 リヤバンパーに内蔵した4つの超音波センサーで後方の障害物を検知する「後退時ブレーキサポート」や、後方誤発進抑制機能、リヤパーキングセンサーも盛り込まれている。

 さらにターボ車には、全車速での追従機能を備えたアダプティブクルーズコントロール、車線逸脱抑制機能をスズキの軽自動車として初採用した。




 また、フロント、リヤ、サイド(左右)の計4か所に設置したカメラの映像を合成・処理し、自車周辺を俯瞰的に見ているような映像をモニターに映し出す全方位モニターに、周囲を立体的に360°確認できる「3Dビュー」、自車の前方および後方で左右から人や物が自車に近づいてくることをお知らせする「左右確認サポート機能」、シフトレバーをバックからドライブに切り替えた際、カメラ映像がフロントビューに自動で切り替わる「フロントビュー自動表示機能(切り返し時)」を採用するなど、運転サポート機能を大幅に充実させている。

 オフロード性能も高められている。




 まず、180mmの最低地上高、29度のアプローチアングル、50度のデパーチャーアングルという、オフローダーとしての基本性能を備える。




 その上で、雪道やアイスバーンでのスムーズな発進をサポートする「スノーモード」を新たに採用し、ぬかるみや滑りやすい路面で発進をサポートする「グリップコントロール」、急な下り坂で車速を約7km/hで維持する「ヒルディセントコントロール」とあわせて4WD車に標準装備とすることで、大多数のドライバーが求めるオフロード性能を確保している。




「実はジムニーほどの極限性能は必要ない」というアウトドア派にとって、新型ハスラーはかなり魅力的な選択肢となるだろう。

 新型ハスラーの車両価格は下記の通り。




HYBRID G 2WD 136万5100円


HYBRID G 4WD 149万9300円


HYBRID X 2WD 151万8000円


HYBRID X 4WD 165万2200円




HYBRID G ターボ 2WD 145万9700円


HYBRID G ターボ 4WD 159万3900円


HYBRID X ターボ 2WD 161万2600円


HYBRID X ターボ 4WD 174万6800円




 先進の予防安全技術と運転支援技術が満載であることを考えれば、安すぎるくらいの価格設定だ。ワゴンRにも迫らんとするスペース性と、ジムニーにも負けず劣らずのオフロードテイストを得た新型ハスラーは、まさにスズキ入魂の一台だ。大ヒットは間違いないだろう。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 新型スズキ・ハスラー登場! 先進安全技術がテンコ盛りなのに136万円5100円から! ジムニーやワゴンRのオーナーも誘惑?