REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
PHOTO●4ミニ.net https://4-mini.net
撮影協力●ホンダコレクションホール
中国では、2001年(平成13年)に設立された合弁会社『新大洲本田』が、2002年(平成14年)から、タイで生産の「WAVE(ウェーブ)」の技術供与を受け、Hondaブランドの第2弾「WAVE(ウェーブ)/中国名:威武Ⅱ型」の生産を、天津(てんしん)工場で開始。
「WAVE(ウェーブ)/中国名:威武Ⅱ型」の最大のポイントは、低コストな現地調達部品の採用により、低価格(当時4,498元:1元=15円。当時の換算で67,470円)を実現したこと。これにより、地方や農村部での市場拡大を図った。
排気量は、当時のアセアン(東南アジア)仕様の定番だった97cc。前後ホイールは剛性の高いキャスト型とし、フロントブレーキには制動力に優れたディスク式を採用。パワフルなエンジンや強靭な足周りは、都市部での移動はもちろん、未舗装路や坂道の多い山岳部などでも重宝された。
中国では2008年に北京オリンピックが開催。「世界の工場」と呼ばれた中国では、“中国バブル”が巻き起こり、庶民の足として100cc~125ccクラスのバイクが一気に普及した。
●WAVE(ウェーブ/威武Ⅱ型)
エンジン:空冷4ストローク単気筒OHC97cc
最高速度:83km/h
自動遠心式クラッチ4段リターン
重量:94.9kg
価格:4,498元
ベトナムでは、1996年(平成8年)、「C100EX」のノックダウン生産(他国で生産された部品を輸入して、現地で組立・販売する方式)をスタート。1997年(平成9年)から生産された「スーパードリーム」は、わずか7ヶ月で10万台を販売。庶民の足として大活躍した。
そこで1999年(平成11年)、ベトナム専用デザインの新開発モデル「フューチャー」を市場に投入。日本の新幹線「のぞみ号」をモチーフとした、シャープで洗練されたデザインが採用され、若者にも支持された。
排気量は、当時のアセアン仕様の主流だった97ccから108ccにアップ。前後ホイールはスポーク型だが、フロントブレーキには、パワフルな108ccエンジンにも対応するディスク式を採用している。
「フューチャー」に採用のシャープなデザイン、前後スポークホイール、正立型フロントフォーク、フロントディスクブレーキは、現在のアセアンカブの定番ともいえる姿。なお、エンジンは現在、国内でも発売中の「スーパーカブC125」にも搭載の、空冷4ストローク単気筒OHC124ccが主流となっている。
●フューチャー
エンジン:空冷4ストローク単気筒OHC108cc
最高出力:7.59PS/7,500rpm
最大トルク:0.821kgm/5,500rpm
自動遠心式クラッチ4段リターン(停止時ロータリー)
重量:98.9kg
南米ブラジルでは、1989年(平成元年)に「C70」を生産。1994年(平成6年)の「C100EX」を経て、1998年(平成10年)にタイの「WAVE(ウェーブ)」をベースに、写真の「C100 ビズ」を独自開発した。
リアホイールは小径の14インチとし、シート下にはヘルメット収納スペースを装備。スクーターを思わせるスタイリッシュなデザインに加え、カブ本来の耐久性、悪路での走破性を吟味した頑丈な足周りなど、独自のテイストが盛り込まれている。
●C100 ビズ
エンジン:空冷4ストローク単気筒OHC97cc
最高出力:7.5PS/8,000rpm
最大トルク:0.8kgm/6,000rpm
自動遠心式クラッチ4段リターン(停止時ロータリー)
重量:90kg