●会場 ツインリンクもてぎ(オーバースピードウェイ)
●天候 28日曇り、29日晴れ
●PHOTO&REPORT 村岡 力
「1リットルのガソリンで何キロ走行できるか」をテーマとして1981年から始まった燃費競技大会がこれである。
昨年は天候の関係で練習無しの決勝を1日で行ったが、今年は例年通り土曜に練習、日曜に決勝が行われた。7つのクラスに別れてるこの競技、私は中学生クラスと高校生クラスが主役と見ている。
絶対記録を出すにはそれ相応のお金がかかるので、この中学&高校クラスでは厳しい。それでも創意工夫をして仕上げているマシンを見ると、微笑ましくもたくましさを感じることが出来る。
これじゃ強度的に無理でしょ、もう少し空力を考えようよなんていうマシンもあれば、少しでも転がり抵抗を減らすべくワンウェイクラッチのフリーハブを組んでいたり、手動だけどエンジン停止と同時に完全フリーとなるハブを造り込んできたりするマシンもある。
エンジンに関しても、走行1周のうちエンジンで走るのは3分の1程度。なので冷えてしまうのを避けるために完全カバードされていたり、オイルの抵抗や回転抵抗を減らすべくカムチェーンやカム、ロッカーアームなどの潤滑を止めて剥き出しに改造されているのもある。
キャブレターではオーバーフロー対策や可能な限り薄くセッティング。FIではほぼノーマル仕様もあれば、センサーを多く装備しコンピューターで細かく制御しているものまで、実に様々な工夫がされている。
マシン造りも奥が深いのであろうが、実際の走行もどこまでエンジンで加速するか、どこまで惰性で走らせるか、コースのライン取りはどうするかなどテクニックも要る。平均速度は25km/h以上と規定されているので、ただのんびり走ればいいってもんではない。中学生は当然免許は持っていないし、エンジンで動かす乗り物だって経験が無いだろう。
そんななかで考えて造り、走り、失敗もする。壊れてリタイヤ、スタート出来ず、駆動チェーンが外れる、他車との接触など様々なトラブルが起きる。でも、こういう経験を通して次へのステップへと繋がって行く。
乗り物や機械物への興味が無い若者が多くなっている昨今、このイベントは若い時から機械に触れて考え、動かす。素晴らしいことだと思う。将来、優秀なメカニックやドライバー、ライダーに育ってくれれば嬉しい限り!若い子達が一生懸命活動している姿は眩しくもあり感動的でもあった。
ところで、2011年に達成された最高記録3,644.869km/Lは、今年も破られなかった。来年に期待したい!1リッターでの日本1周を目指して。