マツダには、
クロスオーバー・SUV系:CXシリーズ
セダン・ハッチバック系:MAZDA+数字
スポーツカー系:MX+数字(将来的にはRX+数字?)
プレミアム・クーペ:将来登場。「MAZDA ○○COUPE」あるいは「MAZDA ○○SPORT」のようになる?
というシリーズがある。
昨今のマツダに対する世間の評価は必ずしもプラスのものばかりではない。マイナスの評価の多くは「かっこいいけど、デザインがみんな似てる」というものだ。
上の記事にも、「なんだか似ている。見分けがつかない」という 反響があった。
果たしてそうだろうか?
まずは、「MAZDA+数字」を見てみよう。
デミオ(MAZDA2)の発表は2014年、アテンザ(MAZDA6)は2012年だ。もっとも新しいMAZDA3は今年である。5年間でデザインが変わらないはずがない。
今度は、クロスオーバー・SUV系のCXシリーズだ
いかがだろうか? ボディサイズに引っ張られないように、サイズはほぼ同寸に調整した。似ているだろうか?
ちなみに各モデルのサイズは次の通りだ。
CX-3:全長4275mm 全幅1765mm×全高1550mm
CX-30:全長4395m 全幅1795mm×全高1540mm
CX-5:全長4545mm 全幅1840mm×全高1690mm
CX-8:全長4900mm 全幅1810mm×全高1730mm
CX-9:全長5075mm 全幅1969mm×全高1747mm
「各モデル名」で買われるメーカーから「ブランド名」で買われるメーカーはの変革を進めているマツダ。行き着くべき目標は、メルセデス・ベンツやBMW、アウディなどの、いわゆる「プレミアム・ブランド」だ。
SUVを買おうと思う時、「BMWのSUVが欲しい」の次にX1からX7までのラインアップがあって、サイズと価格のバリエーションがある。どれを選んでも顧客は「私はBMWを選んだ」という満足感を得られる。
セダンを買おうお思った時、「やっぱりメルセデスのセダンが欲しい」の次に、Aクラス、C、E、Sクラスというラインアップがあって、やはりサイズと価格のバリエーションがある。顧客は、「私はメルセデスを選んだ」という充足感を得る。
マツダが目指しているのは、この方向なのだろう。
では、BMW、アウディ、メルセデス・ベンツはどうなのか?
次は、BMWを見ていこう。BMWのモデルアインアップは拡大を続け、クロスオーバー(BMWはSAV=スポーツ・アクティビティ・ビークルと呼ぶ)もいつのまにか、X1からX7まで、すべての数字が埋まるとことまできた。
最新のX7のフロントフェイスが大きく違うことはわかるが、X1-6はやはりとても似ている。
ではアウディはどうか?
アウディのSUVも見てみよう。
アウディのSUV系はQ+数字である。サイズの小さい順に
Q2/Q3/Q5/Q7/Q8と5モデルある。
デザインテイストは、Q2とQ8から少し変わってきていることがわかる。
こうして、マツダとジャーマン・プレミアム3のデザインを比較してきたが、どんな感想を持たれただろうか?
メルセデスのセダン、C、E、Sはパッと見ただけでは区別がつかないほど似ている。Sクラスだと思って近づいたらCクラスだった、という経験は皆が持っているのではないか?
そのメルセデス・ベンツも最新のAクラスでは顔が変わっている。
一見してわかる通り、最新のA/Bクラスからフロントのデザインは大きく変わっている。
マツダの最新モデル、つまり第7商品群のトップバッターであるマツダ3とCX-30は、紛れもないマツダ魂動デザインの最新ファッションを身に纏っている。「マツダはみな同じに見える」という反応は、ある意味「狙い通り」だろう。
「あれは新しいマツダだ」と言われることが、ブランド確立には必要だからだ。
目の前を通り過ぎる高級セダンを見て
「あれはCクラスだ」と言われることは少ない。
「あれはメルセデスだ」と言われることの方が多いだろう。
BMWもアウディもしかり。ジャーマン・プレミアム3は、それぞれ独自のグリルやエンブレムを配して、どうこからどうやっても、自分たちのブランドのクルマに見えるようにしている。比較写真を見ても、マツダの比ではないほど似ている。
ただし、デザインのコンセプトは10年単位で見ると確実に次の様式へ移り変わっていく。最新のメルセデス、BMW、アウディを見ると、それぞれの最新モデルのデザインテイストが過去のものと少し変わってきていることがわかるだろう。
過去と断絶はしないが、確実に変わったことがわかる。これがブランドを確立し維持していくためのデザインだということを彼らはよく知っている。
ではマツダは?
今回並べて比較したが、マツダの各モデルは、「BMWやアウディやメルセデス・ベンツの各モデルが似ているのと同じ程度に」似ている。でも、見比べてみればわかる通り、サイズ、ターゲットに合わせて、かなりデザインが異なっていることもわかる。
シグネチャーウィングとマツダエンブレムで形成されるフロントフェイスは、充分に
「あ、あれはマツダだ」
と言わせしめるレベルに達している。ソウルレッドという「あ、マツダの色だ」と言わせるほどの美しいカラーも手に入れた。魂動デザインがマツダブランドの確立に大きく貢献していることに異論はない。
そのうえで、マツダ・ファンは「そろそろ次が見たい」と思っているのではないか?
CX-30の登場で、マツダはみんなデザインが似ている、という揶揄があるかもしれないが、ブランド確立のためにはどうしても通らなければならない道程だ。アウディもBMWも通ってきた道。
マツダは、いま正念場を迎えている。ここを乗り越えれば、プレミアムな自動車を作るブランドになれるはずだ。
マツダがすでに発表している通り、直列6気筒エンジン+FRという「ラージアーキテクチャー」のモデル(CX-5以上のCX系とMAZDA6以上のモデル、そして上級プレミアムクーペ、スポーツカー)が登場するときが、「次」なのだろう。
10月に開催される東京モーターショーでは、その「次」の姿の一端を見せてくれるだろうか?